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メセン研究レポート

はじめに

2024年に「帝玉」という不思議な植物を買って、すぐに枯らしてしまったのをきっかけに、メセンと呼ばれるグループの植物をいろいろと集めて育てるようになりました。

ところが、このメセンという植物グループについてまとめているサイトがあまりなく、それならと自己流でまとめてみることにしました。もちろんハマってからまだ数か月の知識で、きちんと夏も越したことがないメセン1年生なのですが…。

このページを作るのに一番参考にしたのは、1998年に南アフリカ共和国のBriza Publicationsから出版された『MESEMBS OF THE WORLD』という本です。たぶん世界で唯一(?)のメセンについて書かれた本。ありがたいことに現在ではInternet Archiveにて無料で全ページが公開されています。他にも日本の『世界の多肉植物3070種』(主婦の友社)などを参考にさせていただいてます。

植物の名前には気を遣っていますが、分類法などはかなり個人の主観が入っていますのでご了承ください。またこのページは日々アップデートを重ねていこうと思っています。


メセンってどんな植物?

メセンというのは特定の植物や属を指すのではなく、昔ハマミズナ科の中で「メセンブリアンテマム属」とされていた多肉植物のことを指します。Wikipediaには「現在40属以上、千数百種が知られている」と記載がありますが、『MESEMBS OF THE WORLD』には現在発見されている123属すべてを掲載している、とあります。

詳細はWikipediaを読んでいただくとして、個人的な主観で言えば、人間のおしり脳味噌に見えるものがいたり、ウサギワニとかキノコに見えたりするものもいて、なんとも言えないかわいらしさと不気味さ?キモカワさ?を持っていると思います。

しかし一部の花形スターを除いてはあまり人気がないようで、多肉植物店に行っても一つもないなんてこともザラ…。あっても比較的安価で手に入るものが多いので、ぜひ気軽に育ててみてほしいです。

(本来のメセンとは関係ないブルビネ属に「メセンブリアンイデス」、リプサリス属に「メセンブリアンテイデス」がいて、どちらもつぶつぶでかわいいので混同されがちですが、このふたつはメセンではありません。たぶんどちらも「メセンぽいです」って意味だと思ってます)

冬に成長する冬型植物が多いですが、春・秋型、夏型のものもいます。また乾燥を好むものが多いので、水をやりすぎで「ある日突然溶けた」なんて話も聞きます。

中には育てるのが難しいとされる種類もいるにはいますが、基本的には陽当たりと水やりの頻度さえ気をつければ半ば放置していても育つものが多いと思います。一人でも多くの人がこの沼にハマってくれたらいいのになと思っています。


メセンの種類

変わった種類が多いメセン。先の『MESEMBS OF THE WORLD』では14のグループに分類されているのですが、英語で意味が捉えにくいものや、ちょっとこれは違うんじゃない?というところもあるので、個人的に勝手に、分かりやすく、キャッチーに、12の種類に分類してみました。
(ちなみに、図鑑やネットを見ていると花に関する記述が多いのですが、筆者は花にあまり興味がありません)

①草メセン

多肉植物と呼ぶにはふさわしくないような、いわゆる「草」の種類。
(主な属)
・メセンブリアンテマ…食べるとしょっぱい「アイスプラント」が以前流行りましたが、それもこの属の一種。
・アプテニア…「ベビーサンローズ」という名前でよく園芸店で売られています。
・スケレチウム…ウチにいる「スケレチウム sp」はつぼみのような形の葉っぱで、葉が枯れると葉脈だけが残って不思議な形になります。

②玉草メセン

『MESEMBS OF THE WORLD』では「舌のような葉メセン(TONGUE-LEAVED MESEMBS)」「房メセン(TUFTED MESEMBS)」とありますが、①の草メセンと③の玉メセンの中間的存在として名付けました。
(主な属)
・ケイリドプシス…メセンといえばコノフィツムやリトープスの存在が目立ちますが、「ケイリドプシスこそがメセンの顔」だと思っています。丸っこいものからとんがったものまで、巨大なものから極小サイズまでいろんな種類がありますが、基本的にみんな「チョキ」みたいな形をしています。
・グロッチフィルム…ケイリドプシスに似てるけど、なんというかもう少しベタッとしてます。
・シュワンテシア…これもケイリドに似てるけど、⑤ワニメセンのフォーカリアに少し似ています。
・ロンボフィルム…「快刀乱麻」というカッコいい名前の種類が一番普及してると思います。枝に、兜のツノのような多肉質の葉が生えてます。
・ラビエア…グロッチフィルムやシュワンテシアと似ていていつもごっちゃになります。やはり⑤ワニメセンのフォーカリアに少し似ている気がするけど、ウチにいる「ラビエア sp」は折り鶴のような形です。
・マルロシステラ…シュワンやラビエアと、下記のベルゲランタスの中間のような印象です。ウチにいる「マルロシステラ ユニオンダレンシス」と思われる子はほとんど三時草ですが、塊根が立派。もうひとつ「マルロシステラ ステノフィラ」と思われる子はケイリドプシスの一種「デンティクラータ」に似ています。
・ベルゲランタス…「照波」「三時草」「レモンゼスト」(カクタス長田さん産の斑入りの固有の種類?)などと呼ばれる「マルチセプス」が園芸店で手に入りやすいです。この中では一番草っぽくて、丈夫でどんどん増えます。根っこが塊根のようになります。

③玉メセン

「メセンといえばコレ」というリト・コノや、帝玉、魔玉、幻玉、妖玉など怪しい名前の玉がたくさんいる玉型のメセン。植物とは思えない本当に不思議な形が多いです。
(主な属)
・リトープス
・コノフィツム
・アルギロデルマ
・ディンテランタス
・ギバエウム
・プレイオスピロス
・タンクアナ
・ムイリア

④恐竜メセン

アロイノプシスやチタノプシスといった、恐竜や爬虫類の皮膚のような質感の葉っぱがあるものを勝手に「恐竜メセン」と名付けました。丈夫な種類が多いと思います。
(主な属)
・アロイノプシス
・チタノプシス
・ネオヘンリシア

⑤ワニメセン

葉にギザギザがあり、まるでワニや怪獣が口を開けたような見た目をしています。気持ち悪いと思う人もいるかもしれないけど、個人的にはギザギザやボコボコが多ければ多いほどカッコいいと思います。和名に「〜波」と付くものが多いです。
(主な属)
・フォーカリア
・ストマチウム
・カルアンサス

⑥つぶつぶメセン

葉が粒状のメセンです。デロスペルマは、マツバギクとして花がメインの植物として販売されていたり、さまざまな種類があります。ドロサンテマムはデロスペルマよりも葉が小ぶりでキラキラ光っているので人気になりました。
(主な属)
・デロスペルマ
・ドロサンテマム

⑦ウサギ・鳥メセン

若い葉がちょこんと飛び出しているのがウサギの耳のように見えることから「うさ耳」と書かれて売られているものも。その仲間に、鳥のように見える種類もあります。
(主な属)
・モニラリア
・メイエロフィツム
・ミトロフィルム

⑧塊根メセン

根っこが肥大して成長し、根上げされた状態で売られているものも多いです。樹木のように見え、好みの形に剪定できることからアフリカン盆栽とも呼ばれるようです。
(主な属)
・トリコディアデマ
・メストクレマ

⑨魚メセン

パクパクと口を開けた魚が連なっているような種類です。よく似た碧魚連とレーマニーという種類がたくさん流通していますが、属は違います。
(主な属)
・ブラウンシア
・コルプスクラリア
・ハルトマンサス
・アストリディア

⑩龍メセン

(主な属)
・スミクロティグマ
・ルスキア
・オクトポマ

⑪光メセン

(主な属)
・フェネストラリア
・フリチア

⑫もじゃもじゃメセン

(主な属)
・フィロボルス

⑫その他のメセン

(主な属)
・オスクラリア
・ディプロソマ



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