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切ない感情を表すジュエリーデザイン

前回の記事ではブランドの生い立ちやこれまでの経歴についてご紹介させていただきました。
今回はMESS JEWELRY & GRAPHICのジュエリーデザインをどのように制作しているのか、コンセプト作りから制作まで担当しているジュエリーデザイナーの丘が紹介していきたいと思います。



服作りからジュエリー制作へ


もともとファッションに興味があり、将来自身のブランドをつくるために芸術大学のファッションコースに入学しました。

入学する前は、ファッションデザイナーとしてアパレルブランドを展開していきたいと考えていましたが、ジュエリーの表現の幅の広さや、さまざまな素材を扱うおもしろさに気づき、ジュエリーブランドをつくることを志すようになりました。

大学在学中、そしてMESS JEWELRY & GRAPHICとしてジュエリーの制作をする前、僕はアート作品のようなジュエリー(コンテンポラリージュエリーと呼ばれるもの)の制作をしていました。

アート作品が持つ強いオリジナリティを学ぶことによって、多種多様なジュエリーブランドが世の中にある中で、将来ほかにないジュエリーブランドが作れるのではないかと思ったからです。

中学生の頃から夢見ていたファッションの世界。そこからファッションの幅は広がり、コンテンポラリージュエリーの制作を経て、僕はMESS JEWELRY & GRAPHICを立ち上げました。

見た目ではなくコンセプトからジュエリーを作る


制作ノート

ここからは僕がジュエリーの制作において、大事にしていることを話したいと思います。

ジュエリー制作でまず一番最初に考えるのはコンセプトです。コンセプトを考え、その表現したい気持ちや言葉を最適なビジュアルに落とし込んでいきます。ビジュアルが先行することは実は少ないです。

表現したい気持ちや言葉が先にあり、それを表現するために何度も作ってはやり直しを繰り返して、どのようなビジュアルが最適なのかを探っていきます。

例えば、シンプルなジュエリーが流行っているからといって、そこに無理やり後からコンセプトをつけていくのはとても難しいと思います。
もし僕がそのやり方をしてしまうと、自分が作らなくてもいいようなジュエリーしかできないような、そんな気がします。

なので、コンセプトからきちんと考えてビジュアルをコンセプトに最も忠実だと思える形にしようという考えに至りました。


アートもジュエリーも良い作品には矛盾がある


僕がこれまでにジュエリーやアート作品の制作をしてきた中で、良い作品だと感じるものはどこか矛盾を抱えているなと思っています。

コンセプトから考えるという点のほかに、そんな矛盾をジュエリーに落とし込むことも一つ理想としている点です。

僕がこれまでに見たアート作品で一つ例に挙げたいものがあります。

Kiss, or Dual Monitors - アーティスト:exonemo

この作品は大きな液晶テレビが二つあり、両方の画面に人の顔が映し出されています。その二つの画面がくっついており、画面越しにキスをしているというビジュアルです。

アナログでしか行えない接触行動を直接液晶画面に人を映し、物理的に画面を合わせることでデジタルとアナログの境界線を曖昧にしたとても現代的で美しい矛盾を作品に落とし込むことに成功していると僕は思いました。

こういった作品は説明が不要で、見た瞬間訴えかける力があると僕は考えています。そんな説明がなくても魅力を感じる作品は、お客様にまっすぐにコンセプトを届けることができるめ、僕の理想としている部分です。
(興味のある方はぜひアーティスト名で検索してただけたらと思います。)


美しい矛盾をジュエリーに落とし込む


MESS JEWELRY & GRAPHICでもそんな矛盾を落とし込んだジュエリーがいくつかあります。代表的なものですと「Heart of glass」や「I have Sticks.」というジュエリーです。

Heart of glass

Heart of glassは、「胸に刺さるような気持ち」「ハートから抜けないガラス」「忘れられない」「衝撃を受けた」など、ネガティブにもポジティブにも捉えられる矛盾をもったコンセプトをジュエリーに落とし込みました。

I have Sticks

I have Sticks.は、「棘が見えているのに触れられない」「内に秘めているけれど触ることはできない」「内に秘めているけれど可視化されている」など、いろいろな考え方で楽しむことができると思います。
ちなみに、このジュエリーは僕ではなくグラフィックデザイナーの永井が制作したものです。

ほかにもまだまだありますが、今回はこの二つのジュエリーをピックアップしました。

以上が僕が制作する上で大事にしている「コンセプトから考える」ということや「矛盾を落とし込む」ということについてお話しさせていただきました。


切ない感情を表すのは華奢で愛しいビジュアル


Date Night

次はビジュアル作りについてのお話をしていきたいと思います。

MESS JEWELRY & GRAPHICには華奢で可愛らしい見た目のジュエリーが多くあります。

実は幼い頃から少女漫画や小説をよく読んでいて、その中で出てくる切ない感情や複雑な心境を感じたり分析したりすることが好きでした。

コンセプト作りでもそういった心を映し出すものが自然と多くなっていき、
現在のMESS JEWELRY & GRAPHICのジュエリーのイメージにつながっているのではないかと思います。

今後の新作ジュエリーの発表について


制作中のものや頭の中にあるものも含めて、まだまだお見せできていないジュエリーがたくさんあります。出来上がったジュエリーも新作発表が追いついていない状態です。
少しずつ発表できるように現在準備を進めておりますので、今後の新作の発表もぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。



以上、僕がジュエリーを作る際に大事にしていることを、僕のルーツからお話しさせていただきました。

ぜひ次の投稿も楽しみにしてただけたら幸いです。
拙い長文にも関わらず最後までお読みいただきありがとうございました。


MESS JEWELRY & GRAPHIC
ジュエリーデザイナー 丘

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