米中通商協議、英国EU離脱、良い再スタートを切れるか

上海通商協議は善意の措置の確認

米国と中国は30─31日、上海で通商協議を再開する。先月に開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の際に両国首脳が協議再開で合意して以降、交渉担当者間の初の対面協議となる。

ただ今回の会合では貿易摩擦解消に向けた進展への期待は低く、当局者や企業は、中国による米国産農産物の購入や、米国による中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への制裁緩和など、双方が少なくとも「善意」を示す措置へのコミットメントを明確に表明し、今後の交渉に道を開くことを望んでいる。
トランプ米大統領は26日、中国政府が来年11月の米大統領選までに通商協議で合意しない可能性があるとして、交渉妥結に悲観的な見方を示した。
トランプ氏は、先月のG20の際の首脳会談後、中国への新たな関税発動を見送り、中国が米農産物の購入に同意すればファーウェイに対する輸出規制を一部緩和すると表明した。
ただ双方とも、こうした措置を具体的にはとっておらず、中国の補助金や技術移転の強要、知的財産権侵害といった対立の本質的な問題で進展を見込むのは厳しい状況だ。

カドロー米国家経済会議(NEC)委員長は26日、「来週に上海で協議が再開されるが、重要な合意はないとみている。ただ交渉団は5月の協議中断時に戻り、交渉をリセットしたいと考えているもようだ」と述べた。
北京の対外経済貿易大学の貿易専門家、Tu Xinquan氏は、協議の場所が上海になったことについて「それほど政治的ではなく、ビジネス色がより強い」ことが理由の可能性があると指摘。
善意を示す措置については「双方はまず、ある程度の信頼を築くため小さな一歩を踏み出し、さらなる行動はその後になる可能性がある」との見方を示した。

米国を拠点とするある業界筋も、上海での協議で何らかの進展があるとの期待は低いとし、主な目的は双方がG20の際の首脳会談に関連した「善意」を示す措置について明確にすることだと指摘した。

英国EU離脱、新たな合意案が必要

ジョンソン英首相は、欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)を巡り、EUとの新たな合意案が必要との認識を示した。

首相は当地での演説で「(離脱問題を解決できない場合の)バックストップ(安全策)は何の役にも立たず、撤回しなければならない。(メイ前首相の)離脱協定案は破綻しており、撤回しなければならない。しかし、新たな合意を結ぶ余地はある」と語った。
防衛や安全保障、情報などすべての重要分野で新たな協力関係を築く必要があるとした上で「その中でも核となるのが、関税や規制のコントロールや望ましい状況での異なる対応を可能とする新たな自由貿易協定だ」とした。

ジョンソン氏が英保守党党首選に際し、合意なき離脱が起きる確率は100万分の1と発言したことに関する質問に対しては、EU側に十分な善意と良識があるとすれば妥当と答えた。

2014年に行われたスコットランド独立住民投票については、再実施はないと明言した。

ラーブ英外相は29日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)について、合意なし離脱を回避するには、EUはブレグジットに対する「強情な」姿勢を改める必要があるとの認識を示した。

総括

世界の相関が変わりかねない2大問題は、様々な思いを巻き込みながら水面下で動き始めている。

これが表に出てくると、市場はまたかなりのインパクトを受けるだろう。
現にドルポンドの値動きは大きくなっている。

また、現在は企業の決算シーズンに突入しているが、その決算の内容をみていると、対中国の売上に苦戦しており、貿易戦争の影響が如実に現れていることがわかる。

今回の上海通商協議で、少しでも進展することを望む。

本日は日銀金融政策決定会合、31日は連邦公開市場委員会(FOMC)の政策発表である。
円高になりやすいイベントを控えているので注意したい。

出典

ロイター 7/30 米中、上海で通商協議再開へ 進展は期待薄

ロイター 7/30 英、EUと新たな離脱合意必要 首相「安全策は役に立たず」

ロイター 7/30 英外相がEUに警告、「強情な」姿勢改めなければ合意なし離脱に

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