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レーザーテック— 世界が注目する「半導体検査の覇者」

レーザーテック— 世界が注目する「半導体検査の覇者」

半導体業界において、日本が世界をリードする分野はいくつかあるが、その中でも異彩を放つ企業がレーザーテックだ。

EUV(極端紫外線)マスクブランクス検査装置で圧倒的な独占状態を築き、半導体製造の最前線を支える。

"検査装置" と聞くと地味に思えるかもしれないが、実際は「この装置がなければ次世代半導体は生まれない」というほど、業界において不可欠な存在だ。


1. レーザーテックが支配する「EUV検査市場」

半導体製造では、極限まで微細化が進んでいる。
EUVリソグラフィ(露光技術)は、3nmや2nmプロセスのチップを量産するために不可欠であり、その技術を支えるのが「EUVマスクブランクス」と呼ばれる光を透過させる基板だ。

問題は、EUVマスクブランクスはちょっとした欠陥でも致命的な影響を与える点にある。
1ナノメートル(nm)の世界では、塵1つが不良品を生む。したがって、完璧な品質管理が求められる。

ここでレーザーテックの出番だ。


同社のEUVマスクブランクス検査装置は、業界で唯一無二の存在。
事実上の市場独占を果たしており、「レーザーテックの装置がなければ、最新の半導体は作れない」といっても過言ではない。


2. 株価が熱狂する理由

圧倒的な成長率

レーザーテックは、このEUV検査装置の需要を背景に、異次元の成長を遂げている。

  • 2023年:売上高3,500億円超(前年比+50%以上)

  • 2024年:純利益1,000億円突破予想

「株価が高すぎる」と言われ続けながら、結局上がり続けてきた銘柄の代表格。
PER(株価収益率)は常に高水準だが、「独占市場 × 半導体の成長トレンド」という2つの武器がある限り、投資家の期待は続くだろう。

なぜ競争が起きないのか?

レーザーテックが独走できる理由は、技術の難易度の高さだ。
EUVの検査装置を開発するには、光学・精密機械・AI解析など複数の最先端技術が必要であり、数十年の研究がなければ追いつけない。
そのため、「後発の参入がほぼ不可能な市場」となっている。



3. 未来の展望とリスク

EUV以外の新事業にも挑戦

半導体は確かに巨大市場だが、レーザーテックはEUVだけに依存しているわけではない。

  • 次世代光学技術(量子コンピュータ向け)

  • 自動運転やAIチップ向けの新しい検査装置

こうした新規分野にも投資を進めており、「EUV後の成長ストーリー」を着々と作り上げている。

リスク:成長の鈍化はあるのか?

強気な見方が多いが、いくつかのリスクも考えられる。

  • 半導体市況の変動(2022年のメモリ不況のような事態が起これば、設備投資が停滞)

  • 顧客集中リスク(ASMLなど特定顧客への依存が大きい)

  • 中国市場の不確実性(米中対立の影響で、中国向けの売上が制限される可能性)

ただ、現時点では「これらのリスクを考慮してもなお、圧倒的な成長ストーリーがある」というのが市場の評価だ。


4. まとめ:レーザーテックは今後も「買い」なのか?

結論として、「この会社が潰れる時は、半導体産業そのものが崩壊する時」と言えるほど、業界での存在感は絶大だ。
短期的な株価の乱高下はあるかもしれないが、長期視点では引き続き注目すべき銘柄だろう。

市場が過熱しすぎた時に調整が入る可能性はあるものの、
「半導体の進化は止まらない」限り、レーザーテックの未来は明るい。

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