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『プレジデント』特集/頭がいい文章 バカな文章 あなたはどっち? #2
ミクシィ社長 木村弘毅
文章を書くときに気をつけている点の第一は、「『誤解』が生じないようにする」ことだという。「このゲームのどこが面白いのか、説明してください」と部下に書いたことがある。「こういうところが面白い」という具体的な説明を期待していたのだが、「えっ、つまらないということですか?」という反応が返ってきた。そこで、こうした場合は「このゲームの面白さの要点を説明してください」と書くようにした。これで「ゲームは面白い」ことは前提となり、面白さのポイントを具体的に説明してほしいという意図が伝わるという。
「誤解が生じない文章を書く」のはわたしが日々、第一にこころがけていることなので、「そうそう!」とうなずきながら読んだ。「このゲームのどこが面白いのか、説明してください」がなぜ否定的にとられてしまったのか。それは「どこが」という疑問詞を使ったからである。「なにが」「どこが」と言われると「えっ、だめなのかな?」と思う人は多い。わたしもそうだ。こんなとき、受け取る側が気をつけようということで片付けられることが多いが、わたしはそうではないと感じていた。当記事のとおり、「書く側」が受け手の反応も予測して、ネガティブなニュアンスを排除して書かねばならない。「なにが」「どこが」を使わないほうがよいことはわかっていたが、これからはわたしも「要点」という語を使って、木村氏のように「厳密に」書こう。
画像:日本橋川沿いの桜。1週間前は、この春の寒さで1分咲きだったのが満開だ。