【鶴亀杯】準めろ賞(鶴6句)
鶴亀杯公式審査員のめろです(´めωめ`)コンチワー
めろ賞に続き、準めろ賞の発表です。
準めろ賞(鶴6句)は、審査員個人賞ではないものの、最終的に残した上位12句の中の6句ですから、めろ賞に負けず劣らずの超バチコンな句たちです。どれが大賞を取ってもおかしくない、いや取ってほしい!と、自信満々に予選の舞台に送り出した、大好きな6句。順位はめろ賞からの通し番号です。では、参ります(。=`ω´=)
第7位
九歳の歴史に学ぶ夜の秋
ゆず
スルメ句、というんですかね。正直、初見は「??」でした。でも、読み解いていくと、どんどん味わいが出てきて。その上で季節感や微笑ましさもあるなと感じました。
「九歳の歴史」をどう解釈するかに、この句の評価はかかっていると思います。九歳で名を馳せた歴史上の人物なんておったかな?(´めωめ`)ンムゥ…なんて、最初はすっとんきょうな鑑賞をしていたオイラ。中七「に学ぶ」を見て、なるほど。九歳の子が、親である詠み手に歴史を教えてくれてる場面かと気づきました。
季語が「夜の秋」だから、夏休みも終盤戦。宿題のためかレジャーかは分からないけど、歴史博物館みたいなとこ行って、帰ってきて、夜ご飯食べてる時なんかに、覚えたことを得意げに親に話す男の子の姿が見えました(飛躍させすぎ?かな笑) 親が笑顔で「へぇ~そうなんだ」「すごいねぇ!」と言ってる姿。子の得意げな顔。「夜の秋」じゃなければ、この画は浮かばなかった。季語のチョイスが素晴らしいです。
一見、画が浮かびにくいけど、しっかり読み取って画が見えると、ああ、良いなと。みん俳の予選の舞台にあるべき句だと思いました。全句審査後、どなたが詠まれたのか気になり確認すると、なるほどゆずさん。家族の句で一貫されていますが、どちらかというとストレートに詠まれる方。この御句は少しチャレンジングだったと思います。チャレンジ成功でしょう(´めωめ`)b
第8位
水遣りを避けて跳ぶ跳ぶ青蛙
クロウサ(木花薫 コノハナカオル)
良いねぇ。夏らしさとユーモアがたっぷりあるよね。
クロウサさん、あえて青蛙狙って水やりしてるんじゃないの?(´め∀め`)ワハハ 青蛙も、それを楽しんでるような。だって、暑い中の水は蛙にとってそんなに嫌なものじゃないじゃん?なのに、水を避けて跳びまわっているという。遊んでる感あるよね。蛙といちゃついてる句とも言えるよね笑
「跳ぶ跳ぶ」のリフレインも好き。「おお~跳ぶ跳ぶ!お前さん随分跳ぶね~笑」って笑いながら、きっとクロウサさんは再び蛙にホースを向けるんだろうな笑 「跳ぶ跳ぶ雨蛙」ってリズム感ね。「トブトブアマガエル」ってアプリのゲームあったら楽しそうだよね笑 自然と韻を踏めているし、音読して楽しいのも高評価。軽快さはNo.1だと思います。
クロウサさんだと、この御句も印象的でした。
お中元ゼリーという名のゲル化剤
こちらは、ブラックラビットを名乗っていらっしゃるだけあるなと笑 ことばのセンスを感じますね~。
第9位
遊歩道猫が集いし熱帯夜
レモンバーム
季語「熱帯夜」に、「遊歩道」と「猫」の組み合わせ。見たものを詠んでいるだけ?いやいや。これ「遊歩道」ってチョイスが素晴らしいのよ。
夏の遊歩道。そんなところ、昼間の猫は絶対に寄り付かないよね笑 暑いし、人通りも多いもん。だからこそ「集いし熱帯夜」が活きると思いました。猫が集会をするのに「そこって、昼も夜も居る可能性あるでしょ」って場所だとあまり良さが出ない。夜だからこその遊歩道。ここが良いです。
遊歩道ってレンガ造りが多いから、一般道路(アスファルト)に比べて蓄熱されにくくて、夜の路面温度が低いと思うんよ。遊歩道なら、車も通らないから安心だしね。猫が集会を開く場所を表現するのに「夜の遊歩道」はかなりバチコンだと思います。
昼は賑わう遊歩道も、夜は人通りが少ない。そこで行われる、猫の集会。自分だけが知っている。こっそり見に行く。夏の夜限定の、自分の秘かな愉しみって感じがするよね。ことばも平易で画が浮かびやすい。つまりイケてる。決勝進出に相応しい御句でした。
第10位
柱時計律儀さに泣く熱帯夜
柿葉/テン・テンte to te ・コネクター
一目佳句。季節感があって、わかりやすくて、ユーモアがある。大好きです。その上で、柿葉さんの優しさを感じるんですよね。
意味は把握しやすいと思います。1時間毎に(ものによっては30分置きに?)鳴る柱時計。オイラも父の実家にありました。古い家でね。アンティークっぽい大きな柱時計が居間のど真ん中にデーンとあって。お腹に響くような、重厚な音色だったんですよ。
夏休みに父の実家に泊まる時は、柱時計のある居間の隣の客間で寝てたんですけど、夜に聞くその音がもう怖くて怖くて笑 トイレに向かう廊下で鳴り響いた時なんかもうね…って、個人的な話ばっかですんません(´めωめヾダハハ
この句の何が好きって、中七の「律儀さ」です。ま、律儀じゃない時計は困るしね笑 柿葉さんにとっては憎き柱時計だけど、毎時鳴ることを「律儀=ちゃんと自分の役割を果たしている」と表現しているところに、柿葉さんの優しさを感じるんです。安易に柱時計を腐してない。その存在は認めている。オイラなら電池引っこ抜いちゃうもん笑 マイナスの現象を、プラスのことばで優しくユーモラスに表現する。中々出来ないですよこれは。
そして季語「熱帯夜」。ここは一択だね笑 これ以外ない。ユーモアと優しさを感じさせる、夏の佳句と思います。んー好き。
第11位
夏蒲団こっそりめくる通信簿
はやしっぷ♡
一目良しと感じた句。季節感もユーモアもあるし、何より物語を感じさせるのが好印象だったね。
「成績上がってるかな?」という期待感でこうしてるのかも知れない。或いは「親に怒られるかも…」とドキドキしながら見ているのかも知れない。布団の中だから、もし成績が悪かったら、そのままふて寝してもいい笑 前後の物語を感じるよね。
その上で、句全体を微笑ましさが包みます。上五と下五が全部漢字で、中七の「こっそりめくる」がおーるひらがな。だって、これはこどもの動作だから。考えて作られているんだよね。
季語「夏蒲団」。この選択もバチコンです。ガチの布団に隠れたら、真っ暗で何も見えないもん笑 生地の薄い夏蒲団だから、光を透過させて通信簿を見ることができるんよね。平易なことばで書かれていて分かりやすい一方で、作者の工夫が見える句だと思います。
第12位
夏服の心許なき登校日
シンハ
「これでもう上位は決まりかな~(´めωめ`)ンムゥ」と思いかけた、投句終了5時間前に飛び込んできた御句に、オイラは心を奪われてしまいました。
上級者の方々には類想句なのかも知れない。でもオイラは幸か不幸か(?)沢山俳句を読んできたわけじゃない。類想句フィルターが薄手で助かった(??)とにかく、好きだと思えば躊躇なく選びます。
これは女子の俳句です。夏服の薄着の何か足らない感、奪われてしまった感、分かる。透けちゃうんじゃないかとかね笑 今は分からないけど、オイラが中高生のころの夏服って、まー透ける。男子の目が気になるのです。
そして「登校日」。久々にあうクラスメイト。これも不安になるよね。普段は仲良いのに、夏休みに入って暫く会ってない友だちとか、ぎこちなかったらどうしよう・・・とか、余計なことを考えてしまう笑 中七「心許なき」が、「夏服」にも「登校日」にも効いている。つまりバチコン。こういうのはストレートで良い。俳句だからといって、無理に婉曲させたり、捻くり回す必要はないとオイラは思ってます。夏らしくてユーモラスで分かりやすい。好きです。