映画「ジャンゴ/繋がれざる者」
映画「ジャンゴ/繋がれざる者」を見ました。
監督:クエンティン・タランティーノ
レオナルドディカプリオが好きで、何となく手に取ったDVDでした。
見てみると驚くほど引き込まれる作品でした。
冒頭2分『ジャンゴって人の名前だったんだ』とぼんやりと見ていたのだけれど、時代は南北戦争時代なので、黒人は奴隷として扱われていたのだけれど、このジャンゴは黒人で奴隷として白人のシュルツさんに買われたのだけれど、買ったシュルツさんが主人公の様に見えた。
それは、黒人を人として扱うそぶりがヒーローの様に見えた。ジャンゴは奴隷の集団に居たのだけれど、残りの数名に対してシュルツさんは、「二つから選ぶんだな。一つ目は倒れている白人を起こして病院に連れて行ってやる。(つまり、今までと同じ生活)二つ目は、白人をやっつけて埋めてしまって自由を手に入れる。さぁ~どっちを選ぶ」と、奴隷として生きてきた彼らにとって考える事が出来なかった事を教えた。それは気持ちのいいものだった。
その後、シュルツさんはジャンゴに対して自由人として生きる事を教えていく、まるで師弟関係のような姿が見ていてワクワクしてくる。
最初は、馬に載せるところから始まる。街に着くとジャンゴはみんなから白い目で見られる、奴隷のはずの黒人が馬に乗っていると言うのは奇妙に見える時代。普通なら馬を引いて歩いていても良い。
次に、シュルツさんは、ジャンゴをバーに入れる。バーの店員はジャンゴを見るなり警察を呼びに行く。ジャンゴもそわそわしている。
シュルツさんは、勝手にビールを2杯ついで、ジャンゴにも飲ませる。緊張気味にビールを飲むジャンゴに目が釘付けになりました。
シュルツさんのお仕事は、歯科医師なんだけれど、5年ほど賞金稼ぎをして生計を立てているそうです。そのお手伝いをジャンゴにしてもらうのだけれどシュルツさんがジャンゴに対して絶対に対等の口調を変えない所が魅力的。本来なら、
「ジャンゴ、お前なら知ってるはずだ、探せ!!!」とでも言いそうなものだけれど、シュルツさんの丁寧な対応に目が離せない。
そして、分け前もきちっとしている。75ドル払うよ。と言って「その金を持ってジャンゴは何処に行くんだ?」と聞くと、ジャンゴは「妻を探しにミシシッピーへ行く」というのだった。
ジャンゴの仕事ぶりは非常に良かった。奴隷だったけれど、かしこくて銃の腕も抜群に良くて探している賞金首の事も良く知っていた。かつて、ジャンゴを鞭でぶった相手が賞金首だった。
段々、二人の目的が共通の人と分かってきて更に目が離せなくなる。
レオナルドディカプリオは、一体出るのか?と思ったのは映画が半分近くなったころだった。
黒人同士で殴り合いをさせて見て楽しんでいるのがレオナルドディカプリオの登場だった。『あぁ~悪役かぁ~』とがっかりしたけれど、やっぱりしっかり悪役やってくれていました。
代々金持ちで苦労を知らない(黒人はゲームの駒)そんな生き様をしっかり見せてくれた。
そこで働くジャンゴの妻は、300ドルで買われた事は調査してわかっていたけれど、「その女を売ってくれ」と言ったところで相手にしてもらえない。だから、殴り合いをしている男たちの中で最も強い男を売ってくれ、ビックリするほどの値段でな。と金で釣る。やっとお客として見てもらえることに成功した。屋敷に入ることも出来た。翌朝出発して姉さんが住む屋敷へ向かう。道中当然だがジャンゴは気が立っている。妻に出会えるかどうか?!
作戦を成功させなければならない。黒人を買いに来たその仲間を演じなくてはならない。
道すがら、木の上で泣いている黒人が居る。木の根元では犬が3匹牙をむいて黒人に向かって吠えまくっている。
ディカプリオが、「問題が起きている所をお見せしてしまって申し訳ない片づけてくる」と言って木の上の黒人に向かって、「500ドル払ったじゃないか、3戦した所で終わりじゃないよ。後2戦してくれないと払った500ドルどうしてくれるんだ」となじる。
シュルツが500ドル俺が払うよと言ったけれど、ジャンゴが500ドルは払いませんとシュルツさんを止めた。結局、木の上で泣いていた黒人は、犬の餌食になってしまう。非常に印象深いシーンだった。
木の上で泣いていた黒人は、弱いわけではない3戦3勝している強者なのだけれど、もう、戦いたくない。というわけだ。
つまり、白人の娯楽に黒人の命を使うのは間違っていると言っているのだ。
当たり前の話しなのに、彼は犬に食い殺されてしまうのだ。
その後、ジャンゴの妻と再会を果たすのだが、問題は強い奴隷を買いに来たと言う嘘をどうするか?どうやったら妻を無事に取り戻せるのか?!
バレてはいけないのだけれど、レオナルドディカプリオのお姉さんには、即バレてしまう。「ヒルディは、ジャンゴが好きなのね」と女性ならではの感が働く。それを誤魔化すシュルツ、ディカプリオもはっきりと気づいては居ない。そこへ従僕スティーブンが事実を嗅ぎまわってヒルディとジャンゴの関係を暴く。当然、怒り狂うレオナルドディカプリオ!!!
ジャンゴとシュルツさんは、銃を向けられ12000ドルを渡す。それは強い黒人ではなくヒルディを買うお金として渡す。
シュルツさんは、計画が破綻したこと、それを暴いてなじられた事、我慢の限界だったが帰り際、「握手をしよう」とレオナルドディカプリオに強要される。断っても断っても、しつこく握手を迫られる。そんな時、シュルツさんは、ついにレオナルドディカプリオを撃ってしまう。
激しい打ち合いになって、多くの人間が死んでいった。シュルツさんも撃たれてしまった。ジャンゴが早打ちで大勢を殺し続けるが、ヒルディを人質に取られてあっけなく捕まってしまった。
奴隷に逆戻り、それどころか一生奴隷として石切り場で働くと言う刑にされた。
ジャンゴは、命だけは助かった。しかしまだ終わらない。石切り場へ連れられて行く道中白人をだまして脱走する。それだけではない。ダイナマイトを持ってヒルディを連れ戻しに屋敷へ戻っていく。
丁度、レオナルドディカプリオの葬式をしている最中、ヒルディを救って従僕スティーブン達へ復讐をして、屋敷をダイナマイトで吹き飛ばして、ヒルディと共に逃げ切った。
何とも、懐かしささえ感じる映画だった。昔は、こういった出世ものが多くあったと思う。
この話が、まるで実話と思えるほどよくできた作品だと感じました。