見出し画像

初恋ってきっといつまでも特別で忘れられない


筆者は昔から割と恋には控えめなタイプで、好きな子が出来てもなかなか想いを伝えられずに、心の内にそっと閉まっておく派だった。


仲のいい友達と同じ人を好きになると、別に私は好きじゃないよオーラを出して、心苦しくも友達の恋の成就を願ってしまう恋愛奥手マスター。そんな恋愛充実女子とはかけ離れた筆者が、まるで恋してないと干からびるとでも言わんばかりの彼と出会ったのは学生時代。


別のクラスだった彼の噂はよく知っていた。
スペインとフィリピンのハーフで、顔は濃いめのソース顔。好きな子の事を一途に思い続けて告白も出来ないシャイな日本人だらけの学校に突如現れた異端児。
振られても3日で立ち直り、別の子にアタックする強者が有名にならない訳がない。


彼とはたまに授業が一緒になったが、席が離れていたので特に話す事は無かった。積極的?に女子とばかり絡んでいたので、一般男子は疎かそんな最高峰の恋愛マスターと関わりを持つことなど一生ないと思っていた。


そんな筆者には当時仲の良い友人がいた。
沖縄系の顔立ちのはっきりした子で、ポカリのCMとかに出てきそうな一般受け抜群の自慢の友人だ。


そんな見目麗しい友人を、その彼が見つけ出すのは容易に想像できた。彼はさすが場数を踏んで来ただけあって、恋愛の外堀の埋め方が非常に上手い。
本命を攻める前に、その取巻きである筆者に近づき、情報収集から入る策略型だった。


それを知りながらも、筆者はただ純粋に彼と過ごす時間を楽しいと思っていた。好きという感情は無く、どちらかというと同情のような気持ちで、振られてばかりの彼になんとかその友人と恋仲になって欲しいという母のような思いでいっぱいだった。


友人がその彼を振ったと聞かされたのは、彼と知り合って数ヶ月後。友人曰く「私はジャニーズの追っかけで忙しいからリアルな恋愛はいらない」との事だ。


友人からの振った報告の後に、彼からも振られた報告を受けた。筆者はただ単純に、どうしてこんなに振られてばかりなのか気になった。背は男性平均身長よりも低かったが、見た目は綺麗な顔立ちをしており、ノリも良かった。なのにどうしてか彼女が出来ない。段々と彼が可哀想に思えてきた。


筆者からの一種の母性を感じ取ったのか、気づけば筆者は彼からの恋愛相談を受ける役目になっていた。恋愛経験もほぼ皆無の筆者が、恋愛四天王の相談を受けるとは世も末だが、当時の筆者は彼と少しでも繋がりを持てているのが嬉しかった。行きつけのファミレスのドリンクバーで何時間も居座る放課後があっという間に思えた。


それから何度目かの振られた報告受けた後、普段はファミレスで終わるのがお決まりではあったが、その日は何故だか見たい映画があるから一緒に行こうと誘われた。特段見たい映画では無かったが、バイトをサボりたくて一緒に行った。


冬も終わりかけの3月。映画館までは時間潰しも兼ねて歩いて行く事にした。その道中、彼からの思ってもみない告白は今も忘れる事が出来ない。


「本当は〇〇ちゃん(私の見目麗しい友人)の事も、その後に相談してた人も本気で好きじゃなかった。ずっとお前が一番好きだった」


頭が????マークだらけになった。そんな素振り一切見せていなかったし(気づいてなかっただけか)、ましてや何故私なんだとある意味疑いの目すら向けていた。


どうやら男嫌いと思われていたらしく、むやみに近づくと拒絶反応を起こされそうだからと、筆者に近づく方法を考えた結果の恋愛相談だったらしい。確かに振り返ると彼の恋愛相談とは言いながらも、私の恋愛感についてもよく聞かれていた。どんな人がタイプか、好きな人としたい事は何か、どこで告白されたいかetc…


好きとは燃えるような気持ちを表現する事もあれば、じんわり温かくなるような気持ちを表現出来たりと実に多様性に富んでいる。恋愛的に好きかはさておき人間としてはとても好きだったので、2つ返事で了承した。


彼と一緒に過ごす時間はとても楽しかったが、4年目でピリオドを打った。


色々な理由があったが、敢えて挙げるなら、年を重なるごとに大切にされていないと感じることが増えたからだ。


4年目のわたしの誕生日、彼は「お金がない」と言って誕生日を祝ってくれなかった。確かに当時彼は投資を始めたり副業でお金が必要な時期ではあったが、それでも「おめでとう」の一言があってもよかったと思う。


同棲も2年近くを過ぎ、関係が恋人から夫婦のような形になってしまったのだろう。ただ、だからといって大切な相手の誕生日にゲームをしてるのは絶対に違う。


別れを切り出したのはそれから数日後。
情はあったが、友人からのもっと大切にしてくれる人がいるよという言葉に背中を押された。

別れてからも連絡をしたくなってしまう衝動に駆られる事があり、苦しい時期もあったが時間が解決してくれた。


でもたまに一緒に歩いた道や、よく来たお店の前を通ると彼を今でも思い出す。

それから何人もの男性とお付き合いをしたが、名前や顔を忘れてる人もいるけど、彼の事だけははっきりと覚えてる。甘酸っぱい若き日の青春の思い出、やっぱり初恋は特別だ。


いいなと思ったら応援しよう!