ねこもうひとつ。
猫と暮らす。一緒にいる。
ごはんをあげて、トイレのお世話をして、肉球を揉む。
にゃーにゃーといわれ相槌をうっていると、ほんとうに会話をしていると思う。何年も一緒に暮らせば暮らすほど、猫は人の使う言葉を操る。
猫の知能は人間の5歳程度なのだそうだ。
幼稚園児と考えると、だいぶ意思の疎通ができるし
そりゃあバツの悪い顔をするし、悪いことを認識しながらも悪戯をする。
わがままだって言うし、口喧嘩だってするし、仲直りだってする。
年の違う二組5匹という大所帯になってしまったが
それゆえに、最近考えることが多くなった。
もといた奴がヤキモチを焼かないように、とか
新しいやつがすねないように、とか匙加減がとにかく難しい。
そして、いままで一緒に暮らしていたふたりは
特段病気もなにもなく、安穏と暮らして来たのだが
新入り3人は、元野良。全く勝手が違った。
まず猫風邪もちということ。
環境が変わったり、季節の変わり目には気をつけてあげないといけない。心配の種がひとつ植わった。
そして猫同士の関係性だ。
元いた二匹も兄妹で、こっちは付かず離れずいい距離の兄妹
恐ろしいほどのびびりで、素直になれない甘えたの白い兄と
比較的マイペースで、わが道を行くサビの妹。
それに対して新入りは
病弱で彼岸すら踏みながら生還し、その反動かおそろしい食い意地の次男
猫猫しく、比較的警戒心が強いながらも信頼を寄せてくれる妹
ガチムチ体型で妹溺愛、人間大好き物怖じしない長男
この5匹はなかなか難しい。
もともとの2匹がことし9歳になるせいもあり、あらたな猫をなにか異星物のようにおもっているのか
まだ心をひらかない。
そしてそのこころを開かない先輩に対してグイグイ行く長男。
わりと毎日が大変だ。
長年連れ添ってきて白い兄が他人に『シャー!』という音を出したのを私はこの間初めて聞いた。
むしろ言わなすぎてこのシャー音を出せないんじゃないかとずっと思っていたくらいだったのに。
いかほどの時間をすごせば、わかりあえるのだろうか。
そして、新入り3人が、どんな風貌の大人猫になっていくのだろうか。
みんな元気に、健康におとなになってくれるだろうか。
約10年前。先輩シロサビとともに暮らすとなったときとは違う、不思議な気持ちがある。自分も歳をとったせいもあるとは思うが。
そして、元野良を保護して思ったことが一つある。
やはり、元野良は考えなければいけないことが
きっと思っている以上にある。ということだ。
ペットショップで買うのならば保護猫を!と
よく言われるが、逆に安易に保護猫ちゃんという選択肢も難しいような気がする。
もちろん、保護された猫を飼うのはとてもいいことだと思う。
猫はすべからくかわいい。貴賤などあるわけもない。
ただ、猫風邪を持った子と一緒に暮らして思うのは
やっぱり心配が絶えない。
心配は辛い。
きっと字面でみるより、想像するより自分がその立場になったとき
ほんとうに辛い。
鼻詰まりでも、呼吸が苦しそうだと、こっちまで苦しくなる。つらそうな様を見るのは、未来を想像してしまって心が削れる。
整体売買を認めよというのではない。
みな、生き物が幸せになる、人も猫も犬もなにもかも
その方法がほしい。きっと絶対どこかにあるはずだから。
病気があっという間になおる薬が
あればいいのにな…。
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