想い出
知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる
僕以外の人が居なくなった世界で
僕は人を探している。
こんな所に人がいる訳ないけれど
少し歩いて探してみる
廃墟の女王と呼ばれているらしいホテルに来ている。
歩いて回って居たら僕は一つの部屋に吸い込まれる様に入って行く。
部屋にはベッドに寝てる人が1人。
額縁の中に入ったようなその部屋の人は既に衰弱死している様だ。
その人は想い人より先に亡くなって心残りだという。
彼女はラムネを握りしめて静かに語る。語り終わるとその握りしめたラムネを僕にくれた。
「私を見つけてくれたから」
不思議な理由を口にして、
そのまま消えていった。
まだ賞味期限は切れていない。
炭酸の強いラムネは涙の味がした
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