【エッセイ】ワンカップ。
こんばんは。
楽しみにしていたキングオブコントも終わり、あとはもうM-1かぁと思うと月日が流れるのが、早いものです。
今日は、官公庁に勤めていた時に、出会った人の話を書きたいと思います。
20代後半からとある官公庁で働いていました。ちょっと特殊なところで、詳しい業務内容は書けないのですが、私にとってはよい経験だったと思います。
そこで出会ったのがUさんです。Uさんは、私が勤務を始めてから1年以上経ってから異動してこられました。
50代中くらいの穏やかで人当たりが良く、やわらかい雰囲気がある男性です。
以前いたところは、とても過酷なところで(これもまた書けないのですが)私だったら、絶対にやりたくないと思うくらいな環境に身を置いていたのだそうです。
その方は、一般企業でいうところの、部長クラスと言いところで、チーム毎で仕事をするのですが、その1つのチームの上長でした。
私はその官公庁で1番多くの人がいる部門に在籍していた為、80名くらいの職員と関わっていたので、多分話したことがない人がいないくらい。
Uさんは、上長なので、私と関わる機会も多かったです。
その方は顔に傷があって、私も場所は違えど、顔に傷があったので、ちょっと親近感みたいなものを抱かれていました。
年齢は20歳以上離れていて、妻子があるにも関わらず、どうやら私に好意を寄せてしまったようでした。
好意を抱かれるような態度を取ったつもりはなく、あくまで仕事上でのコミュニケーションしか私は取っていないつもりでした。
ある日、共有フォルダに入っている職員の連絡網を勝手に見られ、私の携帯番号がUさんに知られてしまうことがありました。
本来であれば上長が見るべきデータではないものですが、探したんでしょうね。
突然、ショートメールが来たのです。内容は、簡単に言えば妻子ある人が送ってくるような内容ではありませんでした。
さすがに、それはもう気持ちが悪いということで、直属の上司にまず相談して、そこから更に上に相談してもらいました。
上は、大したことないという感じでしたが、1度注意して欲しいとお願いしました。すると、上に対して凄く嫌な態度を取ったそうで、反省していないかもしれないとのことでした。
実際、全く反省しておらず、自分が呼び出されて話をされたということを、私に直接伝えてきました。しかも、半笑いで。私からしたら、全然面白くないんですけどって話ですが、この時点でもうおかしくなっていたんでしょうね。
それ以降、建物内で私を見つけると後ろを付いてくるということが度々起こって、なるべく1人にならないようにしていました。
ある冬のことです。Uさんから、言われてゾッとしたことがありました。
「佃さん、一緒に死んでくれないか?」
と。
多分、以前の過酷だったところで病んでしまったから異動してきたとは聞いていましたが、それが継続していたのでしょうね。
私は、ただただその言葉の意味が分かりませんでした。
Uさんは続けます。
「冬だから、公園のベンチでワンカップ飲んで、そのまま寝ちゃえば、凍死するでしょう?一緒にベンチに座っていたら、心中だと思われるから、隣のベンチでいいからさ、ねぇ一緒に死んでくれない?」
と笑いながら言うんです。
怖かったのですが、何て答えていいか分からないので、愛想笑いだけしてその場を去りました。
そこから、更にあまり関わらないようにしたら、反省はしていないものの、以前のように変なことを言ってくることはなくなりました。
私が退職する少し前に、チームのみんなと一緒に焼き肉屋で送別会を開いてくれました。本当は行きたくなかったのですが、さすがにそうもいかず・・・。
退職後も、何度かショートメールは来ましたが、着信拒否をしている内にUさんも異動になり、それからどうしたのかは知りません。
もう、定年退職されているので、地元に戻られたかと思います。
妻子に構われていなかったからなのか、それともただ病んでいたところに、たまたま話しかけやすい私がいたからなのかは分かりませんが、それ以降同じような被害者が出ていないことを願います。
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