「英会話学校に入れば、きっと英語ペラペラに…」それは幻想。
身も蓋もないことを言おう。正直なところ、【英会話講師は、英会話学校に入ることをお勧めしない】
私は、子供英会話の講師をしていた。TOEICは910点。留学や英会話学校への入学経験は一切なし。公文式は子供の頃していたし、それが無関係とは言わないが、あれは会話力とはあまり関係がないので、英会話の力は大人になってから独学で磨いたと自負している。しかも国内で。アメリカ人の彼氏も作ることなしに。今では、海外の友達とオールイングリッシュで、何時間ボードゲームをプレーしても楽しめるくらいの英語力はついた。(有難いことに、よく誘ってもらえる!)
そんな私が懸念していること。それは英会話学校に入っても、お金の無駄使いになってしまう人たちが結構いるんじゃないか、ということ。入学することが無意味とはさすがに言わないけれど、自分が通うとしても、子供に通わせるとしても、それが「これでペラペラになる」と期待しての行動なら、高いお金を払って得られるリターンは正直少ないと言えるだろう。
英会話学校に入る入学金、授業料、教材費は、結構高い。それなのに、入ってもペラペラになる人は正直少ない…いや、ほとんどいない。
なぜか。
その理由と、英会話学校の選び方、活かし方を以下説明したいと思う。
お金をかけずに効率的に、ペラペラになりたいと思ってるなら、マインドセットを変えてくださいな。メモの準備はいーい?
1.入学さえすれば、誰でも、何もしなくてもペラペラになると思っている人が多い。
今年こそは、英語を話したい!そんな風に思って、英会話学校へ入学した。高いお金を払って、教材も買って、きちんと通っているのだから、そのうちペラペラになるだろう…そう思いこんで、数年経ってみたけれど、一向に話せるようにならない。なんでだ… 先生が悪い?自分の頭が悪い?方法が悪い?教材が悪い?????
結論から言うと、圧倒的に量が足りないのだ。
大抵のスクールは、週に1度、あるいは多くても2度、一回に一時間ほどのレッスンと、宿題?時間にして、そんなもの。それだけでペラペラになれると思っていたら、それは大間違い。言語の習得はそこまで簡単なものではない。
よく考えてみて。私たちが日本語をまともに話せるようになったのは何歳くらいだろう。2歳?3歳?それも、毎日毎日、横で両親が日本語を話し、テレビから日本語が流れ、絵本を読んでもらい、レストランのメニューも英語で…と、日本語尽くしの毎日を送っての、2~3年なのだ。
外国語の習得だって、同じである。最初は、大人が何を話しているのか分からなくてもどかしくて、自分も参加したくて、「あーあー」「うーうー」と真似てみて、「まま」と言って喜ばれ、「まんま」と言ったらご飯が出てきて…を繰り返さないと、身には付かない。
週に一度、一時間、レッスンを受ける以外は、日本語しか使わない。そんな環境でペラペラになりたい?無理無理。いくら貴方が天才だろうが、まず考えられないと言っておく。
何かを習得するには1万時間などと言われる。その真偽は追いとくとしても(正しいとして、週に1時間なら、200年弱かかる。毎日10時間なら3年ほど)、ある程度のレベルに達しようと思ったら、何の分野であれ、圧倒的な量の経験は必須だ。使うお金の額じゃない、時間の量なのだ。
じゃあどうすればいいの?もう、入学しちゃったし…その悩みにはまた後で回答する。とにかく、圧倒的に量が足りない、それだけ今は覚えておいて。メモした?
→ペラペラになる人は、家庭学習(というか英会話学校の外での英語の使用)が必須。
2.言語は教えてもらうものではないから
先ほど、ある程度の時間は必要だ、と言った。
だけど…待って?
私たち日本人、普通に義務教育を終え、高校まで進学した人なら、6年間英語を勉強してきている。apple, white, red, happy, be動詞、過去形、否定文、疑問文…覚えさせられた数々。
そういえば6年もやったじゃん!十分じゃない?
その6年の蓄積、努力が無駄とは言わない。今から英語の学習をスタートさせようとする時に、アルファベットも書けない、否定文の作り方も分からない…という知識ゼロの状態よりはずっとマシ。だけど…、ペラペラな人はどれだけいるだろう?
なぜ話せないのか。それは使わないからだ。
英語の単語や文法ばかりを記憶させ、話す機会、使う機会を与えられない日本の英語教育に対する批判は高まり、最近ではアクティブラーニング、などと、「使える力をつけよう」という教育が始まってはいるようだ。とはいえ、そういう教育を受けてきた日本人だもん、正直、英語教師自身が「英語を話す、という点では自信がない…」のが実態でしょ。留学経験のある人でない限り。文法や受験英語は教えられても(今までそれしか求められてこなかったものね)話す力に関しては触れられたくない…。お願いだから俺に英語で話しかけるな…。大きな声では言えないが、そういう人が多いんじゃないかと思っている。
もちろん、後述するように、ペラペラだから生徒を導けるというものではないにせよ、ペラペラになったことのある日本人なら、そこに到達するまでに通らなければならない道のりを経験しており、その体験に基づいたアドバイスができる。その有無は大きな違いだろう。私の周りにも英語を話せる日本人はいるが、大半が留学や海外在住の経験者であり、国内の英語教育のみでそこまで到達した国内バイリンガルとも言える人は、正直少ない。そりゃあそうだ。
教える教師や講師が、そんな感じだし、生徒側も求めるものが曖昧なんだもん。そうなるでしょ。
待って、ちょっと脱線した。
英語ペラペラって言うのはね、(そういえばあの人に誕生日プレゼント買いたい、何色が好きなんだろう…)って思った時に、What color does he like? とか、What color do you like? とかパッと出てくる力が必要なのであって、試験で書けなくてもいいし、スペルなんて正直正しく分からなくてもいいの。必要なのは単語練習ではなく、経験。そういう場で、そういう気持ちを表す時に、英語を使わなきゃ駄目、っていう状況にどれだけ置かれたか、っていう経験が物を言う。This is a pen.なんて、基本的な文法構造を理解するには使えても、必要になる状況がそもそもないよね。それよりは、What does it mean? とかね、気持ちとリンクした言葉じゃないと、記憶に残らないし、使わないからそりゃ忘れていくよなぁ…って思う。
言語はツール。使ってなんぼ。
英語を使いたい、使わなきゃ、って状況にどれだけ身を置けるか、がカギ。
じゃあ、どうすればいいのって?後で書くからちょっと待って。
とりあえずこの章ではこれだけメモしておいて。習うより慣れろ。何でもそうだけど、百歩譲って数学なんかは解法を教えてもらえるとしても、英語だけは教えてもらうものじゃない。
→使わざるを得ない状況にどれだけ身を置けるか。
3. 周りが日本語しか喋ってないのに、英語を話すのは無理。
日本の英会話学校の盲点。それは、通ってる生徒の大半が英語を話せない日本人である、ということ…
当たり前じゃん、できないから皆、お金を払って通うんだから。しょうがないじゃん、って?
いやいや、実はこれが一番大事かも。だから、私はあまり英会話学校をお勧めしないのだ。
まぁ、外国人講師とマンツーマンとか、スカイプ英会話とか、それは良いとしても、集団授業では、周りの生徒は皆、英語が話せない日本人。
子供英会話でもそうだった。当然、レッスンが始まるまでは、皆、日本語でペラペラ喋ってるし、周りが英語で雑談なんかしないから、英語を話す空気にはならない。講師が英語を話しても「え、何?わからん」とか言われるから、しぶしぶ日本語で指導するようになる…そんな感じ。
月に一度のネイティブ講師のレッスンはオールイングリッシュなのだが、分からなくてストレスになる子供、その時は来るのを嫌がる子供。良くて、英語での質問に日本語で答える程度。そりゃあ、そんな状況で話せるようにはならない。
私たちって、周りの影響をかなり受ける。周りが英語を話していたら、自分も…となるけれど、そうでないと、悪い意味で安心しちゃう。ペラペラになりたかったら、英語で雑談できる力をつけなきゃなのに、日本語の雑談で満足してちゃ、そりゃあ、いつまで経っても、英語はペラペラにはなりません。
理想は、その学校に行ったら、皆が英語しか話さない…という状況だ。願わくば、英語しか通じない。意思疎通のツールは英語しかない。という環境。どれだけレベルが低くても、恥をかいても、いい。そのプレッシャーは、必要なプレッシャー。
言いたいことがあるなら、何とか英語で搾り出さなければいけない、という状況こそ、大事。というか、大切なのはそれだけだから、場所は英会話学校じゃなくてもいい。外国人が集まる場所や、英語で交流できる場所であれば、それで十分。
一定期間、海外に住んだことがある人が、英語を話せるようになるポイントはここ。この経験を通して、必然的に英語で思考し、英語に気持ちを乗せられるようになる。いや、逆に言うと、ここを通らずには、無理。
私は、英会話学校に通ったことはないけれど、定期的に英語を話せる場が自分に必要なことは分かっていたから、国内で、県内で、そういう場所を片っ端から探して参加してみた。社会人向けの英会話サークルなど、インターネットで調べてみて?意外と見つかるはず。「英会話 社会人 ○○県」とか。なかったら、むしろ自分でイベント企画しちゃいましょう!笑
あと、お勧めなのは、最近増えている、英会話カフェ。英会話バー。会員にならずとも、フラッと行って、お酒を飲んだりしながら英語を話せる。
行きたい時に行ける気楽さと、話したいことを話せるフリーな感じに惹かれて、一時期よく通っていた。(最近は、外国人のボードゲームグループによく顔を出してるから、それで十分になった)
4.楽しくないと無理(あるいは極端な環境が必要)
ビジネスで海外の取引先と交渉しなければならない、などの極端に英語が必要な状況に置かれれば別だけれど、そういう人は少ないと思うので、私がお勧めするのは、楽しく学ぶこと。
楽しい、というか、英語を聞くとか話すとかを快感に感じるレベルにまでならないと、国内で英語を習得するのは難しいと思っている。
つまりは、ゲームに夢中になっちゃう、とか好きな曲を何度も聴いちゃうというレベルで、自然と英語に触れたくなっちゃう、という心境。
よく言われる、英語を話せるようになりたかったら、一番の近道は外国人の彼女を作ることだよ、というのだけは、私は真理だと思っていて、その理由はモチベーションが半端ないから。
欲を満たすのに、英語を使う、これが一番強い。
好きなテレビゲームを英語でしてみる、恋愛を英語でしてみる、一人で手配して海外旅行に行ってみる、好きな英語系のYou tuberを作る、など。
私がしたのは、料理系の英語チャンネルを見る、英語の「脈あり男子を見抜く方法」系のチャンネルを見る(笑)、アメリカドラマ(英語字幕+英語音声)を見る…。
英語で趣味を楽しめたら、勝ちだと言っていい。知らず知らずのうちに、あなたは英語に触れる時間を増やし、英語が聞き取れるようになってくるだろう。
そして習得するスピードを速めたかったら、アウトプットの場をきちんと定期的に確保しておくことが大事。
(続く)