三井松島HD 動きを追ってみた

はじめに

 本企画は、2021年末から2022年月ごろにかけて急騰したバリュー株、三井松島HDについて、「バリュエーションの変化」、「株価上昇の要因」を探ることで、割安株の投資タイミング・出口戦略の参考にしよう、というものである。
 また、ファンダメンタルズ分析の一流投資家である井村俊哉さんが保有したことでも注目された。井村さんの動きも追っていく。

1.キーとなる指標の推移


(バフェット・コードより https://www.buffett-code.com/)

株価
PER
PBR
配当利回り
原油先物(Investing.comより)

2.推移

①2021年10月末急騰

・1450円くらいから1800円へ。
・理由;井村さんの大量保有報告書。
・2021年1月から原油価格は高騰している。
・EPSは153.7円の予想。
・PERは9.4倍から11.7倍へ。

②2021年11月5日 2Q決算発表で急落。 

・1470円かた1280円へ。
・EPS:153.7円→307.50円へ修正(2倍)。
・決算時点でPERは9.6倍から4.7倍へ。
・しかし、その後の株価でPERは4.1倍へ。
・井村さん保有から1回目の決算。
→成長はしているのに、過剰にバリュエーションが下がったタイミング。
 買えたタイミング。(自分もここで入った)

③2021年12月末 急騰

・1450円くらいから1800円へ。
・理由:不明。石炭価格も小幅上昇しかしていない。
・PERは4.7倍から5.8倍へ。

④2022年2月4日 3Q決算発表(2回目の決算)

・上方修正などはない。
・予定通りの決算。
・決算後の株価に影響はあまりない。
・反省:原油先物が上がってきており、ここは買い増しできたタイミングだった。

⑤2022年3月4日 急騰。

・1650円から2000円へ。
・理由は株主優待の拡充。
・背景として、原油先物が最高値更新している。

⑥2022年5月13日本決算 (3回目の決算)

・業績修正予想通りの業績へ。
・好業績を受けて来期記念配当を実施し、配当2倍への160円に。
・160円になることで利回りは4%から8%へ。
・決算を受けて2000円→3200円まで急騰。
・これによって、配当利回り5%まで買われる。
→メガネを外した瞬間

⑦井村さん売り。

・3200円くらいで5%以下まで売却。
・約:1300円から3200円と2.5倍程度の利益。
・おそらく、3回目の決算で開示がカタリストが解消されたと判断したから。

⑧2022年8月5日1Q決算(4回目の決算)

・3200円から4000円まで急騰。
・50%の業績予想の上方修正。
・記念配当増配160円→230円。
・利回り5%→7.1%。結果5.7%まで買われた。
→ここが頂上だった。株価も原油価格も。
 モメンタムが一気に乗った瞬間。

⑨急落。

・3400円まで下がる。
・理由は井村さんの売却。
・背景として石炭価格の落ち着き。
・自分はここで手仕舞う。

⑩まとめ

・原油と石炭の関係は代替品という点で親密であり、価格連動性もある。そのため、ロシア・ウクライナ戦争から資源国であるロシアの資源(石油・石炭・天然ガスなど)に影響が出る仮説はたてられた。また、コロナショックによる世界的な物流の停滞かたコンテナ運賃が上がっていた点、つまり物流コストが上がっていた点、米国の大規模金融緩和政策(コロナ対策)により、人手不足から米国の人件費が急騰していた点から、米国で高いインフレが起きるという仮説、インフレが起きることで、利上げされ、日米金利差により円安が起こるというところまで仮説がたてられるようになりたい。
・上記仮説があれば、エネルギセクターはPBR0.5倍以下という割安が多く下値が限定的にもかかわらず、資源価格上昇の恩恵で2倍以上成長もあり得るというリスクリワードの非常に高いセクターだった。その中でも三井松島を選ぶ理由は深掘りしても難しい。仮に自分であれば、エネルギーセクターバスケット買いしていた。またはINPEXのようなリスクの低い方へ投資していた。海外に石炭の権益を持っている点、経営陣が株主に目をむけていた点が評価されたと考える。
・投資タイミングの目標は、投資してから4回の決算以内に考えている複数のカタリストが表面化することだろう。
・バリュエーションの変化について、配当利回りは増配の後、5.5%程度まで買われる。また、PBRは0.5倍から本決算後は1.3倍まで買われている。これは現在のPBR1倍以下の銘柄の1つの指標だと考える。

3.終わりに

 現在、東証の市場区分見直しに関するフォローアップ会議で、2023年春よりPBR1倍以下の企業に対して改善を求めることがきまっており、割安銘柄に注目している方が多くいらっしゃると思う。
どんなセクターに注目するのか、どんなカタリストの仮説を立てるか、また出口戦略について参考となれば幸いだ。

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