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語学留学で培った英語力は10年間ほぼ何もしないとどうなるのか
フリーランスのITエンジニアをしています。
いまから10年ほど前、オーストラリアに語学留学をしました。9ヶ月間の留学生活を過ごし、帰国後はさほど英語を活かすこともなく、日本のIT企業に就職。数年間の会社員時代を経て、フリーランスになりました。
職業柄、英文のドキュメントを目にすることは多いです。社会に出たてのころは「持ち前の英語力で原文を読んでやろう」と意気込んでいましたが、効率が悪くてすぐに諦めました。今ではどんな英文も、迷わずGoogle翻訳かChatGPTを使います。
そんなわたしですが、先日、アメリカの大学に入学するために英語の語学力テスト(Duolingo English Test)を受けました。英語のテストを受けるのは10年ぶりだったので、とても緊張しました。自分の失ってしまった英語力を目の当たりにするのが怖かったからです。
さて、10年前に留学で培った英語力は、どうなったと思いますか?
留学当時の英語力をふりかえりつつ、比べてみました。
語学留学当時の英語力
スタート地点
留学していた9ヶ月間は、シドニーの語学学校に通っていました。一般英語(General English)のコースを選択し、入学時に簡単なテストを受けて、英語のレベル別クラスに振り分けられました。当時は
初級(Elementary)
初中級(Pre-intermediate)
中級(Intermediate)← 入学当時の英語レベル
中上級(Upper Intermediate)
上級(Advanced)
のようなレベル構成で、わたしは、中級(Intermediate)クラスからはじめました。ペーパーテストは苦手ではなかったのですが、英会話は、買い物も挨拶もできないくらいだったので、妥当な判定だったと思います。
ケンブリッジ英検
9ヶ月間の語学学校生活の間、中級から中上級とクラスは順当に上がっていきました。上級に進むころにはコースを変えて、ケンブリッジ英検試験対策を選択しました。
ケンブリッジ英検試験とは国際的な英語検定試験で、5つのレベル分けがされています。
基礎レベル Key English Test (KET):
日常生活で必要な最も基礎的なコミュニケーション力を測定
初級レベル Preliminary English Test (PET):
簡単な日常会話に参加できるレベルの英語力があるかどうかを測定
中級レベル First Certificate in English (FCE):
中級英語を使って、仕事や留学を目指す人用
上級レベル Certificate in Advanced English (CAE):
仕事で英語を駆使できる上級レベルの英語力があるかどうかを測定
最上級レベル Certificate of Proficiency in English (CPE):
ネイティブレベルの英語能力があるかどうかを測定
引用元:https://www.aswho.com/cambridge
わたしは、中級レベルの試験の合格を目標にしていましたが、学校側の提案で上級レベル向けのクラスに入りました。
留学の成果
一般コース、そしてケンブリッジ英検試験対策コースを修了して試験を受けました。また、あわせて帰国前にTOEICも受けました。
最終的なスコアは、
ケンブリッジ英検 中級レベル:合格(グレードB)
TOEIC:845点
でした。
"ほぼ"空白の10年間
"ほぼ" としている通り、全く何もしてなかったわけではありません。
帰国後は、地元の英会話交流コミュニティに1回だけ参加してみたり、海外の友人が来日すれば雑談くらいはしていましたが、留学から日が経つにつれ、英語に触れる機会は少なくなっていきました。
留学から6年が経つころ、会社の福利厚生を利用してオンライン英会話レッスンを受講しました。数ヶ月間利用しましたが、あまり指摘されることがなく、スラングも通じず、語学力に変化があった実感はとくにありませんでした。ただ「あなたは小さい子みたいな話し方をしている」と一人の先生に指摘されたのは、ちょっとむかつきましたが、ありがたい経験でした。
このほかははじめに書いた通りです。英文を「見る」ことはありますが、きちんと「読む」「書く」「話す」ことはほとんどしてきませんでした。とてももったいないですね。
そして、10年ぶりの英語テスト
アメリカの大学への入学にあたり、語学力を証明する必要がありました。証明に使える資格は、英検、TOEFL、Duolingo English Test のみでした。ちなみに、大学の入学アドバイザーにわたしの保持しているケンブリッジ英検のスコアで証明できないかを問い合わせたところ、だめでした。
やむなく、英語の語学力テスト(Duolingo English Test)を受けました。
Duolingo English Testでは、
Literacy:読んで書く能力
Comprehension:聞いて読む能力
Conversation:話して聞く能力
Production:書いて話す能力
の4つの観点で採点が行われます。
テストを受けた感触としては、全く手応えがありませんでした。試験中に疲れてしまい、だんだん集中力が切れてきて、会話のテストでは質問を聞き漏らしていました。「ごめんなさい。聞いてなかった。久しぶりのテストで疲れてしまって…えーっとそうだった」と口走りながら、とにかく何でもいいから英語を発してアピールしようと思っていました。
結果、合計スコアは110点でした。
英語力は10年間ほぼ何もしないとどうなるのか
10年前に受けたケンブリッジ英検と今回受けたDuolingo English Testを比較してみます。
点数を共通化するために、それぞれIELTS のスコアに換算します。ケンブリッジ英検とIELTSのスコア換算には、英検スコアをIELTSスコアに換算する機能を使いました。Duolingo English Testは、公式サイトにスコア換算表がありますので、そちらを参照。また、厳密には、IELTS には Academic / General のモジュールがありますが、ざっくり比較を目的としているのでスルーしておきます。
結果発表
10年前の英語力
ケンブリッジ英検 中級レベル:合格(グレードB) → IELTS 6.0
2024年の英語力
Duolingo English Test:110点 → IELTS 6.0
ということになりました。
とっくのとうに失ったと思った英語力。換算した上での比較結果なので、あくまで目安ではありますが…英語力、落ちてなかった!!?!
能力別のスコア
Duolingo English Test の受験中に最も苦しんだのは、スピーキングとライティングで思うように単語が出てこなかったことでした。これは試験結果にもはっきりと表れています。Conversation(話して聞く能力)とProduction(書いて話す能力)がボロボロでした。
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これらのスキルには、文法や語彙の知識を活用して瞬発的に表現する即時性が求められます。実践が少ないとスキルが低下しやすく、とくに、留学から時間が経ち日常生活で英語を話す機会が減ったわたしの場合、このふたつの能力ががくんと落ちるのは自然なことなのでしょう。
これから
今は、University of the People というアメリカの大学でコンピュータサイエンスの学位取得のため、オンライン学習を進めています。毎週リーディングとライティングの課題が出るのですが、教材やコミュニケーションは全て英語なので、1日平均5時間は英語に触れています。今後の学習を通して、わたしの英語力がどうなっていくのか楽しみです。下がることはないでしょうが、どうか、上がってほしい。また、note で書けたらいいなと思います。