レザークラフト部始動!DIYテーマ”革靴修理1”
趣味のDIYで様々な取り組みをこなす”TOMI”が織りなす活躍を実況中継さながらに書き綴って行きます。まずは目下取り組んでいる”革靴修理”を紹介します。
#レザークラフト 、#革靴の修理、#チャーチ
対象:チャーチ レガート 9.5F ブラック カーフ 73 ラスト復刻版
Church's shoes, Legate, 9.5F, Black, Calf
状態: 2012年3月に購入、過去の修理履歴なし。強烈な履き潰し(汗)
はじまりまり。
初日:左足の裏面状態はこのような状況。。。早速DIY開始。
まずはベリッと解体をします。使うアイテムはこちら↓
メリメリメリッと、いちま〜い。
に〜ま〜い。
さんま〜い。こんな風に釘で止まってます。
丁寧に作られた靴はたくさん釘を使ってますね。
しかし、全部引っこ抜く。
革底の糸がすり切れてる上の方から底を剥がします
べろべろーん、と
ありゃりゃ、コルクがボロボロだ、
穴空いてたところがベコベコになってる、、、
カパ〜っと。一本一本、糸を切りながら剥がします。
ボロボロのコルクを全部取る、シャンクという金具も取ったところ。
リブテープが一部劣化して剥がれてる。
リブテープってのはこの貼ってある布テープね、これで靴本体とウェルトが縫い合わさってるんどけど、リブテープが剥がれてしまうと当然、縫いが解けてしまうのよねん。ま、しかし、一部だけだから大丈夫だろう。
次に、ウェルトの穴に残った糸のかすを一つ一つ取り除く
取り終わった糸のかす
取り外した底。6年越しの利用でハードな使用感。
次に、さっき釘を全部引っこ抜いたので、かかと部分を再度釘で固定する。釘が長すぎるので喰いきりで少し短くして釘を打ち込むと、下の鉄で釘の先が曲がり返って止まります。
打ち込み錐というので穴をあけて、下にこいつ↓をあてがって。
靴の中から見るとこんな感じ。あ、これは中敷き取ってます。
こんな風にハチマキというかかと部分の台になる革を止めます。次に、コルクを詰める所の型を取ります。
こんな風に紙を当てて、ぎゅうぎゅう押してると跡が着くの。こんな感じ
5ミリ位の厚さのコルクが必要そう。手元にないので次回までに購入して続きを
取り組みます。
昨日5ミリ厚さのコルク板を買ってきました。
今週末は色々忙しくて殆ど作業出来なかったが少しだけ。
これは鉄のシャンクという部品。靴がへにゃーとならないように足の裏の所に入ってます。こいつを靴につける前に布テープを巻いて接着性を高めます。
あと、ここのリブテープが、ほら、剥がれてる。これはちょっと補強しておきます。
革用の接着剤でくっつけた後にこの補強テープで、
こうしておけば、これ以上裂け目がひろがることはないでしょう。
こないだの型紙に基づいてコルク板を切り出して貼っていきます
はい、接着終わり。
乾いたら滑らかになるようにヤスリで表面を整えます。
はい、整えました。こんな風ね。
すっかりめくれあがっていたコバを水を打って柔らかくしておいてからペンチでグニグニと平らに戻してあげます。このあと底革着けるときに平らじゃないといけないから。
今日はここまで。
結局、グッドイヤーウェルトの修理はぶっつけ本番になってます。
手順は分かってて今までの所は経験あるのでOKですが、この先は未経験ゾーンです。頑張りますが、どうなることやら。
2足揃いました。
小指の付け根辺りがカリカリにひび割れているので油を補給。
全体的に染み込ませておきます。明日からは泊まり出張なのでその間養生ということで。
ベルギー製革本底。
国産品よりは固いらしいけど、固すぎもなく中間的ということで、入門編としてはこいつを採用。
特大サイズでもギリギリ(笑)
底革へ行く前にかかとの滑り革を修理しようかと眺める。うーん、滑り革が破れているだけじゃなく、かかとを包み込んで補強する芯がパリパリになって崩れてる。。。これは手強いなー。
ほら、ここ、パリパリでしょ。
とりあえず、滑り革を取ります。固着してるからこれまた手強いな。
うーん、だいぶ芯がいかれてるなぁ。補強策を考えないと、このまま新しい滑り革を当てても、芯がないとふにゃふにゃになっちゃう。
埋めなきゃいけないところを、また型に取ります。
適当に厚みのある革を切り出します。
革スキ包丁で境目に段が出来ないように端を薄く厚みを漉きます。
これを当ててみるものの、根本的に無くなってしまっている芯に相当する厚みを補強しないとダメだなって感じ。
2ミリ厚さのコルク板を切り出して、芯の代わりにならないか検討中。
こんな感じで無くなってる芯のスペースを埋めてみてはどうかな?続きは明日。反対側は軽傷。芯は殆ど残ってる。
剥がした。ほら。
右上の一部欠けたところだけ革をあてがいます。同じように革を切り出して、、、
この、芯用の水溶性セメントで貼り付けます。
こんな感じ。
こっちも。
これが乾くとカチカチに固まるってわけ。
その間に新しい滑り革を切り出します。ちょうどこないだ、ライニング用の豚革を買ったところなのでそれを使います。
端に段が出来ないように、薄ーく漉きます。
こんな感じ。
ちなみに、初心者の頃はこの漉き作業が上手く出来なくてすごく苦労したけど、コツを掴んでからはできるようになりました。
コツは、キンキンに研いだ包丁を使うこと。腕前以前によく切れる刃物がないと話にならないってこと。
乾いたらヤスリを掛けて表面をなめらかにします。
さて、ここからが大変。本当はミシンでやりたいのだけれど、私の革ミシンは靴の甲革を縫う専用ミシンなので普通のと向きが反対で構造上こいつを縫えません。
仕方がないので、手で縫います。穴が小さいので、革用の針では大きすぎて使えないから普通裁縫用の細い針をカミさんに貰ってきました。
さっきの新しい滑り革をこうやって少し貼り付けて、
丸錐で既存の縫い穴に合わせてアナをあけて、
縫うんだけど、針が細いから一番細い持ち手縫い用の糸を使っても針に対して糸が太い、、、糸が上手く針に繋げられない。うーん、仕方ないので、普通の波縫いで行きます。
こうやって、滑り革と靴を縫い合わせます。
はい、縫えた。手縫いは時間かかるのよ。っていうか、ミシンが便利過ぎる。あれはものすごい発明だね。
こいつを内側に折り返して滑り革を貼り付ければ縫い目の糸が出ないでしょ。普通は先に張り付けて、ミシンで縫って余分な革を切り取るんだけど、そうすると糸が表に出ていて擦り切れちゃうんだよね。脱いで履いてを繰り返すところだから。
今回はちょっと手の込んだ隠し糸仕様で行きます。
折り返す前にこうやってギザギザに切っておきます。
はい、出来た。
ちょっと色が明るすぎるけれど、そこはご勘弁下さい。
ここでひとつ、おことわりです〜〜〜
今回の新しい滑り革は元々の革よりも4割位薄かったです。こっちは芯がほぼ残っていたほうなんだけど、逆にそのまま芯を活用してスッキリ貼れたもんだから、元の革の厚みとの差の分だけ少しかかと周りが緩くなったかもしれません。微妙な違いで履き心地って変わるので様子をみてみて下さい。
見栄え悪いけれど、もう少し革を貼り足すことは出来ます。中敷き取るとこうなってます。
早送りして、はい、こっちも出来ました。
こっちは芯が無くなっていた所を補強策したので、そんなにゆるくはなっていないと思います。ただ、右と左で違いがあるのはそれはそれで良くないけど、、、
ってことで、滑り革の補修は完了!
夜のうちに乾かそうと、底を着けちゃいます。
革底を着ける為の最強接着剤。ニオイからして効きそう。
まず、接着面をよく荒らします。右は荒らしたもの、左はまだ。
接着剤を塗ってよく乾かします。
おもむろにくっつけたら、水を打ちます。塗り塗り。すごく吸い込みます。水で柔らかくして、靴の形に沿うようによくくっつけます。
ハンマーで良く叩いてくっつけます。
これね。底付けポンポンっていうらしい。
コバによくくっつくように、ペンチでプニプニ挟んでたんだけど、ちょっと跡が残ったかも。ひたすらハンマーと棒でやるのが正解みたい。
これで、よく乾かします。
今日はこれまで。
ここで1考。靴の先にスチール付けたいですか?今回は無しで行きます。
では、作業の続きを報告します。
底革を貼ったところから。次は革包丁で余分な革をコバの形に切りそろえます。
まず包丁をよく研いで、、、
ごめん、左足が最初にやったので、ちょいガタガタなところあり。右足は上手く出来ました。ヤスリで整えます
こんなん。
次に、縫い糸が表に出ないように表面の革を薄く剥いで、その下に溝を掘って底に糸を縫い付けます。ヒドゥンチャネル仕様って奴に挑戦します。まず、水を打って革を柔らかくします端から薄く包丁を入れて表面の革を起こします。
こんな感じね。すげー難しい。
本職は美しく剥ぐんだけど、ガタガタです。すまぬ、ちょっと見た目が悪くなります。。。 次に出し針というので穴を空けて糸で縫っていきます。
出し針。ちょっと試しにと思ってあけようとしたらいきなり折れた(泣)
浅草に行かないと入手出来ないので折れたところから研ぎ直してなんとかならないかとやってみる。
これが糸。これが大変で、、、
まずこいつを作ります。松ヤニね。これを鍋にかけて溶かした所に油を加えて水の中に入れて急冷して作ります。ちょっと固めだけれどまあよしとします。
糸にこの松ヤニ(チャンと言います)をよく擦り付けて、それから革で良くこすって摩擦熱で糸に溶かし込んで行きます。
糸の先をよく見ると透明なのが付いてるのが見えると思います。釣り糸です。縫い穴が小さくて曲がっているので針が通らないからこの釣り糸を針にするのです。これを付けるのがまて大変(難しい)のよ。。。
最後に滑りを良くするためにロウを塗り込みます。
こうしてヒト針ヒト針穴を空けて縫っていきます。
出し針にロウを付けて滑りを良くしながら穴をあけます
初めてだからなのもあるけれど、すげー時間掛かる。。。糸が2回切れた、、、
ちょっとごまかしながら縫い続けます。一目一目綾を掛けて糸は留めながら縫ってるから簡単には解けないとは思うけど。そもそも接着剤で貼り付けてるし。
片足縫うのに3時間掛かった、、、
作業を続けます。
もう片方も出し縫いをかけていきます。前回の反省から、入念に糸先を薄くして、チャンをよーくつけて、更によくよくしごいて、チャンを糸に溶かし込ませます。
針に慎重に、一体となるように付けました。
後は集中してひたすら縫います。この作業はかなり集中力が要るねー。
穴をあけて、、、
縫います。だいぶリズムが出てきた。
掘った溝に糸が収まるように。でも、たまに外れる、、、
ほい、縫い終わった。前回は3時間、今回は2時間。成長したね。
んで、起こしていた端に接着剤を付けて、水を打って伏せます。
こんな感じねー
所々切れていて傷が出来てる。すまぬ、、、あと、10足位やれば上手に出来ると思う(笑)
お次はヒール。メキシコ産特大サイズ積み上げヒール。3段積んであるんだけど、元々の靴を計った所ヒール高さが低いので、このまま付けてしまうと高すぎてしまう。どうしょう。
元々の靴は、ソール厚みが7ミリ、踵全体の高さが22ミリ、従って15ミリのオフセットでした。
今回、トップヒール(ゴムが付いてる地面に接するヒール表面)が8ミリなので積み上げ部分は7ミリでないといけない。3段のうち一段を取って2段でいきます。
メリメリっと1段はがしました。2段でも8ミリある。誤差2ミリまでは違和感感じないと某修理店の方が仰っていたのでこれでいきましょう。
これがトップヒール。なにせ特大サイズなので、これでいきます。
積み上げを少しお椀型に削ります。底革のかたちがそうなってるから。
削り終えた。凹ますの大変だわ。グラインダーがあれば早いのになぁ。。
んで、位置決めをして、接着剤縫っておもむろに付けます。
ほい、付いた。
この後、これに釘を打ちます。
今日はここまで。
釘を打ちかけてちょっと待てよと。
このままトップヒール付けると斜めっちゃうぞ、と思い至る。危ない危ない。
あれこれ眺めたあげく、積み上げを1枚はがして、1枚毎に削っていくことに。
ということで、1枚目削りました。
こんな程度でいいかな。削り過ぎるよりは控えめの方がいいから、次。
おっとその前に、1枚目終わったので釘を打っておきます。こんな感じに少し斜めにハの字に打ち込みます。ハズレにくいから。
これは打ち込み錐で釘が下穴をあけているところ。
2枚目を貼り付けたところ。右と左が反対になってまった、、、
この先は力業で何とか削るのみ。うまく行きますように。
実は。。。ベルトサンダーを衝動買いしてしまった。。。今後もたくさん削るだろうからと。やはり、機械があると全然違う!早い!楽ちーん。いいね。
ってことで、ほい平らになった!
左右比べて、まあ、こんな感じかな、、、
また釘を打って固定した後に、えいっと、トップヒールまで接着しました。
どう?だいぶ靴っぽくなってきたでしょ?
もう少し工程残ってるけどだいぶ完成が見えてきた。
雷雨が来て予定していたお出かけは取りやめに。おかげで靴三昧の最後の夏休み
・・・
・・・
・・・
完成しました。
では、最終日の報告を致します。
革包丁を例によってキンキンに研いで余分な革を除きます。
これね。んで、この後、秘密兵器のベルトサンダーで削り整えます。機械すごい。あ、少し削り過ぎた。
その後、ヤスリでやすっていきます。次にガラス片で表面を更に削っていきます
どう?だいぶ整ってきたでしょう?更に紙ヤスリでひたすらやすります。
もう3時間位やすりかけてる。指がいてー。どう?いい感じ?
シューツリーの持ち手のネジがバカになっていて抜けちまったのでこれも修理。
次に化粧釘を打ちます。まず、位置を印うって、打ち込み錐で下穴をあけます。そこに真鍮釘を打ちます。真鍮釘も買ってあったのよねん。
こいつを全部打ち込まないで途中で切ってヤスリで削ると丸くなるんだそうな。
いくつか打ち込みが宜しくなくて斜めってしまったので丸くならなかった、、、
よし、底革をフノリで磨いてみよう。
まだ濡れてるけど、雰囲気出てきたねー。
ここでちょっと実験。ヒールに茶色のコバインキをぬってからフノリで磨いてみる。
やっぱりこっちの方が化粧釘が映えるね。反対側は黒でやってみよう。
一部、色が乗っていない(弾かれてる)何か残ってたかな。。。
よし、このままの勢いでコバにコテをかけよう。
以前ヤフオクで買ったコテを使ってみよう。先に色を入れた方が良いかと、コバインキを縫ってから空コテをかける。んー、染色は後の方がよかったかも。
こんな感じね。コバの形が整ってきた。力を入れて、ギュッと。
踵はこいつね。イチョウ型のコテ。
どう、だいぶカチッとしてきたね!よし、ロウを塗ろう。
靴用のコバワックスと染色セット。沢山モノ持ってるでしょう(笑)
アルコールランプも(笑)
黒いロウを溶かしてコバと踵に塗り込んで、アルコールランプで熱したコテをあてて溶かし込んでいきます。
すると、こうなるのよ。
こいつを布で一生懸命こすって表面を平らにしていきます。ロウ塗りすぎだなこりゃ、大変だ、、、どや??
コバインキなどで周りが汚れてしまったので、また紙ヤスリて削ってから再度フノリで磨きます。
靴のマスキングテープも外してお掃除、クリーナーで拭いてからモウブレイの靴クリームを塗り込みます。
そしてついに完成!
最後にシャインワックスをコバと踵に。
中敷きも戻します。
修理部材費用をまとめました。
=====================================コルク5ミリ厚さ 530円
ベルギー革本底 特大サイズ 1,650円
積み上げヒール 860円
ヒールトップ(ゴム付き)460円
送料750円
上記小計:4,250円
=====================================
以上、終わり。
良い経験になりました!
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