log:005 政治と音楽の話

めちゃくちゃ政治に関心が有るわけではないのですが、やはり貰った権利は使っちゃったほうがいいよね、というすんごい雑な理由で選挙権を行使したのが僕です。日曜日に行くのが面倒なので期日前投票をしました。だって休日はパーティで遊んだ後にゆっくり寝たいから…。

政治の話は音楽と関係がないのか

政治に興味があるかどうかはさておいて、趣味の界隈で話の合う人と政治の話をするのって結構怖くないですか?僕は怖いです。
僕が個人的に思ってるのは「喧嘩になっちゃうんじゃないか」「この人から「敵」みたいに思われたらどうしよう」「せっかく趣味が似てるのに考え方の違いで揉めたら嫌だなあ」といったところで、まあ同じ思ってる人は正直多いんじゃないかなと考えてます。
ただ、じゃあ自分が好きな音楽が政治が全く無関係なのかというとそうでもないよな~というのをここ最近思ってて、だからそれがどうしたって感じではあるんですが気づいたのを書いてみます。

知らんかったけどこの人らめちゃくちゃ怒ってたわ

世のティーンエイジャーの何割かに属する人間は海外の音楽を聴いて世界と繋がったかのような錯覚を得るのですが、僕自身もそんな感じでした。
中学卒業と共に卒業祝いとしてiPod mini(ブロック崩しが面白かったよね)をゲットした僕は喜び勇んで家中のCDをまだアイコンが緑色だったiTunes経由で取り込んでいたのですが、その時に「うわ、かっけー!!」と衝撃を受けたのが彼らでした。

反政府・反権力を地でいくようなRage Against The Machineですが、なにせ初めて聴いたときはただただ「カッコいい」だけでした。いやカッコいいのは事実なんですけどね。
再確認してみると凄いっすね。バンド名からして怒ってますもんね。歌詞もめちゃくちゃ怒ってるし、こうして聴いてると日本生まれ日本育ちの自分が何故かアメリカ政府や資本主義に怒りを覚えちゃったりしますもんね。翌日には忘れてコーラ飲んでたりするんですけど。
結局、彼らの思想に共感してアンチ資本主義になる事はなくLimpと同じフォルダにぶちこんでました。

最近お気に入りの怒ってるバンド。彼らもRageに影響を受けたそうです。

え、真逆の事歌ってたの???

先ほどのRage以外にも手あたり次第音楽を聴こうという意識に取りつかれていた僕はポップパンクのキャッチーさに惹かれBlink-182、GREEN DAY、The Offspring、Sum41という初期洋楽厨黄金ロードを邁進しつつ(もちろん今も大好きさ!!!)も当時めっちゃ元気だったmyspaceやLast.fmを使って知らないバンドを永遠に求め続けていました。
そこで出会ったのがSkrewdriverというバンド。

The Damnedとかが好きだったのも相まって、彼らの曲も好きになったはいいんですけど、この人らいわゆる極右の方々なんですよね......。
しかし、UKの労働者階級の富裕層に対する怒り、移民と仕事を奪われるやるせなさという無関係の人間が軽々しく「それはいけないよ。そんな怒っちゃだめっしょ」などと無責任に言える話でもなく、何よりそんなバックグラウンドを知らない僕は「短いけどいい曲だなあ」とアホ丸出しの感想を得つつ聴いてました。
英語版wikipediaにはガッツリとネオナチバンドと評されてる彼らですが、それを知った上で「マジかよ。こいつら最悪だからもう聴かんとこ」と思い出や記憶を抹消することが出来ないのですね。なにせ調子がいい人間なもので。

そして、同時期くらいに知ったのがThe Oppressed.

サウンド的には先ほどのSkrewdriverと同じくOi!パンクと言えるんですが言ってることはめちゃくちゃ真逆。差別絶対許さないマン達です。
「ナチスのスキンヘッド野郎はとっとと死ね(直球)」というめちゃくちゃ分かりやすい英語で罵倒してます。さすがにこれくらいなら「怒ってるんだな~」くらいは分かってたんですが、まさか全然真逆の事を言ってるとは思ってませんでした。ただ、調子のいい人間なんでどっちも聴いちゃうんですよね。すいません。

好きな人が怒ってるのは分かる。だけど…。

自分が好きなラッパーに田我流(でんがりゅう)という人がいます。
今更「~という人がいる」なんてレベルじゃないくらい凄い人なんですが、まあ好きなんです。

カッコつけてるような様子なんてない、飾り気のないラップなのにめちゃくちゃ心を揺さぶられる。なんてかっこいいんだとこの曲でいたく感動した後に、せっかくだしアルバム買うぞ!と買ったアルバムに入っていた曲がこちら。

めっちゃくちゃ怒ってるし、ガンガン政治的な事を言ってますね。
こちらは遠い国の話でも遠い昔の話でもなくて現代日本の原発問題や地方格差・所得格差についてガンガン攻めています。残念ながら2018年に逝去されたECDもfeatしての社会派チューン。ECDさんについては反原発運動や反差別運動でもどんどん前に出て発言されてたので日本語ラップに興味ない人でも知ってる方は多いと思います。
正直なところ、反原発かと言われると「そうでもない」という自分のような人間でも彼らの真に迫った声には心動かされる感覚があるし、「本当にこれでいいの?」という気持ちが生まれたのは事実です。
しかし、これを聴いてから今回の選挙で反原発を推進する党・候補者に投票したかというと、僕はしませんでした。
また、個人的信条としてヘイトスピーチを容認するつもりはありません。しかし、だからと言っていわゆるカウンター運動に参加したいかといわれるとそうは思いません。このトラックに関して全肯定はしませんが、好きか嫌いかでいうと好きです。
こうやって書くととんだコウモリ野郎だなと自分でも思いますが、これが自分にとって素直な感想かなと思います。


都合よく切り取って生きる

政治的思想・信条に命を懸けて生きている人からすれば都合が良すぎる生き方だとは思いますが、「考えの違う人同士でも「良さ」を共有できるところ」が音楽の一番素晴らしいところだと思っているので、僕はこれからも自分にとって都合のいいように音楽を聴き、都合のいいようにいろんな人に遊んでもらおうと思います。100%同じは無理かもしれないけど、それでも同じ場所にいるときは気持ちよく音を共有できたらいいですね。


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