『ゴジラマイナスワン』と『シン・仮面ライダー』の共通点などの考察
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注意
これらの重要な情報を明かします。特に、PG12指定の映画『シン・仮面ライダー』及びその漫画版『真の安らぎはこの世になく』にご注意ください。
特撮映画
『ゴジラマイナスワン』
『シン・仮面ライダー』
漫画
『真の安らぎはこの世になく シン・仮面ライダー』
『逆資本論』
アニメ映画
『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』
『シン・エヴァンゲリオン劇場版』
はじめに
『ゴジラマイナスワン』について、以前から気になったことをふせったーに書いたので、アマゾンプライムで配信されてかなり経ち、ここで重要な展開を明かします。
『ゴジラマイナスワン』と『シン・仮面ライダー』の共通点は、機械を捨て石に戦うこと、登場人物の「完成していたのか」という台詞と主人公の行動が世界を左右すること、「父親」に当たる人物が撃たなかったことが状況を左右すること、「トンボ」に関わる要素の示唆です。
撃たなかった「父親」
『ゴジラマイナスワン』と『シン・仮面ライダー』は、それぞれ、主人公の敷島が序盤でゴジラの前身の巨大生物を撃たなかったこと、主人公の本郷猛の父親が犯罪者を撃たなかったことが重要になりますが、動機や影響が逆だとも言えます。
敷島は単に恐怖で機銃を撃てず、その結果として相手が別の威力の低い銃の刺激で暴れて、敷島と銃撃を頼んだ橘以外が全滅しました。しかし、その生物があとで核爆発を生き延びてゴジラになったことを考えれば、20ミリ機銃では元々どうにもならず、むしろ撃たなかったことで敷島と橘が生き延びてゴジラに立ち向かえたとも考えられます。敷島はそののちに、孤児の父親代わりとなりました。
一方本郷猛の父親は、警察官として本来刃物を持った犯罪者を撃てたはずが説得を図り殺されたのですが、犯罪者の方も別の警察官に撃たれました。こちらは、「撃っても犯罪者が命を落とす結果は変わらなかった」という解釈も出来ます。それがきっかけで本郷猛が仮面ライダーとなり、世界を救ったとも言えます。
恐怖という利己的な感情で撃たずに、結果的に自分が生き延びたことが役に立つ敷島と、説得という利他的な動機で撃たずに、結果的に自分も相手も殺された父親がきっかけで世界の役に立つ行動をした本郷猛は、何かが繋がりそうです。
機械を捨て石にする
『ゴジラマイナスワン』では、特攻から逃げた敷島が、それ自体はあまり責められていないものの、その逃げた先でゴジラの前身を止められなかった罪悪感もあり、ゴジラの口に特攻しようとしましたが、橘が戦闘機に脱出装置を搭載して救いました。
『シン・仮面ライダー』では、仮面ライダーの本郷猛と一文字隼人が専用バイクのサイクロンを自爆させることで、相手の仮面ライダー第0号の計画とエネルギー補充を妨害しました。
特攻で脱出装置を仕掛けたことは、「機械だけは捨て石にして良い」という意味合いがあるのでしょうが、本郷はサイクロンにすら「すまない」と言っています。
「完成していたのか」
『ゴジラマイナスワン』と『シン・仮面ライダー』に共通するのは、「完成していたのか」という台詞です。
『ゴジラマイナスワン』では、敷島を恨む整備士の橘が、敷島に頼まれてゴジラに立ち向かう戦闘機の補修を行いますが、その戦闘機が新しい特殊な構造で、あまり知られていなかったので、橘は「完成していたのか」と発言しています。
『シン・仮面ライダー』では、本郷猛の仮面ライダーが、ショッカーの怪人のオーグメントの中でも最新型で、その「バッタオーグ」をある程度知っていたらしいクモオーグは、「完成していたのですか」と驚いています。
この台詞は、『新世紀エヴァンゲリオン』旧劇場版『Air/まごころを、君に』でエヴァンゲリオンの量産された「エヴァシリーズ」についてアスカが「完成していたの」と言ったところを連想します。
その旧劇場版と繋がりのある『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の結末は、『ゴジラマイナスワン』を連想する要素があります。
ここから考えたのは、橘とクモオーグの「エゴ」がそれぞれ主人公の行動と重なり世界を左右した可能性です。
橘にしてみれば、敷島の特攻する覚悟に心が動いたところもあるでしょうが、「お前のためではなく、この戦闘機を直したい俺のエゴだ」と暗に示していたのかもしれません。
クモオーグのいるショッカーは、「もっとも絶望した少数の幸福」のために人間をオーグメントにしますが、「エゴのために力を使っている」と評価されています。
クモオーグにも、大切な人間を助けられなかった罪悪感などがあり、「人間が嫌い」と発言し、絞め殺すことを快楽としていました。
さらに、クモオーグは自分より打撃力や跳躍力が優るバッタオーグの攻撃をかわしたり腕の数で超えて絞めたりするのを楽しんでいる様子がありました。相手の強さを、自分ならではの強さで上回ることを重視する「エゴ」があったと、私は考えました。
他のオーグメントも、不利な状況でも「エゴ」により戦う感情がみられます。
そうして、クモオーグはバッタオーグを「エゴ」にこだわり倒せず、それが結果的に本郷猛による世界の守護に繋がったとも考えられます。
ただ、漫画版で、クモオーグの内心が判明して、かなりその部分が難しくなっています。
クモオーグがバッタオーグを爆弾で殺せなかったのは、本編では「無傷とは想定外」という台詞が示されていましたが、これはバッタオーグに話した台詞に過ぎず、漫画版では下級戦闘員の運転する車の内部で、「あの程度の爆薬で散るならそれまで。あなたの真価を見せてください」と話していますから、無傷かはともかく、あえて生かすつもりもあったようでした。
上司のイワンは、クモオーグを「先輩」と慕うK.Kオーグに、「クモオーグは獣としての死に場所を求めている」と話し、バッタオーグに勝てないことを予想しています。
そして、クモオーグの内心のみの本心は、かつて大切にしたかった人間や、漫画版の主人公でありチョウオーグとなるイチローを苦しめた罪悪感、そして「私は人間が嫌いですが、もっとも葬りたいのは私という人間なのです」という結果でした。
このため、クモオーグが話したバッタオーグについての「完成していたのですか」とは、その実力を超えて絞め殺すことを目指していたのではなく、「自分の命を奪って終わらせてくれる相手を探していた」ということだったようです。
それが「エゴ」とは言い切れず、私の予想はあまり当たっていなかったようです。
「あきつ」と仮面ライダーV3
また、『ゴジラマイナスワン』では秋津という人物がおり、敷島も、日本の旧称の「あきつしま」、「しきしま」の要素があります。
また、「あきつ」はトンボの旧称でもあるようです。
『シン・仮面ライダー』の続編で、原典の仮面ライダーV3に当たる人物が現れるか気にしています。
ネットによると、V3はトンボがモチーフらしいので、「トンボオーグ」になるか考えたのですが、あえて旧称の「アキツオーグ」にすれば、『ゴジラマイナスワン』を意識した名前になるかと予想していました。
『逆資本論』の国家と環境変化とデフレと特撮2作
また、『逆資本論』では、気候変動、温暖化対策として、政府が再生エネルギーなどにお金を出す「グリーン・ニューディール」を重視しています。「戦争のような国全体の危機で、民間に任せる国はないでしょう?」と書いています。
二酸化炭素による温暖化を疑う主張に、「こんな急激に温暖化した時代はない」と反論しています。
また、現代日本とマルクスについて、マルクスの時代までのイギリスなどは「ずっとデフレ」で、全体の通貨が増えなかったので、「誰かの得は誰かの損」というゼロサムの状況しかマルクスが知らず、近代でまれにみる20年以上デフレの現代日本でそれに基づく「搾取」が信じられるのはやむを得ないとあります。
これらが、『ゴジラマイナスワン』と『シン・仮面ライダー』で重要になります。
『シン・仮面ライダー』のバッタオーグは、風を利用して空気中の生命のエネルギーを吸収するのですが、それは「周りの生命から奪っているだけ」で、本来想定された食糧危機の対策にならず、「全人類が装着してもエネルギーの奪い合いになるだけ」だと示されました。
これこそデフレの日本やマルクスの時代のような「ゼロサム」でしょう。
また、『ゴジラマイナスワン』は、ゴジラという重大な危機に、敗戦後の日本が武装解除させられて、米軍も国際状況を考慮して手出し出来ず、日本の民間だけで戦うことになっており、皮肉にも『逆資本論』で否定された「戦争を民間任せにする」ような状況です。
また、『ゴジラマイナスワン』でゴジラを倒す手段は、フロンガスの泡で浮力を奪い沈め、炭酸ガスの浮き袋で浮かべ、その急激な水圧変化を使うものでした。
ゴジラは元々海の生物なので、水圧変化の量自体には耐えられるものの、急激過ぎるので耐えられないという理論でした。
これは『逆資本論』の、現代世界の温暖化について、「もっと暖かかった時期はあるが、こんな急激に温暖化した時代はない」という要素、本来耐えられる変化量でも速過ぎるともたない危機に似ています。
ある意味で、ゴジラは人間の今後の象徴のような倒され方をしたとも考えられます。
まとめ
これまで『ゴジラマイナスワン』の情報を書けなかったこと、『シン・仮面ライダー』の漫画版が本編に追い付いたことの感想をまとめました。
参考にした物語
特撮映画
山崎貴(監督・脚本),2023,『ゴジラマイナスワン』,東宝
石ノ森章太郎(原作),庵野秀明(監督・脚本),2023,『シン・仮面ライダー』,東映
漫画
山田胡瓜,藤村緋二,石ノ森章太郎,庵野秀明,八手三郎,2023-,『真の安らぎはこの世になく-シン・仮面ライダー SHOCKER SIDE』,集英社
井上純一,2023,『逆資本論』,星海社
アニメ映画
庵野秀明(総監督・脚本), GAINAX(原作),1997,『新世紀エヴァンゲリオン Air/まごころを、君に』,東映(配給)
庵野秀明(総監督・脚本),鶴巻和哉ほか(監督),2021,『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』,カラーほか(配給)