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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

これまでの記事で書かなかったことの「論理の飛躍」などのまとめ,2023年8月25日


https://note.com/meta13c/n/n7575b6c0826b

この記事の注意点などを記しました。

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注意

これらの重要な展開、特に『VIVANT』などの過激な場面なども扱います。

特撮映画

『シン・仮面ライダー』
『シン・ウルトラマン』

特撮オリジナルビデオ

『真・仮面ライダー序章』

特撮テレビドラマ

『仮面ライダーW』
『ウルトラマンX』
『ウルトラマンジード』

テレビアニメ

『NARUTO 疾風伝』

テレビドラマ

『VIVANT』
『相棒』
『天国と地獄 サイコな2人』
『TOKYO MER』
『JIN-仁-』(1,2)

漫画

『JIN-仁-』
『キミのお金はどこに消えるのか』
『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』
『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』

小説

『AΩ』(小林泰三)

はじめに

https://x.com/hg1543io5/status/1693562098083824126?s=46&t=6tio6xUHWU4XCR56E_Ep7w

2023年8月25日閲覧

 『シン・仮面ライダー』がアマゾンプライムで配信されて1ヶ月経過したので、noteでの考察をはじめようと考えています。
 ツイッターでは、注意書きを出来ず、過激な場面などへの考察が目に留まる可能性もあり、なおかつ私は他の作品のハッシュタグと合わせて書くことも多いので、やはりnoteに書きます。
 今回は、幾つかの物語における「論理の飛躍」や「極論」を多く扱います。

『シン・仮面ライダー』や『相棒』の敵は、敵同士の争いを想定しにくい

https://x.com/hg1543io5/status/1692114339443146956?s=46&t=6tio6xUHWU4XCR56E_Ep7w

2023年8月25日閲覧

 『シン・仮面ライダー』の「もっとも絶望した少数の人間の救済」を目指すAIにより強化された人間のオーグメントは、その「救済」の方向性がみな異なるので、互いに争ってもおかしくないと記しました。
 邪魔者や裏切り者を処分するだけのクモオーグやK.K.オーグはともかく、ヴィルースで人口を減らすつもりのコウモリオーグ、猛毒で大量殺人をして楽しむつもりのサソリオーグ、人間を操る技術で社会を支配するつもりのハチオーグ、人間の「魂」に当たるエネルギーを奪い取り「嘘のつけない」世界に自分も含めて連れて行くつもりのチョウオーグなどです。

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2023年8月25日閲覧

 これは、『相棒』の犯罪者や、ウルトラシリーズの怪獣や宇宙人などの「人類の敵」にも当てはまるところがあります。
 『相棒』「オマエニツミハ」のジャーナリストは、少年犯罪で息子を失い、厳罰や報復を望む感情がありましたが、東京で暮らし、金銭に困っている様子はみられず、ジャーナリストとしての能力は高いようでした。
 一方「再会」で高齢者を道連れにして自爆しようとした若者は、右京と亀山が偶然遭遇しただけで地方の貧しい地域に住み、主に金銭について「この先悪くなるだけ」だと絶望していたようですが、不登校ではあっても学校でいじめられていたわけではないらしく、むしろ少年犯罪の加害者に近いと言えます。
 そのため、「オマエニツミハ」と「再会」の犯罪者は「絶望」の方向性がほとんど逆とも言える上に、右京を通さずに遭遇すれば互いに傷付け合ってもおかしくないほど怒りを抱えています。
 私は『相棒』の右京が、異なる回で違法捜査や「自己責任」論などの主張が異なっていると気にしていますが、それは犯罪者の主張が毎回統一性のなく、その上無関係な犯罪者同士を議論させる展開はまずないので、右京がそれぞれに対応して異なる主張をせざるを得ないのではないか、とも考えました。
 また、ウルトラシリーズの怪獣や宇宙人などは、人間による環境破壊や差別や先制攻撃に怒ることもありますが、怪獣と宇宙人、宇宙人同士、怪獣同士など、「人類の敵」同士の対立がまだ少ないので、「何故人間ばかり責めるのか」、「怪獣からみれば宇宙人も環境を破壊していないか」、「宇宙人からみれば怪獣が野蛮で排外的であることもあるのではないか」と疑問を呈したことがあります。
 つまり、いわゆる社会や多数派に批判的な少数派や「人類の敵」は、出番の都合から、自分と多数派以外のさらなる別の少数派などの存在を想定していない傾向があります。
 『AΩ』の終盤では、「ユートピアはけっして実現しない。ひとりひとりの理想が異なる限り、どのような世界でも不満分子は残る」とあります。
 その意味で、「理想」を主張する者が他の「理想」と対立する可能性は、「現実」を容認する多数派が分断させることもあるでしょうが、そうするまでもなく起きる可能性はあります。
 ウルトラシリーズの怪獣や宇宙人、『相棒』の犯罪者、『シン・仮面ライダー』のオーグメントなど、社会や多数派に不満を抱く者はたいてい物語に1種類ずつしか登場しないので、その不満同士の対立が想定されにくいようです。

『シン・仮面ライダー』などの正当防衛と過剰防衛

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2023年8月25日閲覧

 『シン・仮面ライダー』について、『空想法律読本』で扱われた法律の観点から、多くのヒーロー作品が、相手にとどめを刺すので過剰防衛になるのを、正当防衛に収まっているという主張を述べました。クモオーグやコウモリオーグへの蹴りなどです。
 『シン・ウルトラマン』でウルトラマンが知性ある相手を抹殺した唯一の例とも言えるザラブについても、時間制限や技の性質から、一撃必殺のカッターで殺しても正当防衛だろうと言えるところがあります。
 この意味で重要なのは、紛らわしい題名ですが、『真・仮面ライダー序章』です。相手の脊髄を引きずり出すなどの暴力や性的に過激な場面がありますが、仮面ライダーシリーズの法律から重要な点があります。
 それは、(劇中で最後以外に仮面ライダーと呼ばれないものの)仮面ライダーが生身の人間を殺しているときです。
 このとき、仮面ライダーになった主人公は、その生身の人間に自分の配偶者と言える女性を銃撃され、その身ごもった子供は生死不明で、なおかつ生身で丸腰の人間である父親を守ろうともしていたので、自分に銃撃が効かない体質だとしても、父親と子供を守るために、相手から銃を取り上げるまでは正当防衛だったと言えます。しかし、そのあととどめを刺してしまったのは過剰防衛だと、『空想法律読本』から考えます。
 特に、この生身の人間の敵は、主人公に殺されなくても、逃げれば組織に処分される予定で、道連れに主人公達を殺すつもりでしかなかったので、展開からも主人公の仮面ライダーが殺す必要はなかったとも言えます。
 ちなみに、『仮面ライダーW』では、最終回の直前に主要な怪人の敵は倒され、最終回ではその弱い残党とも言える怪人になった人間を、主人公の仮面ライダーがデコピンで気絶させたことがあります。ほとんど生身とはいえ、一応危険な力を使って、主人公の仲間や民間人もそばにいることが多いので、これは正当防衛とも考えられます。

『VIVANT』などの日曜劇場の過激さ 

 『VIVANT』で、「過激な制裁シーン」、具体的にはテロリストが裏切り者の耳と手首を切断するという場面がありました。日曜劇場としては過剰ではないか、という印象はあります。裏切り者の1人を怖がらせる以外に効果が見当たりませんし。
 日曜劇場では『天国と地獄 サイコな2人』の殺害の場面も過激とも言えました。『TOKYO MER』では、外国人労働者がテロの被害に遭い、関係者の指の腹が、指紋を盗むために切り取られたという言及がありました。そもそも指紋のために切り取る必要があったのか分かりませんが。
 しかし、『JIN-仁-』も原作で耳や指が切り落とされる場面がありましたが、その原作に比べて、ドラマ版ではあまり戦闘、特に剣の腕の派手さを重視しない、というより現代的な目線で描くためか、残酷さを抑えているところがみられました。
 そのため、日曜劇場は漫画の原作などに比べれば、残酷さは抑えられるところがみられ、今回の『VIVANT』は考えものだとみなしました。

『VIVANT』での中間的選択肢

2023年8月25日閲覧

 『VIVANT』では、自衛隊の非合法の諜報部隊「別班」が、5話で捕らえたテロリスト及びその家族に、6話で殺さずに逃げる場所を提供しています。「自分の組織のために行ったのなら、国を裏切った別のテロリストと異なり殺すほどではない」という論理のようです。
 これは私がnoteで記した、法によらない私的制裁を行う人間が、自分達の都合で、秘密を知っただけで、命にかかわるほどではない人間も殺す可能性、つまり罰なのか口封じなのか曖昧になる危険性への、ある程度の反論とも言えます。
 しかし、これは逆に甘いとも言えます。テロリストを捕らえたとして、殺すほどではない人間は逆に匿わなければならないのです。おそらく、公安に引き渡すことは一生出来ないでしょう。
 つまるところ、法的に知られて困る行動をする人間は、秘密を知った人間を殺すか匿うかにしかならないとも言えます。
 警察ならば、目的はあくまで法的な制裁で、その受刑者が出所したあと二度とそうしないような制裁をすることはせず、そもそも法的にその行動を知られて困るということはまずないでしょうから、殺すのと匿うことの中間としての一定期間の懲役や禁錮、罰金などがあります。
 テロという重大な悪事とはいえ、国の法の許可を得ないことで、制裁する側の都合で罰か口封じか、殺害か野放しかが極論になってしまう点は残ります。
 『シン・仮面ライダー』で、正当防衛にとどめて過剰防衛にしないためには、相手を拘束する「刑罰」が重要ですが、その中間的選択肢が物語では欠けてしまい、『VIVANT』にもあるかもしれません。

「政府の赤字はみんなの黒字」と、政府になれないテロリスト

 ちなみに、『VIVANT』のテロリスト「テント」は組織の利益を重視して、それを横領した人間を殺していますが、それは彼らが結局は国家ではないことの証明かもしれません。
 「政府の赤字はみんなの黒字」というハッシュタグがあり、公共事業やサービスは赤字で当たり前、プライマリーバランスの黒字化は間違っているという財政の主張が『キミのお金はどこに消えるのか』などにあります。
 政府は、通貨を発行してその信用を税の回収によって守るのが経済における仕事の1つであり、その通貨で赤字になる分には安全だという主張があります。だからこそギリシャのユーロやアルゼンチンのドルによる外国債で破綻することはあっても、日本の円による内国債での財政破綻は「考えられない」と、財務省が主張しています。
 その意味で、仮に国家に逆らい、別の国家を打ち立てるような政治的な目的があっても、どこの通貨かはともかく、結局黒字を求める意味で、『VIVANT』のテントは通貨発行や税の回収が出来ず、民間の組織でしかないと言えます。もちろん公費なら横領して良いわけではありませんが。

「弱さと悪さの区別」を出来る主人公

2023年8月25日閲覧

 
 『NARUTO 疾風伝』を踏まえて、「弱いことと悪いこと」の区別を幾つか扱いました。
 しかし、多くの物語は強くなることを目指し、それを善としたいので、区別して、なおかつ「格好の付く」表現が難しいと言えます。ナルトも、明確に弱さと悪さを区別出来たか怪しいと言えます。
 『ウルトラマンX』で、個人としての戦闘能力はあまり期待出来ないものの科学技術の高い科学者のルイとマモルにも似たようなところがあります。それぞれ倫理観はあるものの、従来のウルトラシリーズなら危険視されてもおかしくない、怪獣やウルトラマンの能力を複製した技術を幾つか製造して、それで成功することが多いのです。
 「力の強いものが勝つなんて子供みたい」と言ったり、「強力な兵器で解決なんて時代遅れ」と言ったりするのは、「幼い」、「古い」などの表現で、「弱さ」と「悪さ」を混乱させている傾向が見られます。
 個人として身体的に強いとは言えず、倫理観はあるものの、暴力や武力を完全には否定しない科学者として微妙なところがあると言えます。
 この辺りの表現を明確に言い切ったのは、『ウルトラマンジード』のウルトラマンジードが、父親であり敵のウルトラマンベリアルへの「あなたは強い。だけど間違っている」でしょう。
 実際に、ベリアルはかつて自分を追放した光の国を恨み、ライバル視したウルトラマンケンを、『ジード』では強さで上回っています。そうしてようやく「強いけれど間違っている」証明になったとも言えます。
 その表現にたどり着けるのは、ウルトラシリーズの主人公でもわずかかもしれません。
 『VIVANT』でテロリストの父親と戦うことになる諜報部隊の乃木も、やがて父親の実力を認めて、「強いけれど間違っている」という答えにたどり着くのかもしれません。

まとめ

 今回はあまり繋がりのないものの、様々な作品の重要な点を考察出来たとみなしています。



参考にした物語や漫画


特撮映画

石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映
樋口真嗣(監督),庵野秀明(脚本),2022,『シン・ウルトラマン』,東宝

特撮オリジナルビデオ

石ノ森章太郎(原作),辻理(監督),宮下準一(脚本),1992,『真・仮面ライダー序章』,東映

特撮テレビドラマ

田﨑竜太ほか(監督),三条陸ほか(脚本),石ノ森章太郎(原作),2009-2010,『仮面ライダーW』,テレビ朝日系列(放映局)
田口清隆ほか(監督),小林雄次ほか(脚本) ,2015年7月14日-12月22日(放映期間),『ウルトラマンエックス』,テレビ東京系列(放映局)
坂本浩一ほか(監督),安達寛高ほか(脚本) ,2017年7月8日-12月23日(放映期間),『ウルトラマンジード』,テレビ東京系列(放映局)

テレビアニメ

伊達勇登ほか(監督),吉田伸ほか(脚本),岸本斉史(原作),2007-2017(放映期間),『NARUTO疾風伝』,テレビ東京系列(放映局)

テレビドラマ

福澤克雄ほか(演出),飯田和孝ほか(プロデューサー),八津弘幸ほか(脚本),2023-(未完),『VIVANT』,TBS系列
橋本一ほか(監督),真野勝成ほか(脚本),2000年6月3日-(放映期間,未完),『相棒』,テレビ朝日系列(放送)
中島啓介(プロデュース),平川雄一朗ほか(演出),森下佳子(脚本),2021,『天国と地獄~サイコな2人~』,TBS系列
武藤淳ほか(プロデュース),松本彩ほか(演出),黒岩勉(脚本),2021,『TOKYO MER』,TBS系列
村上もとか(原作),石丸彰彦ほか(プロデュース),森下佳子(脚本),2009,『JIN-仁-』,TBS系列(放映局)
村上もとか(原作),石丸彰彦ほか(プロデュース),森下佳子(脚本),2011, 『JIN-仁- 完結編』,TBS系列(放映局)

漫画

村上もとか,2001-2010(発行期間),『JIN-仁-』,集英社(出版社)
井上純一/著,飯田泰之/監修,2018,『キミのお金はどこに消えるのか』,KADOKAWA
井上純一/著,アル・シャード/企画協力,2019,『キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編』,KADOKAWA
井上純一(著),アル・シャード(監修),2021,『がんばってるのになぜ僕らは豊かになれないのか』,KADOKAWA

小説

小林泰三,2004,『AΩ』,角川ホラー文庫


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