日商簿記3級から1級の範囲外の論点、および範囲内ではあるものの出題率の極めて低い論点を紹介します。
基本的に、公認会計士・税理士等で紹介されるような論点となります。
なお、論点に対しての適用指針等は紹介しません。
今回は、インセンティブ・プランの論点から「段階的に権利行使が可能となるストック・オプション」を紹介します。
1.段階的に権利行使が可能となるストック・オプション
概要
付与されたストック・オプションに、権利行使期間の開始日が異なるものが含まれている関係で、時の経過とともに、一定部分ごとに段階的に権利行使が可能となる場合があります。
このような場合は、原則的な方法か容認されている方法にて会計処理を行うこととなります。
仕訳
決算時の仕訳
段階的に権利行使が可能となるストック・オプションでは、権利行使期間1年目は何割かの行使ができ、2年目以降はすべて行使できる、といった条件が付されています。
この場合、原則法・容認法ともに付与数に行使できる割合を乗じて計算する必要があります。
2.例題
<1>段階的に権利行使が可能となるストック・オプション
以下の資料に基づいて、仕訳を示しなさい。 (単位:円)
会計期間は、4月1日~3月31日とする。
A社は、X1年6月の株主総会において、従業員80名に対してストック・オプションを付与することを決議し、X1年7月に付与した。
このストック・オプションは他社に譲渡できず、また一部行使はできないものであった。
ストック・オプションの条件は以下の通りであった。
付与数:従業員1名あたり200個 (合計16,000個)
1個当たり株式数:2株 (合計32,000株)
1株当たり行使時の払込金額:7,000円
権利行使期間:X3年7月から2年間
権利行使条件は、以下の通りであった。
1.権利開始期間1年目は割当数の40%が行使でき、2年目以降はすべて行使できる。
2.行使時において従業員の地位にあることを要し、退職した時点でストック・オプションは失効する。
1株あたりの公正な評価単価は、以下の通りであった。
X3年6月末に権利確定する部分:@840
X4年6月末に権利確定する部分:@900
付与時点において、以下の通りに退職による失効を見込んでいる。
X3年6月末まで:4名
X4年6月末まで:6名
なお、実際の退職者数は、
X3年6月末まで:3名
X4年6月末まで:5名
であった。
①X1年度の決算整理仕訳を示しなさい。
≪原則法≫
≪容認法≫
②X2年度の決算整理仕訳を示しなさい。
≪原則法≫
≪容認法≫
③X3年度の決算整理仕訳を示しなさい。
≪原則法≫
≪容認法≫
④権利確定日の仕訳を示しなさい。
≪原則法≫
≪容認法≫