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【楽曲制作秘話#1】MVketに出した 1stEP収録の3曲を(今さら)振り返る!
2023/6/12
私の1st EP
"Flower Blooming Downwards"の配信がスタート!
ついに自分の作品が世に放たれました!
…から約5ヶ月が経ち、この作品を引っ提げ参加したMusicVket5も終わってしまった今日この頃。
今回は私がMVket5に出展したFlower Blooming Downwardsに収録された3曲のオリジナル曲について語ろうと思います。影響を受けたバンドの曲や歌詞、楽曲に込めた想いなど、この作品がどのようにして生まれたのかを書いていきます。(本当はMVket開始前に公開する予定だったのですが、太ももでタイプしたため遅くなってしまいました。)
1.Kaleidoscope
楽曲概要
VTuberになる前にも、何度かオリ曲を作ろうとしたことがありましたが、いつも途中で挫折していました。
その理由の1つに、「ドラムなんもわからん」という理由あったのですが、2ビート?ならドッタンドッタンでいけるのでは?と、思いその勢いのまま完成させた記念すべき第一作目です。
ジャンル=エモと言いつつ半分メロコアのような曲ですが、聴いてきた音楽の年数を振り返ってもメロコア歴の方が長いためその影響が強く出ている気がします。
タイトルについて
曲名のカレイドスコープとは日本語で”万華鏡”を指します。これは歌詞にもある通り、涙ぐんで見えるぼやけた景色を形容したものです。
サビの入りの"Tears makes my view kaleidoscope"
これがこの曲の当初のタイトルでした。
影響を受けた楽曲
今でこそメタルやハードコアを好んで聴いてますが、元々90年代のオルタナ、00〜10年代のポストパンクリバイバル、メロコア、シューゲ、ポストロック辺りをよく聴いていました。なので楽曲を作る際の根底にあるスタイルはこれらジャンルからの影響が強いと思います。
Kaleidoscopeというタイトルもマイブラと並ぶシューゲイザーバンドの2大巨頭、Rideの曲からの引用です。
イントロのリフはRufioというメロコアバンドの1stの曲達から着想を得た物です。実はRufioを知ったのは5年前くらいなのですが、今では大好きなバンドトップ10には入るバンドですね。哀愁のあるメロ、テクいリフ…tamaran…(もっと早く知っていれば私の名前は「まーびぃ」でなく「るふぃお」ちゃんだったかもしれません。)最高なバンドですので何度も言いますが聴いてみてください。
https://youtu.be/4Kc0i08NLBI?si=ciD56KrejDTpuKo6
そして、ラスサビ前のロングシャウトの裏で弾いてるギターのタッピングフレーズは、伝説のマスコアバンド、Dillinger Escape Planの代表曲、Panasonic Youthの終盤に出てくるタッピングフレーズを自分の手癖に直して弾いてます。
唐突なマスコア要素。
今回収録された3曲には必ずマスコアとテクデスの要素を入れようと思っていました。理由は、私はキャッチーな曲も好きなのですが、曲中に頭に?マークがよぎるような曲、実験性のある曲も大好物なので、自分の曲にもそのようなエッセンスを加えたい、と思ったためです。メロコアやエモのキャッチーさと、カオスなマスコア成分。私の音楽を構成するこれらを感じていただけるとより作品を楽しめると思います。
歌詞について
歌詞内容としては、「なにか辛いことがあった時、その気持ちを代弁して歌っている曲を聴いたり、ポジティブな格言を見たりして自分をなぐさめようとする。でも、このクソみたいな現実は結局自分が行動しなきゃ道は開かない。」というようなニュアンスのものを歌っています。私自身、今までの甘々な学生生活から社会にでて、挫折感を経験することが多々あったのですが、その時好きな音楽などを聴いて自分を慰めていました。ですが、結局辛い状況から脱することができたのは一歩踏み出して行動したからだと感じています。
その経験をエモやスクリーモ、ハードコアなどでよく使われるようなワードに置き換えて歌詞を書き上げました。例えば、サビに使われるいかにもスクリーモ味のある"10 million words"は私がその時に聴いてきた曲を表しています。
また、"Take off the blindfold for faceing to real."に関しては、Protest the HeroのBlindfold Asideのテーマをそのまま歌詞にしていたりしています。
ちなみにこの曲は歌メロを鼻歌で作り込み、歌詞はそのメロに合うように埋め込む、というような順番で作ってます。
歌詞の出だしである、
"I need you somehow"
「どうしても君が必要だ」
これは完全に鼻歌で歌詞を考えた時に思い浮かんだ単語を当てはめたものなので文法的に合ってるのかはぶっちゃけ不明です。
(somehowってこの使い方でいいのかな…)
こんな感じで語感で歌詞を作った部分もあります。
なので、歌の本来の意味を詳細に知りたい場合は、YouTubeのMVの日本語歌詞を見るのがおすすめです!
また歌詞には好きなバンドの曲名を要所要所で詰め込んでみました。
例えばシャウトで歌ってる"Salvation"はガルネリウスのAngel of Salvationから。"Suffocated"はグリーンデイの曲からの引用です。
このように私の歌詞に出てくるワードは好きなバンドの曲名からの引用が多かったりします。気になる方は歌詞をご覧になりこれはあのバンドの曲名かな、と想像して楽しんでみてください!
と、色々試行錯誤して初めて歌詞を1から作ったのですが、我ながらEmoの曲らしい歌詞になったのではないかと思ってます。
作ってみた感想
この曲のおかげで自分でも曲作れるんだ、と自信につながりました。私が好きなバンド達よ、貴方たちの曲を聞いてきたおかげです…感謝!
あとVRchatでMVを撮影したのもこれが初めてでしたね。自分がずっとやりたいと思っていた、頭の中の音像を形にできる、そんなVRにも感謝…
2.Midsummer Tersichore
楽曲概要
この曲は、私が真夏に感じるノスタルジー的な憂鬱と、自意識過剰な思考回路が生み出す引っ込み思案な性格のせいで、繰り返される他者との関わりに対する苦しみや辛さを歌っているそこそこネガティブな楽曲です。
※…急に暗いし、訳わからなんことを書いてますけどこれは私Mervy個人の内情を歌っているので、理解しなくて大丈夫です笑
サウンド要素としてのこの楽曲の醍醐味といえば、二番サビ後に来るシャウトパートでしょうか。
前半の曲調とは打って変わり、ノリの良いリフと共にシャウトをしていますが、「ここまで何言っているかよく分からんよね?まあネガティブな時はメタルやハードコアを聴いてひと時でも忘れようぜ。」というニュアンスの歌詞を歌ってます。
多忙でストレスフルな現代人にとって、音楽はその苦しみから逃れらる一手段だと考えてます。その歌が何を言っているのか分からなくても、好きだと思える曲に乗せて頭振って一時でも苦しみから逃れられれば、前に進むための助走がつけられる時もあります。
そんな思いで書き上げた歌になります。(だが、状況を打開するには自分が一歩踏み出す必要がある。それがめっちゃ辛いんすよね。なので、助走が必要なのです。僕にとってはそれがメタルやハードコアを聴くことだったのです。)時系列としては一曲目より前の私の感情を歌ったものになります。
タイトルについて
タイトルのテレプシコーラとは踊りの女神の名前です。
辛い時もあるけど、音楽聴いて、狂ったように頭を振りながら踊って、一時でも辛いことは忘れられよう。その踊りという意味をテレプシコーラに当てはめてます。
…正直に申し上げますとkaleidoscopeやらTersichoreやらかっこいい英単語が好きなだけです。
影響を受けた楽曲
この曲のもう一つの醍醐味は、イントロの切り裂くような高音のリフからのAメロの最初のadd9コード(多分。音楽理論はよくわかりません。)のコード展開ではないでしょうか。動と静の対比によってこのコードがより活きてくる気がします。
この静と動という緩急の付け方はグランジ、または僕の大好きなCoalter of the Deepersや、Cave inと言った動のハードコアと静のオルタナティブロックをうまいこと融合させたバンドの影響が大きいです。
また、シャウトパートのギターリフはマスコアバンドBotchのJapamから、ベースラインはレディヘの15stepsのベースラインから着想を得てます。
また、前述のadd9のコードもやはりレディヘの影響かなと思いますね。レディヘのギターって、開放弦よく使ってますけどおそらくadd9的な響きを多く多用してい気がします。例えば”Airbag”という曲のイントロ終わりのコードもadd9thですね。ルート音と9の音がちょっとぶつかって明るくて少し影のある音になるのがいいんですよね。(多分。音楽理論はよくわかりません。)
作ってみた感想
楽曲構成として「おっ?」という意外性のある場面をいくつか楽曲に入れ込むことができたと思うので、個人的にはとても満足してます。自分の人生の前半はオルタナティブロック、後半(現在)はハードコアのサブジャンルをメインを聴いてきているので、今まで浴びてきた音楽によって芽吹いた楽曲と言えると思います。実験性味のある楽曲を自分でも作れたことで自信につながりました。
ちなみにこの曲は、多分一番MV作るのに時間をかけた気がします笑。夏、という感じのワールドを巡ってカメラを回しまくったのを覚えてます。
最終的に使用させていただいたworld数は14…本当に製作者様方には感謝しております🙏
3.Flower Blooming Downwards
楽曲概要
"Flower Blooming Downwards"とは和訳するとその名の通り下向きに咲いた花でありますが、これは頭を垂れた人の姿を比喩しています。が、同時に、そんな状態でも綺麗な花を咲かし、誰かがその花を見つけてくれるのを待ち続ける姿、または、下向き(アンダーグラウンド)でも自分の好きなことで表現しようと決心した強い心、そんな比喩も込めています。
この曲の下を向いた花とは私個人の決意の形でもありますが、個人で活躍されているVTuber、Vシンガーへ向けた歌でもあります。VTuberを始めた時はハードコアやメタルをやっても誰も見ないのではないかと思っていた時期がありました。ですが、同じくこの手のジャンルで活躍されているバーチャルなアーティストの方々と交流させていただけたことで、このジャンルで自分もやっていこうと前に進むことができました。自分の好きなことであれば辛くても自信を持って続けていってほしい。それまで下向きに咲き誇ってやろうぜ、というメッセージを込めました。
影響を受けた楽曲
この曲のイントロの歌メロは、これまたProtest the Heroの楽曲、"Turn Soonest to the Sea"のAメロのメロディラインから着想を得ました。元々はこの楽曲と同じキーでメロディを構築したのですが、上の2曲目の収録で喉が疲弊し、オク下でかつ半音下げ?マイナースケール?で仮歌を録ったところ、意外にも曲にマッチしたのでそのメロディーを採用しました。
影響を受けた楽曲・歌詞について
楽曲の前半では、「物事を同じタイミングで始めた人達が自分を置いてどんどん先に進んでいく姿をみて、表向きでは称賛しつつ心の中では嫉妬の感情が渦巻いている」…と、かなりダークな心象情景を描写し、後半では「自分の好きなことを突き詰めていけばいつか下を向いて咲き誇っているあなたを誰かが見つけてくれるかもしれない(だからそのまま突き進んで行けばいい)」、と言った前向きな言葉を綴っています。
この曲も鼻歌でメロを作っていき、歌詞を当てはめていく手法をとったのですが、その中でも歌詞の最初の一文がお気に入りです。
"I give you an aword, with a gilded word"
このguildedという単語は、金箔をつけるという意味を持つのですが、それを「本音を隠して」という意味に置き換えています。この単語を引用したことで歌詞の韻とリズム感がメロにばっちり合いましたし、曲頭から想像を掻き立てられる歌詞を書くとこができました。
上の歌詞を訳すと、「僕は君を称賛するよ、本音は隠してね」という意味になります。心の中で渦巻く嫉妬の嵐を抑えながら、称賛の言葉をかける。そんな経験ありませんか?創作をやっていると誰かの作品を聴いてモチベーションが上がることもあれば、なぜ自分はこんな素晴らしい曲を書けないのだろうか、と、劣等感や挫折や絶望を味わうこともあります。この感情の起伏を乗り越え、最後まで形に仕切った時の達成感を味わうのが創作の楽しみの一つでもあると思うのですが、自分がなかなか曲を作れない時は、このようなネガティブな感情が渦巻くこともあります。
でも、あなたの作った曲もまたあなたにしか作れなかったものです。あなたが今作っている曲もあなたでないと完成しません。2番サビの後のクリーンパートにこんな歌詞があります。
"You are not you anymore"
これはCounterpartsの曲名から引用したものです。
「あなたはもはや昔のあなたではない」
直訳するとこうなります。本家の歌のニュアンスとは異なりますが、下向きにでも前に進んでいける決意を持った姿は昔のあなたではないという表現のために引用しています。そして私はそのように決意したあなたを賞賛したいです。
でもこの歌詞はもう一つの意味も込めています。
時間が経つにつれ僕たちは肉体的精神的に変わっていきます。好きな音楽も変わります。作っていく音楽も変わっていくかもしれません。でもそれもあなたの曲であり、あなたという存在はあなたしかいません。
好きなことを突き詰める。新しい要素を取り入れてそこに自分の色を出していく。どっちの道に進んでも、今作っている作品をあなた色の花で咲かせられるのは、あなただけ。だからそのまま突き進んでほしい。なのでこの歌詞の和訳は「あなたという存在はあなたしかいない」という裏の意味も込められています。
誰に何と言われようが、自分の好きなジャンルで下向きに咲き誇ってやろうぜ。これがVtuberを通して皆さんにお伝えしたいメッセージです。
…あ。
この曲のマスコア、テクデス成分ですが、クリーンパートが終わった3:13のタッピングで弾いてるベースラインにございます。Viraemiaの下記の曲の0:24くらいのフレーズから着想を得たものをブチ込みました!
総括
なげえ…。ここまで読んでいただき誠にありがとうございました!!
このアルバムにつけたFlower Blooming Downwardsというワードは、いつか自分がEPやアルバムを作ったら最初につけるタイトルと決めてました。当時はこのワードに対してどんな曲を作ろうか全く検討もついてませんでした。が、VTuber活動を通して創作する側に立ったことで、下向きに咲き誇る姿=自分の好きなジャンルでやっていくという決意に紐付き、EPリリースという形まで辿り着けました。
やはり、何事もやってみないと始まりませんね。3曲とも私のネガティブな感情をむき出しにして、そこに少しでもポジティブになるようなものをつけ足して、皆さんの背中を押していきたいなと思った作品、それがこのアルバムのタイトル"Flower Blooming Downwards"になったというわけです。
僕のやっているジャンルは、所謂ハードコアというジャンルになると思います。このハードコアもいろいろあると思いますが、このジャンルでは何か苦境に立たされた時に、その解を投げかけるジャンルであるという話を聞いたことがあります。
僕は他人に対してなにか誇れるようなものは持っていません。実績もないです。敷かれたレールの上を歩いてきたので、誰かに対して何かを諭すことはできません。ですが、音楽だけは自分の好きにこだわり続けてきました。自分が聴いてきた音楽をベースにどんな曲を作っていけるのか、その道を示していくことが私なりのハードコアなのだと考えてます。なのでこれからも下向きに花を咲かせ続けようと思います。
追記)ここまで読んでいただいた方は、おそらく少なからず私を知っている方だと思います。僕の作品を好きだと言ってくれた皆さんがいたから、このEPを出すことができました。
下向きに咲いた私を見つけてくれてありがとう。
次の作品でもどうぞよろしくお願いします!
(ただいま作曲苦戦中!果たして次はいつになるやら…笑)