つれづれ通院日記

早咲きの紫陽花はもう枯れている。
ひとんちの庭で季節を感じる。
行くべき日から5日も過ぎてるし、何日間かさぼったから薬が余っている。そんなこと言えない。

私のすべてを私は知っている気になってた。
けれど。私がどうしようもない状況の時、私はどうすれば、どうしてあげればいいのか、知らない。
サイレンが聞こえる。それがパトカーなのか、救急車なのか、はたまた消防車なのか。そんなことすらわからない。

山の際をなぞるように歩く。
変な名前のアパートの脇を通り抜ける。
中学生の下校時間と重なってしまった。部活がない日なのか。しくじった。
子どもは好きでは無い、と思う。うるさくて臭いからだ。高校生位の子どもなんて尚更だ。洒落っ気づいて振りまいた、制汗剤でもかき消せないくらいの汗と、生々しい生き物の臭いを発している。動物園のような臭い。耐えられない。

信号待ちの交差点でお茶をひとくち飲む。
私のすべてをわかって欲しい、何も言わなくてもぜんぶわかっていて欲しい。そんなことを思っていた自分のナンセンスさに気づいた。

神社を通り抜けて近道をする。脱帽し一礼して境内に入る。深呼吸。神様パワーを少し拝借。強くなれる気がする。お礼にお参りと7円のお賽銭。こんなはした金でいいのだろうか。気持ちが大切だとはいうが、いいようだ。
神社を抜けたら日がかげっていた。もう日傘は必要ない。
車が横を通り過ぎる。1台だと思ったら2台目が通過してヒヤッとする。2台同時に来ると音が分からないもんだな、と感心していたら3台目が通過した。笑ってしまう。私は何もわかっていない。

病院に着いた。月曜日だからかわりと混んでいる。靴を脱いで、出来るだけ取りにくい場所にあるスリッパを取って履く。潔癖症ぎみなのでできるだけ誰も使ってない、と思える、ものを使いたいからだ。
診察時間 3秒
一瞬で終わる。他の患者も同じである。良い先生ではあると思う。よくわからないけど。
薬剤師さんの方がしっかり会話してくれる。薬が余ってることを指摘されて、バツが悪そうに歯を見せて笑った今日の私は、本心だったのか。わからない。

川沿いのベンチでひとやすみ。風が少し冷たい。帽子が飛ばされそうな風だ。
晩ご飯は何にしようか。君はなんでもいいと言うだろう。私もなんでもいい。
江ノ島にでも行きたいな。エモと言えば江ノ島、感傷に浸ると言えば江ノ島。
帽子を縫ってみよう。それが完成したら江ノ島だ。
そろそろ帰ろう。

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