米中通商協議は継続、懸念が後退するも欧州懸念が浮上
トランプ米大統領は14日、米中貿易摩擦は「ささいな口げんか」で、中国との通商協議は決裂していないと述べた。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、両国の交渉団は協議を継続しており、話し合いは「非常に良好」と説明。中国の知的財産や補助金慣行を巡る米側の主張に触れ、「われわれは数十年にもわたって非常に不公正な扱いを受けてきたため、中国とささいな口げんかをしているところだ」と述べた。
トランプ氏はこの日発信した一連のツイッターへの投稿で、「適時に中国と合意する」とし、「考えられているよりも早期に合意に達するだろう!」と述べた。
通商協議を継続表明、両国の報道官
米財務省報道官は、ムニューシン長官がある時点で中国で通商協議を計画すると明らかにした。
報道官は訪中に関する詳細な日程は示さなかったものの、トランプ大統領が来月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせ中国の習近平国家主席と会談する見通しとも述べた。
中国外務省報道官は定例会見で、米中は貿易問題を巡り対話を続けることで合意しているとの認識を示した。
貿易戦争激化懸念の後退
この日の世界株式市場は持ち直した。米主要株式指数が1%強上昇、ドルも通貨バスケットに対して値上がりした。
忍び寄る欧州懸念
イタリアのサルビーニ副首相は、雇用創出の一助になるならEUの 財政規律に違反する用意があると発言。「財政赤字の対国内総生産(G DP)比率が3%、もしくは債務の対GDP比率が130─140%と いうように、財政規律を超える必要性に迫られた場合、われわれにはそ の用意ができている。
失業率が5%に低下するまで、必要な財政出動を 実施する。EUが苦言を呈する可能性があるが、われわれは気にしない 」と述べた。
また、英国のメイ首相は野党・労働党のコービン党首と14日夜の会談する際、欧州連合(EU)離脱協定案の議会採決を6月の第1週に実施する計画であることを伝える。スカイニュースが報じた。
総括
中米の通商協議は、トランプ氏と報道官の発言で一喜一憂する展開が続く。
市場は発言を口実に売買するだけで、株価が上がったからといってそれがポジティブであるとは言えない。
真の協議合意がとれる、またはそれが確実なものになるまで予断を許さない。
そして、欧州の混乱が水面下で迫る。
G20は一層注目を浴びそうです。
出典
ロイター 5/15 米中摩擦は「ささいな口げんか」、協議は継続=米大統領
ロイター 5/15 米財務長官、中国での通商協議を近く計画=報道官
ロイター 5/15 英首相、6月第1週にEU離脱案の議会採決実施を検討=スカイ
ロイター 5/15 NY外為市場=ユーロ安、イタリア不安再び 米中協議期待がドル支援