「雨」
雨、一つ一つの小さな粒は以前は空を舞っていた。
それも勢いよく日光を浴び、そう僕は自由だった。
僕は仲間と絡みあい、まだ雨と呼ばれる前の話である。
核となる自分というものが育つと僕は一つになり、仲間も一つになった。
すると仲間とは壁ができ僕は悲しみを身にまとった。
薄暗い雲の中で僕は独りになり、
初めて涙になった。
初めて流す自分の涙は地上に向かっていて、同時に自由は無くなった。
雲を過ぎると涙は数多く、この地を覆い尽くす勢いだった。
この涙は意味があるの?その内、僕らは雨と呼ばれた。
雨は数で呼ばれず。僕らはひとくくりにされた。
しかし、まだひとつひとつなのだ。
それぞれは悲しみを抱き、地上を覆い尽くしてまた一つに戻るのだ…
誰かが言っていた。
僕らは世界の悲しみの数だけいるのだから、地上では一つになりましょうと