ままがくれた1週間①
7月29日金曜日夜10時、いつものようにバイト先で友達と喋りながら洗い物を片付けてた。
ばあばからの着信。久しぶりだなぁと思ったけどバイト中だから出なかった。
ちょっと経つとズボンの左ポケットがまた震えた。ぱぱから。なんかおかしい。と思った。
店長に許可を取ってお店の入り口を出てぱぱに電話をかけ直す。
どうした?
えっと、ままが倒れた。
え?大丈夫なの?
うん、見つけた時は意識あったから多分大丈夫
帰った方がいい?
うん、帰ってきた方がいいかも
もう飛行機ないから明日帰るね、じゃあね
無性に怖くなった。
どうしようもなく落ち着かない。
バイトを抜けさせてもらってとりあえず友達に電話した。家に来てくれるって。ありがたい。
ぱぱと電話で話したことを話す。落ち着いた。あと2人来た。アイス食べた。1人は来た瞬間に濃厚接触者なことが判明して帰った。最高に面白かった。3人で朝までYouTubeでアイドル見たりくだらない話しながらいつもみたいにうるさくて楽しい時間を過ごした。ままが病院でごめんね〜って迎えてくれる気がしてきた。テストあるから日曜日か月曜日には帰ってくるね。そう約束してばいばいした。
飛行機が着陸した。スマホを開くとぱぱからICUに来るようにラインが来てた。
え?ICU?医療ドラマが好きな自分を恨んだ。病院で1番病状が良くない人がいるところ。そのくらい余裕で分かる。救急で運ばれたからとりあえずICUにいるのかな。ICUにいるってもしかしてもしかする?いやきっとなんでテスト期間なのに呼んだのって少し嬉しそうに怒るままがベッドで座ってるはず。自分を安心させる気持ちと徐々に現実に気づき始めてしまう自分がいた。
しかも今の世の中はおせっかい。ICUって検索するだけで「ICU 死亡率」とか予測してくる。そんなの出てきたら見ちゃう。
何も分からないまま、いや骨折とかそういうことじゃないんだなってことだけ理解した状態で病院に着く。
1階のエレベーターでぱぱと落ち合う。遠くからごめんね、うん、ってそれだけ。何も表情からは読み取れない。明るくないことだけはなんとなく。病院だもんそりゃそうか。
やっぱりエレベーターの行き先は4階。ICUだった。
そのまますぐままに会いにいくのかと思ったら、ぱぱに待合場所みたいなとこのソファに座ってって言われた。
ぱぱが帰ってきたら倒れてた。くも膜下出血。病院に着いた時にはほぼだめだった。回復は望めない。
ぱぱが泣いてた。理解できなかった。うん、うんって聞いてたけど、最後の方になるにつれ相槌はできなくなった。大粒の涙が私の相槌の代わりをしてた。
とりあえずままに会うことにした。続きは②。
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