池田 信夫さんへの反論-超過死亡者は医療逼迫による
他者を批評する事で、得られることは無い。十分に承知している。ただし、人の命に係わる問題を安易に論じたものは、糾弾する必要があると思っている。今回は、人を批評します。生活感にそぐわない方は、これ以上読み進まない事をお勧めする。
池田 信夫さんがアゴラで以下の様な論説を発表された。超過死亡数とコロナ死者数の相関が高い事に注目されている。仁井田 浩二さんの記事を参照されている。仁井田さんは超過死亡者は「PCR陰性のコロナ死亡」だろうと結論している。(図1)
このデータから超過死亡の原因となる死亡者数の推移と、コロナ死亡者数の推移、すなわちグラフの形は一致しないことを、私は既に述べた。同じ原稿をアゴラに投稿したが、掲載を断られた。池田 信夫さん(アゴラ研究所代表取締)にも同じ内容の書状を送ったが、返信は無い。さらに私はアゴラサイトへのコメント入稿を拒否されている。
池田さんは上のアゴラ論説上で2つの難点を挙げられている。
1.
2022年の超過死亡数は12万人、コロナ死者数は4.8万人、この差7.2万人がコロナに感染しながらPCR検査で陽性判定を受けなかった事は考えにくい。
2.
オミクロン株の致死率は0.1%だった。12万人が死亡したとすれば、1億2000万人、すなわち日本人全員がコロナ感染していた事になる。
したがって、超過死亡者はコロナ患者によって医療が逼迫している病院において、本来の医療が受けられなかった一般(コロナ未感染)の患者だろうと推察した。また、老衰死亡者の増加は、救急搬送が遅れた事が理由だと述べている。長期にわたる行動制限によるフレイルの影響も加味されると。厚労省の発表では、ワクチン接種による死亡者数は37人であるから、21万人の超過死亡者数を説明する事は難しいとも述べている。
すでに私の書いた記事で、原因不明の死亡者数推移と、コロナ死亡者数推移の関係は不明である。関係があるか無いか、超過死亡者数のグラフのみから推定する事は出来ない。
池田さんの述べられた1と2の難点も、もちろん考えにくい。
さらに池田さんの仮説である、医療逼迫も同じ理由で考えにくい。私の記事でも述べているが、老衰死亡者数は1年当たり20%増加している。老衰で救急搬送された方が、救急車の遅れで20%多く亡くなるはずが無い。老衰の方は、何を行ったところで数日内に亡くなる。フレイル等の老化促進効果はあり得るが、20%の死者増加を説明する事は困難だ。
結局仰っている事は、超過死亡の原因は良くわからない、という事だ。しかし、記事の表題は『超過死亡数は「隠れコロナ死」で説明できる』と書かれている。さらに意見は有料のサイトに寄せてほしい、と書かれている。ジャーナリストの基礎的なトレーニングを受けた方とは思えない。さらに中学校レベルの数学的能力も疑われる。