見出し画像

小さいカメラが欲しくて、 Nikon Z fc に落ち着いた。が、しかし、悩みは尽きないのであった

カメラが小さいことは、重要

「どんなに良いカメラも、そこに無ければ意味がない」と言ったようなことをオリンパスの偉い人が仰ったと聞いた事があり、35mmフィルム対応した最小のレンジファインダーカメラ「OLYMPUS XA」を愛用している。
この商店距離35mmのZUIKOレンズを備えたカメラは、二重像式の距離計を使ったフォーカスと、F2.8からの絞り調整ができ、レンズカバーをスライドさせて開閉することで撮影できるようになるあたりはSony のサーバーショット U10 に通じるものがある。

高感度? 高解像? 便利なズーム? デカすぎる

カメラを趣味にしていると、高感度耐性の高さや解像感の高さ、シャッターチャンスを逃さない便利なズームレンズや手ぶれ補正、多機能に惹かれてついついスペックに目がいってしまう。

Nikonのカメラたち

Leica M8、Leica M9-P、Leica X、GR、Fujifilm X100F、そしてX100V、X-T4… これまで大好きだったカメラはどれも小さく小型のショルダーバッグ、ドンケのF-5XBに収まるサイズだった。Leicaとドンケで世界中を旅した20代・30代が懐かしい。小型で、画質ではないベクトルで最高の絵を描けるツールで、旅の思い出が詰まっていた…

しかし今では、どうしても夜の街を撮りたい、星景写真を撮りたい、三脚は持ち歩きたくない、などと欲が増大し、Nikon Z6 II に NIKKOR Z 24-120mm f4/S を付けたメイン機と、D750に様々なレンズをとっかえひっかえ。

確かに写りはとてもいい。撮っていて気持ちが良い。パンフォーカスや広角が多い風景はミラーレスで、動植物や飛行機などAF性能が物を言う世界は一眼レフで、という使い分けで上手くやっている。

カメラのTPOと、神カメラ

先日、鎌倉のカフェや料理屋さんを巡った。D750に Carl Zeiss Planar 50。カメラバッグにはZ6 II に 24-120mm。しかし、野暮ったい。

小さなバッグにLeicaが一つ、という頃とは別次元だ。
カメラのTPOとでもいおうか、一眼レフや大きなズームレンズは場違いだ。

かといってカメラ無しで出かけるなんて、撮らない散歩などカメラ趣味の人間にとって出かける意味がない。
オリンパスの偉い人の言葉の通り、そこに無ければ意味がないのに、カメラに対する抵抗感は増している。

ある神は言ったそうだ。
「われはあってある者である」

そこに存在するカメラ、写さなければならない瞬間を写せる、その存在が自然と認められている、その存在こそが性能を超えた神カメラではないか。

Leica M11-Pが出るまで、あるいはM10-Pに巡り会えるまで…

まさか半導体不足と円安でこんなことになるとは思っていなかった。M9-Pを二束三文で手放したとき、M10-Pが出ていた。しかしブラックモデルはペイントではなかった… M11-Pを待とうと決めたのだが、M11は画素数が増えすぎてしまった。
そして、今ではM9-PもM10-Pも大人気、中古で巡り会えることは殆ど無いし、あっても中古車くらいの価格になっている。やむなし。
しかし、やはり真の神カメラはM型である。最小のフルサイズ、孤高のレンジファインダー。

友人の相談に乗ってZ fcが好きになる

友人がD3000と単焦点のDX 35mm、ズームのDX 18-200mm を使っていたのだが、重たいから使う頻度が高くないと話していた。
D3000はバッテリー込み重量が536g、Z fcは445gだそうだ。キットレンズは焦点距離が多少異なるものの、DX 18-55mmが195g、Z16-50mmが135gで、総重量は 731g対580gと150gの軽量化が成されている。

重量は150gの差ではあるけれど、持ち運ぶと言うことを考えるともう2つ要素が加わる。

一つは全体の体積。Z fcはミラーレスなのでミラーボックス分の厚みがないし、Zマウントはフランジバックが短く、沈胴レンズもより小型化されているので鞄の中でかさばりにくい。

もう一つは、レンズに重心が偏ることで起きる「お辞儀」だ。お辞儀してしまうと首から提げたときに重さを感じたり、安定性に欠く印象を受け扱いにくい。これは一眼とLeicaの大きな違いでなかなか越えられない違和感でもある。

Z fcとD3000の世代差は13年ほど、その間にセンサーからチップから何から何まで改良され、タッチ操作、Type-C充電、バリアングルモニター、iPhone連携まで可能…それでいてデザインはクラシカルで張り革のカスタマイズまでできてしまう。(期間限定)

Z fc 買っちゃった

友人のミントグリーン(既に張り替えの対象カラーにない)を探す流れで、自分もナチュラルグレー(やはり対象カラーにない)が気になってしまい、結局両方を入手したのだった。

レンズは、画質に拘ると沼をもう一つ掘ることになるので自制して、まずは近年とても評価の高い、そして精力的にマニアックなレンズを大量放出している中国 TTArtisanの25mm F2を選択した。8千円で手に入るレンズとは思えない作りの良さ、2023年とは思えない逆光耐性の低さ、これはここでしか手に入らない素晴らしいレンズだと感動した。

続く課題

Z fc、小さくて軽くて可愛くて最新機能が備わっている。最高じゃないか。

そうすると出てくるのが、現状の望遠担当をD750ではなくZ fcにすることで、小型で低コスト化できるのではないか、と。例えば50-200mmなど4万円だ。

あるいは出張やちょっとした旅行で、カメラに本気を出さないシーンで使うため、標準ズームの 16-50mmや、便利な購買率ズームの 18-140mmもほしいじゃ無いか。

しかし待てよ… 小型軽量だけれど、50-200mmは405gもあるし、18-140mmも315gだ。200g〜300g重くなる、そしてレンズの全長は16-50mmに比べると圧倒的に長い。同じ鞄には入らない。

Leicaのように割り切れば、単焦点レンズを付けっぱなしで使うのもいいだろう。自分が移動して、あるいはその画角を活かして、絵を作ればよいではないか。

利便性を前に、「もうちょっと○○だと…」を重ねてしまったら、また結局フルサイズ機に便利なズームを付けることになってしまう。
望遠側にしかない楽しさがあるのは事実なのだが… 大きさの課題は解決できないのだから、そこは割り切って大きな機材で気合いを入れるしかあるまい。

という風に、永遠にぐるぐると思案を続けては、好いカメラだ、と Z fc を撫で回している。
好きなカメラをいつでも持ち歩いて、心に残したい瞬間を、板書からノートに書き取るように、自分の解釈を加えながらパシャリと切り取る。

次の機種に期待したいことが、無くはない

概ね「良いじゃん」となっているZ fc なのだけれど… 次の機種が出るならば期待したい改善点がある。

  • ISOダイヤル、一回転できてほしい。短い側で回したいのに100とH2の間が越えられない。これ誤って壊しちゃうんじゃないかな?

  • シャッタースピードやISOのダイヤルにオートが欲しい。PASMスイッチは逆に要らない。FUJIFILMの機種のような操作をしたい。

  • シャッターボタンを金属製に、そしてネジ穴が欲しい。ソフトレリーズボタンでカスタムしたい。

  • このボディサイズならフルサイズセンサーはいるのでは? Zマウントだし…フルサイズでこれがほしい。

  • バリアングルよりチルトが良い。首から提げた状態でウェストレベルファインダー的に使いたいし、モニターが光軸から逸れるととても使いにくい。

Z fcにあってZ6 IIやZ5にあったら良いなと思ったのが、格子線表示の分割数を3分割と4分割に切り替えられる機能。3分割で使いたいとどれほど思っていたか…殆どのカメラが3分割なのにNikonだけ4分割しか選べず、このソフトウェアでどうにでもなる時代に、頼むよ! と思う機能の一つだ。

最後に、全てのZシリーズで要望が多い印象で自分もとても困っているのが水準器の表示。常時表示しつつ、もっと控えめにファインダー外に表示したい。なぜ飛行機の水平儀のような主張の大きな絵を表示することしかできないのだ… ファインダー外にゲージを表示するだけの方がグラフィック処理の負荷は軽そうだし、デザイン的な難しさもないように思うのは素人考えだろうか。

写真を撮りに行きたい

新しいカメラ、好きなレンズ、これ持ってどこか撮りに行きたいな。


いいなと思ったら応援しよう!

距離計
遠くへ行きたいのです。サポート頂けたら何か撮ってきます!