日商簿記範囲外のEX論点【インセンティブ・プラン⑪】~ファントム・ストック~
日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。
今回は、インセンティブ・プランの論点から「ファントム・ストック」を紹介します。
※今後、取り扱いが変わる可能性があります。
1.ファントム・ストック
概要
ファントム・ストック(Phantom Stock)とは、従業員等に報酬として実際の株式ではなく、仮想の株式を交付する報酬制度です。
書面上、従業員等に自社株を与えたことになります。
ファントム・ストックのメリットとして、
仮想の株式の為、権利を行使したとしても株価は影響を受けない
実際の株式同様に、配当金を受け取ることができる
といったものが挙げられます。
一方、デメリットとして
株価は日々変動する為、差額決済による負担額を見積もることが難しい
費用負担の増大を抑える為、発行者側が支払額に上限を設けている場合がある
といったものが挙げられます。
なお、会計上の処理は現時点で定められていません。
その為、下記に示す仕訳は、あくまで一例ととらえていただければと思います。
当然、今後変更になる可能性もあります。
計算式
権利が確定するまでの間、ファントム・ストックによる負担額を各期ごとに算定し、費用として計上する必要があると考えられます。
各期に配分される費用計上額の計算式は、このように算定されると考えられます。
仕訳
権利付与時の仕訳
付与時は、対価の払い込み等が発生しないため、仕訳は不要です。
決算時の仕訳
権利確定日前の決算整理仕訳として、各期に配分される費用計上額(上記参照)で、株式報酬費用勘定等の適当な勘定で計上するものと考えられます。
なお、相手勘定は現時点で明確に定められておらず、便宜上株式報酬引当金勘定にて計上しています。
権利行使時の仕訳
従業員等が権利行使を行った場合、負債(引当金)を取り崩し、株価の差異による差額分は、株式報酬費用勘定等の適当な勘定で計上するものと考えられます。
2.例題
※現時点で会計基準が定められていない為、例題の紹介は致しません。