【4/5】110円を維持できるか、これからの円の流れ
対米ドルは年初来安値の110.67円を割り込み、2014年10月末に日銀が放った追加金融緩和「黒田バズーカ2」の水準に逆戻りしてしまいました。
なぜこのように円高が加速しているのでしょうか。
■米早期利上げ期待の後退
3月末に行われたイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の講演をきっかけに米早期利上げ期待が後退し、ドル売りが強まっています。
それまでは年4回の利上げが予想されていましたが、世界情勢に慎重な姿勢から年2回に削減されました。
FRBとしてはそもそも予定通りという見解でしたが、市場はこれに敏感に反応し、今のドル売り円買いの勢いとなりました。
■目先の焦点 原油価格
目先では産油国による原油増産凍結の行方が焦点となります。
クウェートのフザイア石油輸出国機構(OPEC)理事が17日に開催さえる主要産油国会合ではたとえイラン抜きでも増産凍結で合意できるとの見通しを示しました。
また、米サプライ管理協会(ISM)発表の3月の非製造業景況指数が市場予想を上回りました。
しかし、米エネルギー情報局(EIA)が本日6日に発表する週間石油在庫統計で原油在庫の積み増しが予想されており、供給過剰懸念はいまだに根付いています。
■4月の日銀会合とFOMC
4月の日銀会合や米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えています。
市場はそれぞれの政策変更は見込んでいません。
日銀の追加緩和を決定するかは微妙なところだが、緩和強化になるなら株価は上昇し、円安の動きに反転するでしょう。
ただし、今なお根付く中国経済後退懸念や原油過剰供給懸念により、仮に日銀が追加緩和に動いたにしても1月のマイナス金利導入時と同じく一過性の株高・円売りに終わるおそれがあります。
FOMCが米利上げを発表するとこれも円安となりますが、4月利上げの可能性はないでしょう。
■5月のサミットと6月OPED総会、FOMC
5月にはG7伊勢志摩サミットが控えています。
これにより具体的な経済対策が打ち出されるかが焦点となります。
その後は6月のOPEC総会やFOMCが控えています。
原油価格の安定化や利上げ時期の最有力である6月に実際に利上げされるかが焦点となります。
■110円を維持できるか
110.50円も割り込んできたので、目先は心理的節目の110円ちょうどを維持できるかに注目です。
110円を簡単に割ってしまうようだと更なる円高となり得ます。
逆に110円を維持できれば底入れとなり反転するでしょう。
今年は為替の動きに翻弄される年となりそうです。
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