札幌地下鉄延伸の妄想②~東西線~
札幌市の地下鉄は、清田区を除く区に広がっている。
地下鉄を清田区まで延伸して欲しいという声や、宮の沢より先まで延伸して欲しいという声もあるようで、札幌市における地下鉄は重要な公共交通機関と言える。
そこで、既に考えている方々も多く、陳腐な発想になってしまうが、もし今の路線からの延伸を行うとどうなるか、採算を度外視した上で自分なりに考えてみたいと思う。
なお、市外までの延伸は場合によっては考慮する。
今回は、当初の計画等を踏まえながら、東西線の延伸を考えていく。
当初の計画
当初の計画は、下記の通りひばりヶ丘から鉄工・木工団地(発寒駅周辺)までとなっている。
2号線・東西線(ひばりカ丘〈第2副都心〉―南郷―テレビ塔―鉄工・木工団地〈軽工業地帯〉)
宮の沢駅(発寒駅周辺)、ひばりヶ丘駅は既に存在する為、当初の計画通り完成していると言える。
また、この時点で木工団地から手稲まで延伸する案や、上野幌まで延伸する案もあったようだ。
手稲区への延伸
現在、手稲までの地下鉄延伸を求める期成会が発足されている。
その期成会が延伸を要望しているルートは以下のとおりである。
ただし、具体的にどこを通るのかまでは記載されていない。
東西線の延伸は、宮の沢駅から北西側に向かいJR手稲駅までの6.5㎞と、その先の北海道科学大のある道道下手稲札幌(下手稲通)までの1.5㎞の計8㎞の延伸を目指している。
また、具体的な終点は明記されていないが、期生会は北海道科学大学に新駅を作る案があるようで、そこを考慮するルートも作成することにした。
宮の沢駅からの延伸(二十四軒手稲通ルート)
宮の沢駅から、期成会の目的通り手稲区まで延伸する場合のルートを考える。
通るルート
ルートとしては以下の通り。

【二十四軒手稲通】を通り、手稲駅を終点とする。
その先は下手稲線を通り、北海道科学大学周辺まで建設する案があるが、無闇に伸ばすよりは、キリの良い場所で止めるべきだと判断した。
各駅の詳細
できる限り、交差点付近になるように、また駅間距離が2kmを超えないように選定した。
■西宮の沢3条1丁目
距離:約1.4km
周辺施設:コープさっぽろ 西宮の沢店など
■富丘1条4丁目
距離:約1.5km
周辺施設:手稲警察署など
■手稲駅
距離:約1.6km
周辺施設:手稲区役所など
総距離は約4.5kmとなる。
※北5条通りを通るルートの場合、総距離は約5.2kmとなる。
なお、どのルートであっても期成会の示した6.5kmになることは無かった。
宮の沢駅からの延伸(下手稲通ルート)
宮の沢駅から、下手稲通を通るルートを考える。
通るルート
ルートとしては以下の通り。

【二十四軒手稲通→追分通→下手稲通→石狩手稲通】を通り、手稲駅を終点とする。
このルートの場合、無理に手稲駅を終点とせず、北海道科学大学周辺を終点としたほうが、収まりがよいのではないかと考える。
各駅の詳細
できる限り、交差点付近になるように、また駅間距離が2kmを超えないように選定した。
■発寒駅
距離:約1.5km
周辺施設:イオン 札幌発寒店など
■新発寒5条1丁目
距離:約1.5km
周辺施設:ケーズデンキ 発寒店など
■新発寒5条5丁目
距離:約0.8km
周辺施設:コープさっぽろ 新はっさむ店など
■前田6条7丁目
距離:約1.1km
周辺施設:札幌市立稲積小学校など
■前田6条11丁目
距離:約0.9km
周辺施設:ドン・キホーテ 手稲店など
■手稲駅
距離:約1.2km
周辺施設:手稲区役所など
総距離は約6.8kmとなる。
新さっぽろ駅からの延伸
既に新さっぽろ駅が終点で収まりがついている為、延伸など考える必要もないように思うが、もし延伸する場合のルートを考える。
通るルート
ルートとしては以下の通り。

【厚別青葉通→札幌江別通】を通り、森林公園駅を終点とする。
なお、その先の江別市には既にJRが通っており、そこまで地下鉄を延伸させる意義は薄いといえる(競合を避ける為)。
各駅の詳細
できる限り、交差点付近になるように、また駅間距離が2kmを超えないように選定した。
■厚別東4条3丁目
距離:約1.2km
周辺施設:スポーツデポ 厚別東店など
■森林公園駅
距離:約1.4km
周辺施設:ケーズデンキ 厚別店など
総距離は約2.6kmとなる。
延伸の際に考えるべきこと
仮に、このような妄想ではなく本当に延伸への機運が高まったとしても、
ルートをどうすべきか
利用客の増加は見込めるか
市や交通局の財政状態および経営成績は、新駅を建設できるレベルで良好か
建設費等の財源はどうするか
継続して利益が見込めるか(採算性があるか)
等の問題をクリアする必要がある。
この他、人口流出・少子高齢化社会等の社会的事情も考慮する必要があるので、延伸すべきかは慎重に決めなければならない。
さらに、この問題をクリアしたとしても周辺が賑わうかといえば、必ずしもそうではない。
コンパクトシティが叫ばれている中で、本当にその開発は必要なのかという意見もあるだろう。
東西線特有の問題
仮に延伸するのであれば、宮の沢駅以西への延伸が中心になると思われる。
東西線の東端である新さっぽろ駅が副都心として位置づけられているように、西端は手稲まで接続ができれば、駅周辺の発展の余地はあると思われる。
しかし、東西線の大体の駅がそうだが、JRと並行することになる為、場合によっては利用客の奪い合いになり、想定を下回る結果になるのではないかと予想する。
また、どのルートであっても北海道新幹線の地下ルートを考慮しなければならない。
下記PDFは、北海道新幹線が札幌市内のどのルートを通るかを表したものである。
↓参考資料(札幌市ホームページより)
https://www.city.sapporo.jp/shimin/shinkansen/gaiyo/documents/ru-to.pdf
新さっぽろ駅以東への延伸の場合、江別方面へ伸ばしてもJRと競合することになるだろうし、森林公園までの延伸だったとしても、当駅の利用者はJR新札幌駅と比較しても多くない。
新さっぽろ駅のある厚別副都心を終点にすることで、綺麗に収まっている(収まるように開発をしている)のだから、わざわざ延伸する必要があるのか、という話にもなるだろう。
実現可能性
豪雪地帯である札幌にとって、気候の影響を受けない地下鉄が欲しいと思う方々もいるだろう。
事実、東西線には手稲区への地下鉄延伸を求める期成会が発足されている
(過去にも、市民団体が発足したことはあるが、解散している)。
しかし、事務局は北海道科学大学構内にあること、パワーポイントには北海道科学大学周辺に新駅を作る案が映し出されていることを考えると、この期成会発足の背景には北海道科学大学高校の手稲区移転があると思われる。
もしこれが真実ならば、それこそ現代の「我田引鉄」といえるだろう。
この延伸に関して、既に市長側が「採算が合わない為延伸の計画はない」と発言していることを踏まえると、東西線の延伸は実現性があまり無いといえる。
次回は、当初の計画等を踏まえながら、東豊線の延伸について考えてみたいと思う。
参考資料↓
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