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『Fujii Kaze Stadium Live “Feelin' Good” 』2024/8/25 藤井風 日産スタジアムライブ
「これは僕のコンサートではありません」
これはみんなのコンサートです」
風さんのMCを聞いて、いやいや主役は風さんでしょ?と思っていたけど、ライブ終演後に私はしっかりとこう感じていた。
「誰もが全員一人残らずコンサートの主役だった」
Fujii Kaze Stadium Live “Feelin' Good”
8月24、25日と日本最大級日産スタジアムで行われた1年半ぶりの国内ライブ、脳内全てまだ藤井風、日常生活が送れないなど、余韻から抜け出せない人が多く見受けられる。私もその1人。今の気持ちを忘れたくなく記録として残したい。
ちなみに今回プロや著名な方の素晴らしいレポやレビューがたくさん上がっていまして、私の文章はただの一般人の完全なる感想文(ほぼ雄叫び)でお恥ずかしい限り。音楽的なことも全くわかりませんが、少しでも共感していただける部分があれば嬉しいな…との気持ちでおそるおそる書いてます。
私が参加したのは2日目の25日。前日のライブがYouTubeで生配信されていたけど、チーム風が仕掛けてくるであろうサプライズを生で体験したくて前日から河津さんの言葉を借り、「ネットプロテクト」。つまりSNS断ち情報完全シャットアウトで臨んだ。
土曜参加後日曜に会ったヲタ友の「じゃがいも席なの?!わ…ふーんニコニコ」の大変お優しいご配慮により全く何も知らずにアリーナへ入場。
……ピアノ?ピピピピピピピアノ…????
え?誰かピアノお忘れですか?落とし物??
スタジアムの真ん中にこんな無防備な姿で置かれたピアノなんてこの世にありますか?
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信じられないのは柵がないどころか紐もない。
25,000人満席のアリーナの真ん中だよ?駅前ピアノじゃないんだから。
ありがたい事に芝の割と近くの席だったのでもう思考回路はショート寸前今すぐ会いたいの…
…突然、右奥からキャァァァという叫び声。
LAATでもチャリで登場したので、もーまたまたステージ袖から何かしらの乗り物にのって登場…
ギャァァァァァァ!!
……クリオネ????!!
スタンド席に天使がちょこんと座ってた。
白って200色あんねんってよく聞くけど見たことがない白…人生初めて見た201色目の白がそこにいた。
真夏のスタジアムに現れた真っ白なクリオネはフワフワとアリーナ中央の芝生へ。
▶︎summer grace
3年前は罪の香りをアレンジした「夏の香り」から始まったFree Live。今回はgraceをアレンジした「夏の恵み」からのスタート。
静まり返る7万人。もうここが神奈川県横浜市なんて誰も信じてない。ピアノを弾いているだけなのにまるで金色の何かに包まれているかのような…そう「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」のナウシカ。
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金色の草原でピアノを弾いていたナウシカはその後Free Liveのオマージュかのように芝生に仰向けに寝そべる。
何度も言うが柵も紐も段差もない。完全なるフラット。7万人の中でスーパースターが一番目線の低い場所にいるんですよ?信じられない。
それを当たり前に彼は何とも思っていない。
彼から皆への信頼感が自然と伝わったのか誰もその場から動かなかった。むしろ後ろの人の為にと中央から着席し出す観客。花が開くかのように静かに連鎖的に着席する皆さんを見て、優しさの波動みたいなものが伝わってるのが見えた。気がした。
余談ですが今回、ライブ前の注意事項を読み上げる全体アナウンスもなかった。
言葉に出さずとも信じられてる信じてるで成り立つ関係。
疑うことから始めてしまう自分を恥じた。
▶ Feelin' Go(o)d
そのまま金色の触手に運ばれ(実際は客席の間を歩いてたけど)ステージへ。デカスクリーンに映るカゼウォンカに魔法をかけられ一気に明るくなるセット。かわいい!!!西海岸!今までのライブセットはaahTのカゼ部屋が一番だったけどそれに匹敵するかわいさ。
実は新曲、私の中で上手く飲み込めていなかった。まだ入ってこない、と言った方が正しいのだろうか。
ところがなぜかライブ後ずっと口ずさんでる。ギュンと急速に心に入り込んできた。適当な語彙が浮かばない…誰か理由を教えてください…
ダンサーさんも出てきて念願のMVダンスを一緒に踊り終わって満足していると…動かない(笑)
微動だにしない風さん。
これは…マイケルジャクソンのデンジャラスツアーのオープニングだよね?これは失神しないといけないヤツ…オケオケ!じゃあ失神しまーす!!
▶︎花
失神する寸前に始まった花。
パナスタは「魅せる(観客に)」にこだわってるのかなと思わせるステージだったけど、今回は「楽しむ(藤井風が)」に重きを置いてるステージに見えた。
風さんがずっと楽しそうだった。
好きな人が楽しいと私も楽しい。
「大丈夫ですか。今日でまつりも終わりや。だけんマジでみんなフィーリングッドで楽しんで帰ってください」
「どこにおっても見てます
どこにいっても感じています」
「これはみんなのコンサートです
だからみんなで歌おう」
▶︎ガーデン
「ンーンーンーンーンーンー」
7万人の大合唱。
風さんは観客にマイクを向ける
「ビューティフォ…」
美しいのはどこにいてもずっと発光してるかのように輝いているアナタです。
ステージにちょこんと座り語り出す風さん。
▶︎特にない
本当にこの人は誰とも壁を作らず目線を合わせ話したい、話してくれる人なんだろうと思った。
「ほんまに来てくれてありがとう今日は。
せっかくだからモヤモヤした気持ちとかネガティブな感情とか日産スティディアムの空に飛ばしてほしい。」
「次の曲は手拍子or指パッチンする曲なんです。
だからみんなのモヤモヤした感情が空に飛んでいっていくというイメージを持ってやってほしいんです。」
気付けば空は薄暗くなっていた。皆のネガティブな感情を吸い込んだはずなのに空は真っ黒ではなかった。音楽に合わせた指パッチンでモヤモヤが泡のように弾け飛んで消えていった、そんな澄んだ美しい薄闇だった。
スクリーンには「あーあーあーあ〜」と歌いながら舞台に寝転びゴロゴロ転がっている風さんが映っていた。完敗。常識とかつまんない概念崩壊。ゴロゴロ歌う人を見て笑ってたら、自分の悩みなんてちっぽけな事のように思えてきた。
▶︎さよならべいべ
「会いにいきます」
TAIKINGさんのお馴染み前奏さよならギターが鳴り、ガレージに駆け込む風さん。LAAT経験済みの方はわかる。
この流れ、チャリだ。
MCどおり、「どこにおっても見てます」を体現してくれた。
チャリ運転中の風さんは進行方向をほぼ見ない。お客さんの顔を1人1人見て手を振っていた。何度か躓きそうになっていたのでこっちがヒヤヒヤするぐらい。
途中、広すぎるスタジアムだからか歌声と音が合わず、
「合っとる?これ歌?」(合ってません笑)
またもや柵のないアリーナ横の道を颯爽とチャリで通り抜けるスーパースター。コンビニでアイス買ってきた帰りの兄ちゃんみたいにガニ股でチャリ漕がないでくれ…やめてくれ…距離感バグる…
▶︎CASTING CALL
はい、一気にまた遠い人になりました。
真っ暗になったスクリーンに現れた金髪のモデルさんとレトロな旧車。モデルさんはジャケットを脱いだり車に乗ったりとまるで外国の高級ブランドのCMを見せられてるようだった。
LAATのきらり前謎タイムは何かしらの戸惑いを感じたけど今回のは違う。ただただカッコいい。
私は山田健人さんが撮る風さんが好きでたまらないのだけど、圧巻の優勝。くらいました。
▶︎きらり
衣装チェンジして現れた風さん。藤井風といえばきらりと言うぐらい代表曲。故に何回もライブで見てきたが今回初めて目にしたのは新しい「ダンス」。
最後規制退場中のDJグローバーさんが言っていた「これから何かしたいことある?」と過去に聞いた時に小さい声で答えたらしい「ダァーンス」。
ねぇ進化しすぎ。バイクのイメージのきらりだったけどいつの間にかきらりが車乗ってた。
アーアアアーアーの部分、通常なら4段階上がって「どこにいーくのっ」なのに今回12段階上がり更に最後、
「アーーーーーーーーー(のけぞり)どこにいーくのっ」ですよ??
ねえ…むしろ、アナタがどこに行っちゃうの?もう探せないよ???
▶︎キリがないから
バンド体制では久しぶりに聴けたキリがないから。
スクリーンのロボット(ヒロムさん?)とシンクロし、ロボットみたいに踊る風さん。
前回バンド体制のキリがないからを聴けたのはHEATの3年前。とても同じショーとは思えない。
やりたいと言っていた「ダァーンス」も忙しい中練習してきたのかなと思うとその向上心へのリスペクトが止まらなかった。
▶︎燃えよ
やめてくれ。
スクリーンでもMVのようにサビで「ヌモォォォ」っと下から上がってくるのやめてくれ。
と爆笑してたら曲が止まった。
…踊ってる!!もうエンターティナーフジーカゼ!
これ、昨日配信で初めて風さんのライブ見た方、大丈夫??藤井風のイメージいい意味でぶち壊れたよね??
炎もボフンボフン上がりじゃがいも席の我々までもあっついあっつい。踊って飛んで汗だくになり、炎や自分から出たエネルギーでたぶんお野菜席の皆さん素揚げされてた。アリーナ、野菜の天ぷらだらけだったと思う。
▶︎風よ
「ちょっと座って休みねぇぇぇぇ」
田舎の玄関にいるおじいちゃんに突然声掛けられたかと思った(笑)
「デビューしてから一度もバンドでやったことがない。デビュー前と何も変わらない気持ちで一生懸命歌わせていただきます」
確かに。今まで聞いた「風よ」はピアノオンリーまたはサックス。
今回は「風よ」のレコーディングにも参加されてたパーカッションの福岡たかしさんもバンメンさんだった。
以前風さんとヤッフルさんがラジオで話していた、本物のチリンチリン(ウィンドチャイム)が聞けて大感動。
ずっと進化し続けている風さんの口から「デビュー前と変わらない気持ち」って聞けたの、実は今回私が一番嬉しかった言葉だったかもしれない。
▶︎ロンリーラプソディ
「みんな一緒に息しよ」
風さんと曲に合わせて呼吸してたら歌っているはずの藤井風がフラ〜っと立ち上がり階段を降りている。
私「何をしたの?」
風「何もしてないよ?」
私「君は誰なの??」
まさに歌詞どおりの混乱。
左側のスクリーンで、右側と同じ画角の事前録画していた異なる映像を流すなんて、演出の斬新さに驚くと同時になぜか少しひんやりした。
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「僕は君だよ」
「何も違わないよ」
人は誰もが基本的には孤独なのかもしれないと寂しさが襲う。
だからこそ今ある繋がりを大切にしたいと急激に思った。
▶︎死ぬのがいいわ
湘南乃風(恋時雨)のカバーを挟み、思いっきり会場を切なモードにして始まった「死ぬのがいいわ」。
赤い。
この人武道館からずっと赤い。
私は個人的に、この曲の歌い方が風さんのその時々の心情を表していると思っていて。
固さやもがきや怒りや甘さや嬉しさ。
今回は自信のような雰囲気を勝手に感じていた。
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▶ Workin’ Hard
ダンサーさん達のガレージでの最高なパフォーマンスを見て、落ち着いてた熱が再度あがった途端、ガレージの奥からサックス吹きの流しが出てきた。
楽器に詳しくはないけど明らかにサックスもどんどん上手になってる……!!!
そしてWorkin’ Hard前奏のギターやベースの好みすぎるド低音が心臓にダッダーンと響いてきた。
かっちょええ…演奏もダンスも…と思っていたら(株)windy©️工場の藤井係長がスクリーンに登場し、windyちゃんを検品しだす。
と言っても撫でたり微笑んだりで仕事してんの?な係長。
せっかくステージではプロのダンサーさんとバリバリかっこよく踊ってるのにスクリーンではオリジナルの動きで笑わせにくるのやめて?
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どこ見ていいのかわかんないよ?
目が8つぐらい欲しかった。
▶︎damn
これはもう言わずもがな最後の「笑えるか、どうか」にこだわりまくる変顔がキモ。
25日も最高潮に変な顔だったよ!!ありがとう!(褒めることなのだろうか)
▶︎旅路
今回、ほとんどの方が度肝を抜かれた曲だと思う。今までの旅路はトリに歌われることが多い曲だった。
じゃあね、みんな元気でね、幸せになろうね、と締めることが多い曲。
今回の旅路は、まだまだ青春だぜ失敗やらかしどんとこいOK!みたいな青臭さロックで最高だった。
風さんの衣装も相まって、私は生徒と言うより藤井先生に見えていた。
失敗だらけのオレについてこい!みたいな頼もしさや人間臭さ。
藤井先生!一生ついていきます!!
世代的にも響いてタオルぶんぶん振り回してたからね?またどこかで是非聞かせてほしい!
▶︎満ちてゆく
揺れる無数のスマホライト、スクリーンでも流れ星が流れていたけどあの瞬間、空と客席とステージは繋がっていた。切れ目なんてない一つの宇宙だった。
その宇宙の中で風さんと私達は一つだった。
一つ一つの灯火や風さんの輝きはまるで星のようだったけど、今を精一杯生きている一人ひとりの命だった。
皆の想いを愛を受け取る側の立場にいる風さんが、歌詞に含んでくれたように聞こえた、「何もないけれどすべて差し出すよ〜"今日"」。
何もなくはない。風さんからの愛は今日だけでなくいつもたっぷり受け取っている。
どこまでも同じ位置に立とうとしてくれる、微塵も自分が特別だと思っていない藤井風が私はずっと好きだ。
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▶︎青春病
ただ楽しかった。観客もたぶん風さんも。
みんな、夏の終わりに地元で開催される夏祭りに集まった同級生のようだった。
日本最大級のスタジアムで風さんと一緒に踊った野ざらしダンスの爽快さ、この先忘れない。
▶︎何なんw
「みんなとの青春もあとちょっとで終わりやけども」と前奏にのせてダンサーさんやバンメンさんのご紹介。
夏が終わる気配を感じてきた。
コロナが5類になって初めての国内ライブ。
日本の皆もノリノリだよ!と見せたくて、風さんがマイクを向けた時は精一杯「何なーーん!」と遠慮なく叫ばせていただきました。
ちなみに、最後のアウトロピアノ、後で見た24日より俄然ギリギリでした。
▶︎まつり
「まぁ何とかなりますねー生きとったら、ねぇ、そうですよね、まぁ何とかなります。それをもうみんな信じて。どうせうまくいくんじゃから。最後には言うて。」
「全ては心からスタートするんで。想い、感情からスタートするんであんたがフィーリングッドな気持ちでいてくれることは、あんたの周りの全ての世界を変えてくれると思うんで。マジでひとりひとりのパワーが必要なんで。
ここにおるみんな、これからもチカラ合わせて、まぁポジティブにがんばっていきまっしょい」
「マジで終わりなんじゃけどさ、次の曲やらんとさ、わしらの夏、終わらんくね?
…クルシムコトハイッサイナイカナシムコトハイッサイナイ…
…まつり!!!!」
チンチロカンカンチンチロリンリンチンチロカンカンチンチロリンリン…
お囃子すぎる!!なにこのイントロ最高!涙!
風さんの伝えたいメッセージはずっと変わらないけど何だろう、今回は特にスッと心に入った。風さん自身が何かを見つけた余裕みたいなものからくるものなのかな。
7万人で踊り狂っていると気付けば夜空に花火が咲きまくっていた。
キレイだ…パナスタの時もグングン上がる風さんの頭上に花火があがったけど今回はせりあがる必要はないよね、と思った。
そのままで充分。
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またチャリに乗り場内を一周し、またね、と語りかけるかのように手を伸ばして一人一人に手を振ってくれたコンビニ帰りの兄やんこと藤井風さん。
最後はステージに戻り、少年のようなキラキラとした笑顔を見せながらガレージの奥にサラッと消えていった。
8月25日のライブ終演後、日本にジワジワと近づきつつあった台風10号から吹いてきた少し冷たい風は、スタジアムにいた人の頬を撫で、秋の気配も一緒に連れてきた。
暑かった熱かった夏の風はもう存在していなかった。
あっという間に消えていた。
もう次の目標に向かって吹いているのだろう。
今回は3年前のFree Liveのリベンジ的なものとして捉える人も多かった。私も始まる前は少しそう思っていた。
実際は全く別物のライブだった。
私達が考える以上の急スピードで藤井風さんは前へ前へと進んでいる。
3年前と変わらないのは、同じ場所の芝にピアノが置いてある。
ただそれだけだった。
ライブ前のルーティーンを聞かれた風さん。
「ライブ前は集まってくれた人皆がいい顔になってるのを想像する、みーんな一人一人がいい顔になってライブ終わって最高だったfeelin'goodだったって顔を想像してステージに上がってる」
風さんはきっとただそれだけのために、寄り道もせず純粋に真っ直ぐに遥か先へと進んでいるのだろう。
圧倒的な存在感を見せつけられたはずなのに、終始全く受け身ではなかった。風さんと一緒に楽しめた楽しかったライブだった。
「誰もが全員主役になれたコンサート」だった。
そうか。
風さんは私達を観客としては見ていないんだ。
藤井風さんと私達は「ズッ友」だから。
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完。
(毎度毎度乱筆乱文にて失礼いたします。最後までお読みいただきありがとうございました!)