クロナガアリ 10年間の飼育記録
日本には300種類近くの蟻が居るようです。世界には1万種類以上と言われています。
蟻は多くの人達は気にも留めない生物ですが、本当に奥深い生活を営んでいます。
ほとんどの蟻の主食は、甘いものor他の昆虫なので肉食性です。
しかし、日本に唯一草食性の蟻が存在します。
それがクロナガアリ(Messor aciculatus)です。
我が家では2013年に飼育を始めて、10年以上飼育しています。
女王アリの寿命は10年~20年と言われていますが、正確には分かっていません(海外の女王アリは29年生きたという記録はあるようです)。
クロナガアリ属は日本には1種類だけ生息していますが、
世界では90種類のクロナガアリ属が確認されています。
ヨーロッパにはバルバルスクロナガアリ(Messor barbarus)が生息していますが、この蟻がイソップ物語の「蟻とキリギリス」のモデルとも言われています。
クロナガアリは他の蟻とは大きく異なる生活を送っています。クロナガアリの主食はイネ科植物の種子です。他の蟻たちが好む甘いものや他の昆虫は食べません。イネ科植物の種子は秋に実るので、毎年9~12月頃に一生懸命に種子を巣に運びます。
巣の中には種子貯蔵庫があり、収穫した種子は貯蔵庫に収容されます。
貯蔵庫が満タンになると巣口を閉じて、翌年の秋まで巣の中で暮らします。
他の蟻たちがエサを巡って戦いを繰り広げる暑い夏に、クロナガアリは秋に蓄えた種子を食べ、快適な地中生活を送ります(秋しか外に出ません)。
クロナガアリは最も深い巣を作る蟻とも言われ、巣の深さは4~5mに達します。
地下5mの地中温度は年間を通して18℃前後であるため、夏涼しく冬温かい住居で暮らしているのです。
こんなクロナガアリの生態を知ったのは小学校2年生(8歳)の時です。
小学校の図書室にあった『クロナガアリ(偕成社)』という本を読んで、
「なんて賢いのだろう!!」と思いました。そして、クロナガアリの生態について、とても知りたくなりました。
クロナガアリとの出会いが、自然科学への興味に入口かもしれません。
クロナガアリなどの蟻の飼育観察について綴っていきます。