英EU離脱(ブレグジット)協定案を合意、19日に英議会審議
英国と欧州連合(EU)は17日、英EU離脱(ブレグジット)協定案を修正することで合意した。離脱が決まった英国民投票から3年余りを経て、今月末の離脱期日を前にぎりぎりの合意にたどり着いたが、ジョンソン英首相には議会承認というハードルがなお残っている。
EU加盟国27カ国の首脳と新たな合意案を承認
EU執行機関である欧州委員会のユンケル委員長は、「意思があるところに合意がある。われわれはそれを達成した。これはEUと英国にとって公平でバランスの取れた合意で、解決策を見つけるというわれわれの決意の証である」と述べた。
ジョンソン英首相も、ブレグジットに関する新たな「素晴らしい」合意をEUと取りまとめたと表明し、議員に対し19日の下院での特別審議で合意を承認するよう呼び掛けた。
これを受け、英国を除くEU加盟国27カ国の首脳は新たな合意案を承認。その後、ジョンソン首相も首脳会議に参加し、メルケル独首相やマクロン仏大統領と談笑する姿が見られた。
英国議会では反対意見も、焦点は19日の英議会審議
しかし、ジョンソン内閣に協力する北アイルランドの地域政党・民主統一党(DUP)が19日の議会審議で新たな合意案に反対する意向を表明。
また、英野党・労働党のコービン党首も新たな合意に労働党は不満だと述べた。
英議会は期限までに合意案が承認されなければ、ジョンソン首相に離脱延期の要請を義務付ける法案を可決しているが、首相は延期を求めない立場を崩していない。
新たな合意案では、これまで最大の争点だったアイルランド国境管理を巡る「バックストップ(安全策)」を削除し、英国がEUの一部基準を継続する。英領北アイルランドは英国の関税制度にとどまるが、英本土から北アイルランドを通ってアイルランドやEU内に向かう商品には関税を課す。
ただ、北アイルランドのDUPは新たな合意案の文言は受け入れられないと表明。これを受け、離脱推進派や与党保守党からも承認に反対する動きが出る可能性がある。
DUPは「われわれの見解では、これらの提案は北アイルランドの経済的健全性にとって利益にならない」と表明した。
これに対し、ジョンソン首相は会見で「議会の仲間がこの合意を理解し、19日に賛成票を投じることに自信を持っている」とする一方、「離脱延期は英国や欧州全体のためにならない。国民は前進を求めていると思う」と述べた。
ドイツ銀行は17日、新たな合意が19日に議会に否決される確率は55%との見方を示した。ただ、最終的には総選挙後に批准される可能性があるとした。
総括
首脳会議ギリギリまで合意は難しいというニュースが流れていたが、結果としてEUとの合意にこぎつける大逆転となった。
世界的懸念事項が一つ解消されつつある、良いニュースである。
但し、英国内では反対意見も出ており、まだ予断を許さない。
焦点は10/19の英議会審議である。
これが否決となると、また離脱期限の交渉となり長期化する恐れがある。
また、これを機にEU解体となりうる離脱ムーブメントにならないことも願うばかりだ。
出典
ロイター 10/18 英とEU、離脱協定案修正で合意 英議会可決は不透明