日商簿記範囲外のEX論点【債権・債務⑥】~デット・エクイティ・スワップ~
日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。
今回は、債権・債務の論点から「デット・エクイティ・スワップ」を紹介します。
1.デット・エクイティ・スワップ
概要
デット・エクイティ・スワップ(Debt Equity Swap、DES)は、企業の持つ債務である借入金を株式に交換することをいいます。
債務の株式化と呼ばれることもあります。
負債を資本に交換するという性質上、企業再建の手段の1つとして用いられます。
債務者側は、借入金が無くなることで自己資本比率が高まり、債権者側は、株式を入手することで経営に参加できるようになります。
債権者側の仕訳
実施時の仕訳
DESを実行した際は、債権の帳簿価額から、貸倒引当金の設定金額と株式の時価を差し引いた額で、債権譲渡損勘定を計上します。
企業の財政が悪化している際に行う関係上、利益が計上されることはほとんどありません。
債務者側の仕訳
実施時の仕訳
DESを実行した際は、債務の帳簿価額で、資本金等へ振り替えます
(資本準備金を計上するケースもあり)。
この帳簿価額は、借入金の券面額か現時点での債務の評価額のどちらかを使用することができます。
債務の評価額で計上を行う場合は、
上記のように、評価額と券面額の差額で、債務消滅益勘定を計上することがあります。
2.例題
<1>DES
以下の資料に基づいて、仕訳を示しなさい。 (単位:円)
A社は、以前にB社に対して400,000円の貸付けを行っていたが、B社の業績が悪化した為、貸倒引当金を220,000円設定した。
B社株式の時価は、150,000円と見積もられる。
DESによって発行される新株の金額は、評価額説(現時点での債務の評価額)に則っている。
また、その全額を資本金とする。
①DES実行時の仕訳を示しなさい。
≪A社側≫
≪B社側≫