見出し画像

マイクラななし杯に見た、筋書きのないドラマ

「第1回マイクラななし杯」が2021年5月1日から3日間開催されました。774inc.所属VTuberのうち20名が5チームに分かれ、マインクラフトの建築を競うという企画です。

まずチーム分けが4月26日にあり、この時点で正直私は「この企画大丈夫か?」と思っていました。ルーレットを使った完全ランダムでチーム分けが行われた結果、かなりアンバランスなチーム編成になったからです。

画像1

これがチーム分けですが、774inc.内でマイクラ上級者とみなされるメンバーがBチームに集中しています。Dチームもマイクラを比較的やるメンバーが集まっていますが、ここは全員があにまーれの1期・2期メンバーであり、いつメンなので、グループ間で交流するという趣旨にはあまり合っていません。

他のチームは、メアリさんとミコちゃんはやりますが、他はマイクラをあまりやらないメンバーであり、Aチームなど特に初心者しかいないのでバランス悪く、大丈夫かな、企画成り立つかなと思ったわけです。バランスが良くなるようにチーム分けを決めたほうが良かったのではと。でも終わってみたら、このバランスの悪さがむしろ良かったと考えを改めました。

それについて書く前に、まず各チームの作品を簡単に紹介します。リスナー投票によって順位がついていますが、それは本質ではないしネタバレかなと思うので書かずにおきます。作品のプレゼンと結果発表の動画はこちらです。投票後の結末まで含めて面白いですよ。

Aチーム:タワーマンション

今回の企画にはお題があり、「子供の頃に見た夢」を作るというものです。これは様々な解釈が可能ですが、Aチームの解釈は「私たちはまだ子供みたいなものだから、今の夢を形にしよう」でした。そして彼女たちの夢は「774inc.のメンバーで大きなマンションに住むこと」だそうです。さらに、初心者が多いから質より量だという作戦で、どこよりも大きく高い建物を作ることがコンセプトでした。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】.mp4_004353766

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_005494733

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_005763533

コンセプトが明確なため、内容もブレずにちゃんとしたものでした。初心者が作ったと思えない堂々とした建物で、最上階の食堂や、屋上のアクアリウムなど凝った部分も多くありました。「本当に今住みたい家」でしょうから、憧れが詰まっていました。各メンバーの部屋もあるのですが、巨大な建物を作ることで精いっぱいだったようで作り込まれている部屋は限定されていました。したがって完成度という点では他チームに及びませんが、一番デカいものを作るという心意気は良いし、デザインされた綺麗な建物で良かったと思います。がんばったな!と感じさせるものでした。

Bチーム:テーマパーク

Bチームは、個々のメンバーの夢やリスナーの夢を散りばめたテーマパークでした。エキスパートであるシャルちゃん、パトラちゃん、かのんちゃんがいるということで、完成度が凄まじかったですね。最初から優勝候補と言われていましたがそれにおごることは全くなく、むしろ全チームで一番作業時間が長かったようです。作業できるのは昼の12時から夜の2時までと決められているのですが、全員が3日間ほぼフルにやっていたようなので。それゆえにこの完成度で、外観だけでなく屋内も作り込まれており、凝ったギミックもあり、3日間でこんなに作れるんだと驚かされます。細部はぜひ動画で見てください。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】.mp4_004141533

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】.mp4_004149066

新人の大浦るかこさんはマイクラが完全な初心者でしたが、頭が良いしアートセンスもあるので、急速に成長して幻想的な作品(本の家)を作っていました。回路まで組んでいましたね。

画像7

パトラちゃんがリーダーとして引っ張っており、タイムリミット15分前になって急にるかこさんが「建物の周りが淋しいので森にしたい」と言い出し、パトラちゃんは即座に「るーちゃんの願いを叶えよう」と言って、みんなで終了ギリギリまで木を植えたりしていました。そういったこだわりとチームワークにより、細部まで素晴らしいものになってリスナーの目を楽しませてくれました。

Cチーム:謎の球体

Cチームはコンセプト勝負ということで、広大な敷地に黒い球体があるだけという奇抜な建築でした。でも中には空間が広がっていて、しかも4階層に分かれており、それぞれの人が子供の頃に見た夢(悪夢?)が箱庭のように再現されています。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】.mp4_000805866

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】.mp4_001010100

GANTZのような謎の球体の中に世界があるという発想がSFチックで面白いし、階層ごとに箱庭が広がっている構造はワクワクするし、それぞれの世界観も凝っています。たとえば羽柴なつみちゃんの階層は食人植物の研究をしている政府の秘密研究所で、子供の頃に繰り返し見た夢を再現しているということで、細部まで世界観が作り込まれていました。広いスペースを与えられていたのに、あえて狭い箱庭に凝縮するのは悪夢を表現するのにむしろ効果的かもしれません。発想の勝利ですね。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】.mp4_001992666

Dチーム:遊園地

今回のルールでは各チーム5人まで助っ人を呼べることになっていましたが、実際に助っ人を呼んだのはDチームだけでした。Bチームもでびでび・でびるちゃんを呼びましたが、助っ人というよりマスコットキャラだったので。チーム自体がシャッフルメンバーで馴染みが薄い人もいるので、チームメンバーをまとめることが先決で助っ人を呼ぶ余裕まで無かったのでしょうか。その点Dチームは全員「いつメン」であり、新鮮味がないという欠点がありましたが、心置きなく助っ人が呼べるという利点があったでしょう。神楽めあちゃん、兎鞠まりちゃんという仲のいいVTuberと、さらにマイクラのプロであるハヤシさん、どんぼこさんが助っ人で参加していました。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_006838166

因幡はねるちゃんはローラーコースターと巨大なポムポムプリンくん像を作りましたが、どちらも3次元曲面が多いというマイクラで作るには難しいものなので、助っ人がいなかったら挑戦しようとは思わなかったのではないでしょうか。実際かなり苦労していましたが、プロ助っ人にアドバイスを受けながら完成させることができました。他のメンバーもそうしてレベルアップしたので、個々の限界にチャレンジしたという点ではこのチームが一番だったのではと思えます。

完成した遊園地は、思い描いたことをやり切った内容でワクワクするものでした。他チームのメンバーが見物に来て、キャッキャ楽しそうに遊んでいたのも印象的でした。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_006056533

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_006236366

Eチーム:飛び出す絵本

Eチームも、他の初心者が多いチームと同様、技術というより発想で勝負していてました。巨大な開いた絵本があり、そこからいろんな夢が飛び出しているという構成です。発想がとても素敵で可愛いですね。見た目は雑多な感じでBチームの整然とした美しさの対極ですが、ごちゃごちゃ感がおもちゃ箱的で子供の夢っぽくて良いのではないでしょうか。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_007593900

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_007629100

飛良ひかりちゃんは常々自分はヒーローだと言っており、夢の内容もヒーローにちなんだものでしたが、内容的にはどう見ても悪の組織のアジトでした。それぞれの夢を素直に立体化してあるので興味深かったし、一番趣旨に合っていたかもしれません。

【#マイクラななし杯】各チームプレゼン&リスナー投票で選ばれるチームは・・・!?結果発表!【因幡はねる _ あにまーれ】 (1).mp4_008193300

筋書きのないドラマ

最初に心配したことは杞憂であり、どのチームもそれぞれに見所のある素晴らしいものでした。同じテーマで作っているのにバリエーション豊かなのが楽いし、レベルに合った工夫をしてるのも良い。こうなったのは、アンバランスなチーム構成のおかげもあったなと思えます。凄い完成度のチームがあったし、難しいことにチャレンジしたチームがあったし、経験の少なさを発想力で補ったチームがありました。もし仮に、各チームの実力が均等になるようにチーム割りをしたらこうはならなかったかもしれません。もちろんそれはそれで良いものができただろうけど、今回のこのエモさとは違っていたはず。

チーム分けを完全ランダムでやってるのを見て、思い切ったことするなと思っていたのですが、それが正しかったわけだし、考えてみれば筋書きの無いドラマこそがVTuberの良さですよね。シナリオ通りにやるより、アドリブでやったことが上手くハマったほうが面白い。リアルに悩んだりがんばったりすることにドラマがある。安定した状態よりも、なにか引っ掻き回した状況のほうがドラマが起きやすいわけで、「完全ランダムでチームを作ってマイクラ対決をする」というのはそれを狙ったものでしょう。

そして、そういう状況でちゃんと持ち味を発揮し、良いものを作るのはさすが皆さんクリエーターだし配信者だなと、改めて思ったのでした。

いいなと思ったら応援しよう!