日商簿記範囲外のEX論点【暗号資産⑤】~暗号資産の獲得~
日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。
今回は、暗号資産の論点から「暗号資産の獲得」を紹介します。
※今後、取り扱いが変わる可能性があります。
1.暗号資産の獲得
概要
暗号資産は、取引所や販売所からの購入、仕入・売上の対価としての獲得のほか、マイニング・ステーキング・エアドロップといった方法で入手することができます。
マイニング(Mining)は、暗号資産の取引内容を承認し、取引を成立させることで、報酬として暗号資産を獲得する行為のことです。
ステーキング(Staking)は、暗号資産のブロックチェーンネットワークに参加することで、報酬として暗号資産を獲得する行為のことです。
エアドロップ(Air Drop)は、取引所等が行う無料で暗号資産やトークンを配布するイベントで、定められた条件をクリアすることで、報酬として暗号資産を獲得する行為のことです。
なお、会計上の処理は現時点で定められていません。
その為、下記に示す仕訳は、あくまで一例ととらえていただければと思います。
当然、今後変更になる可能性もあります。
仕訳
マイニング等による暗号資産獲得時の仕訳
マイニング・ステーキングによって獲得した暗号資産は、その時点での時価によって計上します。
相手勘定は、
事業として行っている場合⇒売上
そうでない場合⇒雑収入
で計上すると考えられます。
また、マイニングに要した人件費や電気代等は、発生時に費用計上します。
エアドロップによる暗号資産獲得時の仕訳
エアドロップによって獲得した暗号資産は、市場価値の有無によって、計上すべきか否かが変わります。
市場価値がある場合 ⇒ 時価で計上
市場価値がない場合 ⇒ 計上しない
市場価値がある場合は、暗号資産受贈益勘定(営業外収益)、あるいは雑収入等で計上すると考えられます。
2.例題
(1)暗号資産の獲得
以下の取引について、仕訳を示しなさい。
なお、暗号資産の取引に関して、A社は事業として認めているが、B社は事業として認められていない。
①X1年8月1日に、A社はマイニングの報酬として暗号資産X4.5単位分(1単位あたりのレート:@96千円)を受け取った。
また、マイニングに要した費用125千円(経費として処理)が請求されたので、現金で支払った。
②X1年8月10日に、B社はステーキングの報酬として暗号資産Y0.5単位分(1単位あたりのレート:@156千円)を受け取った。
取得時の1単位あたりのレートは、@140千円だった。
③X1年8月31日に、エアドロップによって暗号資産Z0.2単位分(1単位あたりのレート:@240千円)を受け取った。
なお、受け取った際の利益は、暗号資産受贈益として計上した。