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【ショートショート】ミラーリング・インフェルノ【夏ピリカ】
私が「サソリの串揚げ…」と呟いた瞬間の、リサの眉間の皺を私は見逃さなかった。
私とリサの三連覇が掛かるミラーリング・チャンピオンシップの準決勝。私は勝負に出た。
ミラーリングは、相手のしぐさや言動を鏡のように真似をするのがベースだ。しかし、近年のミラチャンは意外性にも重きを置く。私達は二連覇しており、審査の目が厳しい。息が合うのは当然。予定調和だけでは勝てない。
準決勝の会場がこの中華料理店と発表された時、裏メニューでサソリがあるのを私は知っていた。エビチリや青椒肉絲を食べて、美味しいね~なんて普通のカップルの真似してどうする。
リサにサソリを頼むことは黙っていた。棄権すると言い出しかねないからだ。ミラチャンから心が離れていたリサを必死に説得し、出場に漕ぎ着けた。三連覇して、歴史に名を遺したい。だから私は勝負に出た。
決勝まであと1つ。頼むリサ。
「サソリの串揚げにしようかな」
「・・・あ、私もそれ頼もうと思ってた💛」
Got it!
『おーっと!ケイ&リサペア!伝家の宝刀、私もそれ頼もうと思ってた💛にサソリを持ってきたーっ!いかがですか解説の加々美さん』
『ナイスミラーですねぇ。ここでサソリとは、流石の貫禄です』
リサ、お前を信じてよかった!
暫くして、揚げたてのサソリが到着。リサの右目には「絶」、左目には「許」と書いてあるが、三連覇できるなら、後で土下寝でも何でもしてやる。
同時に箸を持ち、サソリを摘み、箸を近づけ、ウインクして乾杯。どうということはない。経験と修練のなせる業だ。
『息ぴったりですね、加々美さん!』
『見らー分かんだろ!最高だよ!』
『加々美さんも乗ってきました!』
サソリを口に運ぶ。
熱い!マジで熱い!
あと固い!そしてスーパー苦い!
一瞬、私の顔が歪んだ。長年の癖で、リサにも歪みが移る。まずい。ネガティヴなミラーリングは減点対象だ。私は慌てて笑顔を作る。リサも涙目で同調する。
よし、決め頃だ。
「どうだいリサ」
「やっぱりこの苦みが」
「タマランチ会長」「タマランチ会長」
『決まった~!いかがですか加々美さん!』
『エクセレントミラーですね。全選手の鑑ですよ』
私たちは無事決勝進出を果たした。
控室に戻る。リサは私と目も合わせてくれなかったが、なぁに。午後の決勝まで4時間以上ある。機嫌が直るまで待つとしよう。
控室のモニターから、チャイム音が鳴る。
決勝会場の発表だ。
どこでもいい。私たちに勝てる者などいないのだから。
【ミラチャン運営より】
決勝会場は、サソリ料理専門店です。
私たちは顔を向き合わせ、同時に頭を抱えて叫んだ。
ジーザス!
おいおい、こんなリアクションまで鏡写しかよ!
リサ、今年ももらったな!
『ここで速報です。…え?ケイ&リサペアが…一身上の都合で決勝を棄権する!?』
『いやぁ…これは残念ミラーですね…』
『おーっと!加々美さんがショックでかがみこんでしまったーっ!』
リサ「ヤカマシイワ!!」
(1198文字)
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天気に合わせるかの如く、激熱の夏ピリカグランプリ。
「かがみ」をテーマにした小説、書いてみたぜ٩(๑•̀ω•́๑)۶
締め切りまであと2日もあるよ!
応募してねっ!
よっしゃあああああああああああああ
これでみなしゃまの作品を読みにいけるぜーーーε≡≡ヘ( ´めДめ`)ノ