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「パーソナルカラー診断」の認知度は80%超え! 「骨格診断」 「顔タイプ診断」、診断に答えを求める心理とは

「イエベ」「ブルべ」「ウェーブ」「ストレート」といった言葉を聞いたことがあるだろうか。これは「パーソナルカラー診断」や「骨格診断」などの、自分自身に似合うメイクやファッションを見つけるための診断でわかる分類名のことだ。今、そういった診断がMERY世代の女子たちの間で人気を博しているという。その理由とははたして……?

MERY読者を対象に行ったアンケート結果を交えながら、若者の心理を読み解く。

MERY発表のトレンドワード予測によると、2021年も診断コンテンツが熱い!

MERY Lab内の記事「『私は私のままで生きることにした』はなぜ売れた?日本の女の子が韓国エッセイを読む理由」で触れた「2020年トレンドワード5選」。その一つに選ばれていた「ウェーブ優勝」というワードの「ウェーブ」とは、「骨格診断」で分類されるタイプ名の一つです。

「骨格診断」とは、身体のラインや肌の質感、筋肉のつき方などの特徴から、自分自身の体型を最もキレイに見せてくれるファッションアイテムを導き出すために行う診断のこと。

MERY内の記事「骨格ウェーブ、ストレート?自分の体型スタイルを学んでコーデをより華やかにするコツ」、「“可愛いのに似合わない”には原因有り。着痩せする服が見つかる骨格診断のすゝめ」などで紹介したように、骨格ストレート、骨格ウェーブ、骨格ナチュラルという3種類の骨格スタイルがあり、自身の骨格スタイルに合った洋服を選ぶと、痩せて見える効果があると話題を呼んでいます。

また、トレンドワードには選出していないものの、MERYが注目し続けているのが「パーソナルカラー診断」。髪や瞳、肌などの色と雰囲気から、似合うメイクやファッション、アクセサリーを見つけるために行う診断のことです。

自分に似合うメイクは知ってる?パーソナルカラー別毎日メイクのおすすめコスメ紹介」や、「好きと似合うは違うみたい。パーソナルカラー診断で、私色コーデみいつけたっ」など、数多くの記事を公開し、大きな反響が得られています。

そして、2021年の年始に発表した「2021年上半期 トレンドワード予測5選」。その中には、「顔タイプ診断」というワードを選定しました。

2021トレンドワード予想_05

「顔タイプ診断」とは、顔の輪郭やパーツの特徴、バランスなどから、その人の顔立ちを分析することで、似合うファッションのテイストや髪型、メイクなどを導き出してくれるもの。2017年頃から登場し、その知名度はどんどん増してきています。

さらに最近では、骨格・パーソナルカラー・セルフイメージの3要素をもとに診断する「パーソナルスタイリング診断」や、「顔タイプ診断×骨格診断」など、各診断を掛け合わせたコンテンツも登場。このように今、診断コンテンツブームが巻き起こっているのです。

「パーソナルカラー診断」の認知度は80%超え!

診断コンテンツが話題になっていることがわかったところで、今どきの女の子たちの診断ブームの実態を探っていきましょう。MERYでは、MERY読者を対象に診断コンテンツに関するアンケートを実施。会社員・公務員が95人、大学生・専門学生が89人、高校生・中学生が114人、主婦が11人、パート・アルバイトが38人、その他が21人、計368人からの回答が寄せられました。

「パーソナルカラー診断」「骨格診断」「顔タイプ診断」、それぞれの認知度を聞いてみると、以下のような結果が得られました。

各診断の認知度

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パーソナルカラー診断は83.2%、骨格診断は73.4%と認知度が非常に高く、若者の間では、“ブーム”というよりも、もはや“定着”に近い状況であることがうかがえます。2021年上半期のトレンドワード予測5選に選出した「顔タイプ診断」も、既に約半数の人に認知されており、これからさらに認知度が高まることは必須でしょう。

「実際に診断を受けたことがありますか?」という質問では、パーソナルカラー診断は39.8%、骨格診断は28.9%、顔タイプ診断は10.8%の方が受けたことがあるという結果に。

実際に受けたことがある診断

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受けたことがある診断「どれも診断したことがない」との回答は51.8%でした。言い換えると、約半数の人は何らかの診断を受けたことがあるということになり、MERY世代の女子たちが診断に頼っているということがいえるでしょう。

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診断を受けた人に、どのような方法で診断したのかを尋ねたところ、インターネット上の無料コンテンツなどを利用し、「自身で診断した」という回答が84.2%を占めていました。簡単なチェックリストに数問回答するだけで診断結果が得られるという手軽さが、ブームの一因といえそうです。

一方、パーソナルカラーアナリストなど、資格を持ったプロの診断を受けたという方も10.5%いることがわかりました。プロに診断してもらう場合、当然料金も発生するので、お金をかけてでも自分に似合うメイクやファッションを知りたいという、その本気度が伝わってきます。

診断を受けずとも、単純に自分の好きなメイクやファッションを楽しめばいいのでは? と思ってしまうのが、大人世代の感覚ではないでしょうか。そもそも、自分に似合うメイクやファッションというものは、自分の価値観、満足感の問題であって正解なんて存在しないはず。もし正解があるとすれば、それは自分の中にしか存在しないはずなのです。

しかしそうではなく、診断をして自分に似合うもの、正解を教えてほしいと求めるのがMERY世代の女子たち。では、そこにはどんな理由が潜んでいるのでしょうか。

正解はないけど正解を知りたい?

診断を受けたことがある、と回答した人に受けた理由を尋ねたところ、まず聞こえてきたのは、ワンランク上の可愛さや楽しみを追求する声でした。

「自分に合った色を知ってファッションやメイクに生かしたいから」
「可愛く見えるために自分に似合うものが知りたかった」
「よりお洒落を楽しめそうだから」

MERY Lab内の記事「ストイック世代の本領発揮。U25女子が自粛期間中に見つけた価値観」でも紹介したように、MERY世代の女子たちは自分磨きにストイックなところがあります。現状よりも良くすることに努力を惜しまない、向上心の高さを垣間見ることができる回答です。

逆に、「自分に自信がないから」という声も挙がっています。

「着ている服に自信が持てないため」
「好きな色が似合うとは限らないから、他人から見て似合う服やメイクをしたかったから」

自分の意思はそこそこに、とにかく他人から認められたい。SNSで一つでも多くの「いいね!」を獲得したい。承認欲求が高く、他人からの評価を気にする若者世代ならではの心理も働いているのかもしれません。

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もう一つ、今の若者らしいのが「効率的に似合うものを選びたい」という声です。

「自分に似合うメイクや服を見つけ、出費を減らしたいから」
「服やメイクにこだわりがそこまでないため、選択肢を絞るためにも知りたかった」
「自分に似合うもの、似合わないものがわかれば買い物がスムーズになるから」

これは、インターネットやSNSの普及により、得られる情報量が多すぎるからではないでしょうか。たとえば、Googleで「レディースファッション」と検索すると瞬時に約2億6千件もの情報が、「メイク」と検索すると約3億2千件もの情報がヒットします(2021年1月現在)。さらに世の中には、GoogleだけでなくInstagramやYouTube、テレビに雑誌など、多くの情報があふれかえっています。

その中から、自分が好き、似合うファッションやメイクを見つけるのは至難の業です。だからこそ、自分に必要な情報だけを効率的に知りたい。それも、MERY世代女子たちが診断コンテンツに答えを求める理由の一つといえそうです。

物心がついたときから身の回りに情報があふれ、自分が欲しい情報は調べれば簡単に見つかるという環境の中で育ってきたMERY世代の女子たち。自分が知りたい答えは、調べれば見つかるもの、誰かが教えてくれるものという意識が根付いているのではないでしょうか。自分の外側に正解があるということは、自分の中に正解は見つからないということ。だから、誰かに答えを教えてほしいと願ってしまうのかもしれません。

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他に、「コロナにより化粧品や洋服をお店で試せないことが増えたので、似合う色を知っておきたかった」という回答も。これまでのように外出することがはばかられるWithコロナ時代においては、家で簡単に自分に似合うものを確かめることができる診断コンテンツの重要性はさらに増していくことも示唆されました。

診断ブームを受けて新たなサービスが登場

こうしたブームを受け、診断結果をもとに服や化粧品などの商品を提案するサービスが増えています。

たとえば、ある大手化粧品メーカーでは、スマートフォンで簡単にパーソナルカラー診断を行えるウェブコンテンツを開発し、商品プロモーションにつなげています。パーソナルカラー診断が商品に興味を持つきっかけとなり、“似合う”という裏付けが得られることで、購入につながりやすく、実際に商品の売上にも結び付いているようです。

多くの有名百貨店でも、診断の結果をもとにファッションコーディネートのアドバイスを行うサービスを開始 。診断結果に合ったトータルコーディネートを提案することで、婦人服のみならず、紳士服でもスーツ、シャツ、ネクタイなどをセットで購入する率が増えているといいます。

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以上のように、診断コンテンツブームが続くことは、新たな事業の展開や商品の売上向上につながるチャンスが続くともいえそうです。

一方で、診断を参考にするのはもちろん否定しないけれど、何よりも大切なのは、自分が心から納得できるものを身につけることではないでしょうか。それが診断結果に頼ったものでも、自分の好みによるものでも、大事なのは自分自身がどうなのか?ということ。自分の本当の気持ちを大切にすることの重要性も、大人世代は伝えていくべきではないかという気がするのです。

本コラムはMERY LabがForbesJAPANに寄稿したものです。
https://forbesjapan.com/articles/detail/39340

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