おとしより　の　とりあつかい　せつめいしょ　１７３

きょう　の　いち

　おとしより　は　これまで　に

　いろんな　しごと　を　させて　もらった

　なか　で　いちばん　ながかった　のが　ぶんかほーる　

　ぶんかほーる　には　とうぜん　げいのうじん　が　やって　くる

　はいゆう　に　はじまって　かしゅ　に　らくごか

　まんざいし　に　ぶようか　に　ばれりーな　ぎたりすと　などなど

　あげて　いる　と　きり　が　ない

　おんがく　かんけい　でも　おーけすとら　や　

　ろっくばんど　こと　に　しゃみせん　に　しゃくはち　

　おとしより　は　とく　に　きまった　おんがく　に　

　きょうみ　も　ちしき　も　ない　けれど　

　どんな　おんがく　でも　すき　だった

　たとえば　・しみん　ぶんかさい・　なんか　で　

　しぎんのかい　なんて　いう　のが　あって　

　おおく　の　ひとたち　が　ならんで　しぎん　を　はじめる

　はじめて　きいた　とき　から　あまり　きょうみ　も　なく

　ちょっと　たいくつ　する　よう　な　

　これは　いったい　なん　だろう　・・　なんて　おもって　いた

　ある　とき　にほんいち　の　しぎんか　という　ひとが　やって　きた

　その　ひと　が　ぎんじる　しぎん　と　いうもの　を　きいた　とき

　ないよう　は　よく　わからな　かった　けど　

　せすじ　に　でんき　が　はしった　

　これが　ほんと　の　しぎん　なんだ　・・　と　かんどう　した

　その　とうじ　・すとらでぃばりうす・　と　いえば

　せかい　で　いちばん　の　ばいおりん　と　いわれて　いた

　もちろん　いま　も　そう　なの　かも　しれない　けど　・・

　で　その　すとらでぃばりうす　の　えんそうかい　が　あった

　まえひょうばん　も　よくて　

　かいじょう　は　いっぱい　の　おきゃくさん

　すとらでぃばりうす　と　いう　ばいおりん　は　

　おねだん　も　せかい　いち　で　いちおくえん　

　それも　わだい　に　なって　いた

　いちおくえん　の　ばいおりん　の　ねいろ　を

　しぬ　まで　に　いちど　だけ　でも　きいて　みたい　・・

　ひょっと　すると　おきゃくさん　の　なか　には

　そんな　ひと　も　いた　かも　しれない

　えんそうかい　が　はじまって　ばいおりにすと　が　

　きょく　を　かなでる

　いちおくえん　いちおくえん　・・　

　おとしより　の　あたま　には　つねに　その　きんがく　が　あった

　で　えんそうかい　は　おわった　けれど　

　とくに　これと　いった　かんどう　も　なく　

　いちおくえん　の　ねいろ　・・　って　いわれても　なあ　

　おとしより　は　そう　おもった　

　ぶんかほーる　の　しょくいん　こやづき　の　４にん

　どう　おもう　・・　ううんっ　・・

　あんな　もん　かな　・・　４にん　とも　そんな　ことを　いった

　どこの　くに　だった　か　わすれた　けれど　かいがい　から

　としおいた　おばあちゃん　の　ぴあにすと　が　やって　きた

　もちろん　にほんへ　えんそうかい　を　する　ために　くるの　だから
　
　それなり　に　ゆうめい　な　ひと　だったの　だろう　

　でも　まえ　ひょうばん　も　あまり　なく

　おきゃくさん　も　それ　ほど　はいらない　だろう　と

　おとしよりたち　こやづき　は　よそく　して　いた　

　ぶたい　に　・やまは　こんさーと　ぐらんど　ぴあの・　を　だして　

　・はんきょうばん・　を　せっと　する

　・はんきょうばん・　と　いう　のは

　ぴあの　の　おと　を　はんきょう　させて

　きゃくせき　へ　ひびかせる　ため　の　もの　

　てんじょう　と　さゆう　の　かべ　の　３ほうこう　を

　うえ　から　つるした　おおきな　いた　で　かこった

　はこの　ような　もの

　その　まんなか　に　ぴあの　が　おいて　あって　

　えんそう　する　と　ぴあの　の　おと　が

　きゃくせき　へ　むかって　はんきょう　して　いく　

　ぴあの　の　ちょうりつ　は　すで　に　おわり　

　かくにん　して　もらう　ため　に　

　ぴあにすと　が　やって　くるの　を　まって　いた　

　そこへ　ぴあにすと　が　きた

　おとしより　は　すこし　おどろいた

　そうぞう　して　いた　より　も　さらに　こうれい　に　みえる

　すこし　こしの　まがった　おばあちゃん　だった

　おばあちゃん　ぴあにすと　は　ぴあの　を　すこし　ひく　と　

　すぐに　ちょうりつし　に　おーけー　を　だした

　にゅうじょうりょう　は　それほど　たかく　なかった　けど　

　おきゃくさん　は　やっぱり　すこし　しか　はいらな　かった

　すくない　おきゃくさん　の　まえ　で　えんそうかい　が　はじまる

　はんきょうばん　の　すこし　まえ　あたり　の

　きゃくせき　てんじょう　から　

　さんてんづり　まいく　と　いう　まいく　を　つるして　ある

　その　まいく　で　ぴあの　の　おと　を　ひろい　　

　おんきょうしつ　から　ぶんかほーる　に　ある

　きゃくせき　いがい　の　ろうか　や　ろび－　や　

　えんとらんす　など　へ　もにたー　の　おと　を　ながす

　その　ひ　おとしより　は　その　かかり　を　して　いた

　おばあちゃん　ぴあにすと　の　えんそう　は　

　ちから　づよい　わけ　でも　なく

　ゆび　の　うごき　が　はやい　わけ　でも　なく

　とくべつ　に　かわった　ところ　は　なに　も　なかった

　けれど　おばあちゃん　ぴあにすと　が

　けんばん　を　たたき　つづけて　いる　うち　に　　

　おとしより　は　せなか　に　なにか　を　かんじ　はじめた　

　ぞくぞく　する　ような　しびれる　ような　なにか　・・　

　それが　なに　なのか　おとしより　には　わからなかった　けれど　

　とにかく　おとしより　の　からだ　は　ふるえた

　そして　１じかん　３０ぷん　の　えんそうかい　が　おわる　ころ　

　おとしより　の　むね　に　あつく　こみあげる　もの　が　あった

とりあつかい　ちゅういてん

　えんそうの　よしあしは　そのひの　ちょうしで　かわる

　おんがく　には　きく　ひと　の　このみ　も　ある

　おんがく　と　おかね・きんがく　は　かんけいない