アヘアヘキングダム1st Season Story 19
＜Ｎｅｅｓｏｕ’ｓ Ｃａｓｅ ―― ネーソーの場合＞
病院から連絡が入った後、オヤジとアインと俺っちは、すぐに絵を描くのを止めて、帰る準備をしはじめた。ところが…
＜Dialog Neesou and Shouko on the phone ――
ネーソーとショウコの会話 電話にて＞
シ：ネーソー？
ネ：お袋！…話してて大丈夫なのか！？
シ：大丈夫よ( ＾ω＾ )
ネ：いや、だって…１回意識がなくなりかけたって、先生が…
シ：ミサキ先生もあなたも大げさね(笑)ちょっと疲れて寝てただけなのに。
ネ：強がり言ってる場合じゃねーだろ！！とにかく、そっち戻るから。安静にしとけよ。
シ：いいえ。戻って来るのは許しません。
ネ：は！？なんだよそれ！！
シ：ネーソー、よく聞いて。リョウジさんはね、ネーソーが出て行ってしまったことに対して責任を感じて、ずっと苦しんできたの。
ネ：……
シ：もちろん、リョウジさんのことだから表には出さなかったけどね。「父親失格だ」って、自分を責め続けてきたの。
ネ：やめてくれよ…
シ：やめません。ちゃんと聞きなさい。さっきね、ムネさんとユィミちゃんが駆け付けてくれて、ネーソーがリョウジさんのアドバイスを聞きながら、あのピクニックの時の絵を、もう1度描いてるって教えてくれた。
ネ：いや、まあ、描いてっけど…
シ：あとは、アインが嘘をついていたこともね。
ネ：…うん。
シ：ネーソーが、リョウジさんに対して、そしてアインに対して、ずっと抱いてきた思い。私は、誰よりも理解しているつもりよ。
ネ：……
シ：取り戻せるとしたら、今しかない。帰って来ちゃダメ。その絵、絶対に完成させなさい。
ネ：……
シ：返事！
ネ：……はい！！
シ：フフッ、ネーソーに説教するなんて、何年ぶりかしらね(笑)。
ネ：お袋、あの絵、完璧に再現してみせっから、絶対お袋に見せるから、だから……頼むから……待っていてくれよ。
シ：心配ご無用。私はそんなにヤワじゃないわよ。ネーソーの母親なんだから( ＾ω＾ )
＜Dialog Neesou,Ain and Ryouji ネーソー、アイン、リョウジの会話＞
ネ：…予定変更。あの場所に戻って続き描く。
リ：ん？どういうことだ。
ネ：今、ショウコさんから電話が来まして。「絵を完成させるまで、帰ってくるな！」って説教されました。
ア：ママ…(´・ω・｀)
ネ：オヤジは戻ってくれていいよ。あとは、俺っちとアインで何とかする。描き終わったら、すぐに戻るから。
リ：いや、私も残ろう。
ネ：オヤジ…
リ：私１人帰ったところで、ショウコさんに叱られるのは目に見えているだろう(苦笑)。
ネ：…まあ、そだなｗ
リ：よし、急ごう。フロントに車を借りに行ってくる。お前たちは、入口で待っていてくれ。
ネ：分かった。
＜Ｎｅｅｓｏｕ’ｓ Ｃａｓｅ ２―― ネーソーの場合 ２＞
俺っちの部分は完成した。あとはアインとオヤジに託すしかない。後ろで見ながら、黙って待つだけだ。
「バラバラな家族」とか、「家族を１つに」ってのは、きっと物理的なことじゃない。俺っちは、今までスゲー勘違いをしてたらしい。同じ場所にいて、同じ空気吸って、同じメシ食べていたって、バラバラな家族はいつまで経ってもバラバラだ。お互いを見つめあったところで、気持ちが死んでいたら何も伝わらないし、相手を笑顔にすることも出来ない。
今はどうだ。オヤジも、お袋も、アインも俺っちも、同じ方向を見ている。厳しい状況だけど、それぞれがそれぞれを思い、支えあっている。
多分お袋は、俺っちに伝えたかったんだ。家族って、こういうものよって。
いつもそうだ。俺っちは、気付くのが遅すぎる。
ミサキ先生は、「いつどうなってもおかしくない状況よ」と言っていた。
でも、その「いつ」が「今」じゃ困るんだ。
他は一切望まない。残りの夢、全部叶わなくてもいい。
この絵を、お袋に見せたい。
＜Ａｉｎ’ｓ Ｃａｓｅ ―― アインの場合＞
この絵を、ママに見せたい。
＜Ｒｙｏｕｊｉ’ｓ Ｃａｓｅ ―― リョウジの場合＞
ショウコ、２人の絵だ。もうすぐだ。待っていてほしい。
ショウコの話。ユィミさんの話。そして、実際描いているネーソーの姿を見た今、思う。成長が足りなかったのは、私の方だったのかもしれないな。
「ご自分の息子さんを、信じて下さい。ネーソーくんは、今でも皆を幸せにする絵を描けると、僕は確信しています＾＾」
クッサンくん、君の言う通りだった。
＜Dialog Neesou,Ain and Ryouji ネーソー、アイン、リョウジの会話＞
ネ：アイン…
ア：うん。出来た…
リ：この絵だな。
ネ：ああ、この絵だ。
リ：乾燥と仕上げは私が車中でやる。ネーソー、病院までの運転頼むぞ。
ネ：オッケ！車とって来るから、荷物まとめといてくれ！
リ：分かった。
ア：パパ…ありがとう。
リ：アイン、頑張ったな。きっとママも、喜んでくれるよ(＾＾)
ア：(´；ω；｀)
リ：( ,,＾ω＾ )ﾉ”(´っω･｀｡) よし、ネーソーが帰ってくる前に、荷物まとめてしまおう。
ア：うん！
＜Ｍｕｎｅｔａｒｏ’ｓ Ｃａｓｅ ―― ムネたろうの場合＞
ミサキ先生！ちょっと奥様の様子が…今すぐ病室に来てください。はい、お願いします！
【ＳＴＯＲＹ ２０ Ｐｒｅｖｉｅｗ ―― 次回予告】
同じ心を重ねて