
2412 kosame4 ビルドログ
五月雨さんのkosame4を作りました。
Kosame4との出会い
天キーVol.7に向けて作成したステッカーとkosame4の基板を交換していただきました。五月雨さんのロゴが入った白基板でとってもかわいい!

材料の調達
パーツ類とアクリルプレートの調達から始まりました。アクリルプレートの発注は長くなったので項目を分けてます。
自作キーボード共通パーツ
・Pro Micro TypeーB
・スルーホールダイオード(型番 1N4148)
・リセットスイッチ(型番 TVBP06-B043CB-B)
・コンスルー
自作キーボードで(おそらく)一般的に使われているものです。他キットの余りがあればラッキー。遊舎工房の通販で揃います。

余談ですが、秋葉原に行って揃えようとすると案外大変です(でした)。千石電商,秋月電子あたりに行けば揃うだろうと外出ついでに寄ったら、要であるProMicroとコンスルーは手に入らず……。遊舎工房まで移動することを考えるも、人混みに揉まれ、電飾と情報に気力を奪われてしまい、帰路に着く羽目に。
電子工作経験が浅く実感できていなかったのですが、キーボード部品を取り揃えているお店って貴重なのですね。最初からおとなしく通販にしておけばよかったなあと反省。
ネジ類
・M3 10mmスペーサー
・M3 2mmスペーサー →M3 ナット1.8mmで代用
・M3 ねじ 8mm
・M3 ねじ 5mm
ビルドガイドにある通販で揃えるのが楽だと思います。私は先述の経緯で秋葉原に立ち寄っていたので、千石電商の2階で揃えました。棚を見ている途中、ポリ皿ねじ(プラねじ)を発見。クリアな見た目が可愛かったので買ってみました。M3ねじは一般的な規格なようで、ホームセンターでも見かけました。3×8,3×5のようにM(n)×長さmmで表記されている場合もありました。M3やM2というのは幅なんですね。学び。


アクリルプレートの発注
今回、初めてアクリル板のレーザーカットを発注しました。遊舎工房さんのサービスです。
すごく丁寧に入稿要件が書いてあるのでよく読んで進めます。この記事を読んで作ろうと考えている方も、必ずチェックしてくださいね。
尚、kosame4は五月雨さんが公開している.aiデータがあるので、 Illustrator環境があれば特に苦労なく進められると思いますが、私はサブスクリプションの期限が切れてしまっており、aiファイルは開いていません。なので、↑のレーザー加工についてのページと照らし合わせて確認してみてくださいね。
今回はInkscapeとPDFファイルを使って作成しました。Inkscapeを使う場合でもレーザー加工サービスについてよく読んで進めれば入稿できると思います。
ただInkscapeが初見で使い方がいまいちわかりにくかったので、以下のページを参考に進めました。
普段使わないツールは最初のハードルが高いと思います。私だけかもしれませんが、混乱しながら乗り越えて、そのあと綺麗さっぱり忘れてしまう。もったいないので今回はこの記事に残すことにしました。
Inkscapeの導入
上記の参考サイトを読みつつ進めます。まずはsvgファイルを扱うためにINKSCAPEをダウンロードします。
①遊舎工房のテンプレートSVGファイルをInkscapeで開き、②五月雨さんが公開しているプレートのPDFファイルをInkscapeにインポートする手順で進めていきます。
カットデータ・入稿テンプレートの用意
githubで公開されているkosame4のプレート用カットデータ(.PDFファイル)を保存しておきます。
次に、遊舎工房のテンプレートをダウンロードします。レーザー加工を発注するためには指定されたテンプレートでデータ作成が必要です。レーザー加工サービスのページにテンプレートのリンクがありますのでそちらを選択してください。
Googleドライブに遷移すると思いますので、Inkscapeフォルダの中から発注したいアクリル用のテンプレートをダウンロードします。

今回は、Laser_Cut_Template>Inkscape>アクリル 内にある「Laser_A4_template.svg 」をダウンロードしました。他のデータも作りたかったのでA4にしていますが、A5でも足りるはずです。
kosame4の出来上がりサイズは850mm×250mmでトップとボトムの二枚分扱えればOK。
テンプレートにカットデータを載せる
保存したsvgファイルのテンプレートをInkscapeで開いた状態で、左上メニューのファイル>インポートから、ダウンロードしたkosame4のPDFファイルを選択しインポートします。このとき内部インポートではなく、Cairoインポートを選択します。

カットラインの線幅指定
このままだと線幅が細く作業が困難なのでまずは線幅を変更します。
インポートしたファイルはグループ化・ロックされているので、まずは編集のために右クリック>グループ解除を行います。

入稿要件に従い、線幅の指定をします。パスの太さは0.003ptにするよう指定がありますが、私の環境では線が見えなくなってしまいました。このように目視できない場合は0.3ptに指定して入稿が可能です。
入稿時に線幅変更した旨を添えておくとスムーズだと思います。

線幅の変更は右側のフィル/ストロークタブ内のストロークのスタイルから変更します。
プレートを範囲選択した状態で0.3ptに変更すると一括で済みます。

カットラインのレイヤー分け
先にレイヤーを分けます。外側のレイヤーと内側のレイヤーに分けることで以降、外側のみ/内側のみ全選択が容易になります。オブジェクトの結合、色分けの作業が楽になります。
レイヤーを分ける際は先に内側のオブジェクトだけ選択するのが良いと思います。外側の四隅が選択しづらいためです。

内側のオブジェクトを選択するには、四角形×4を範囲選択->Shiftを押しながら四隅の丸をクリックしていくと楽です。


内側を範囲選択できたら、右クリック>他のレイヤーへ移動をクリックし、カット2(R0G0B255)を選びます。
※カット1に外側、カット2に内側のデータを配置してデータを作成します。

ボトムプレートも同じように、内側の四角形を範囲選択>四隅の丸を選択して、他のレイヤーへ移動>カット2を選びます。
カット1に入れる外側のデータは、右側にあるレイヤーとオブジェクトタブから、それ以外のパスを選択し、右クリック>他のレイヤーへ移動>カット1を選べばOKです。これで外側(カット1)、内側(カット2)のレイヤーに分けることができました。

オブジェクトの結合
インポートした状態では、一つ一つの線がばらばらのパスになっています。入稿用データは結合を行う必要があるので結合をしていきます。
繋げたいオブジェクトを範囲選択しメニューのパス>結合を選択することで結合できます。ショートカット「Cmd+K」を使うと楽です。


カットラインの色分け
四隅が黒く塗りつぶされているので、フィル/ストロークのタブ内にあるフィルから「塗りなし」を選択し塗り潰しをなくします。
線の色はストロークの塗りから変更できます。内側の線色を青(RGB[0,0,255])、外側の線色を赤(RGB[255,0,0])に指定します。

レイヤーフォルダを選択した状態で、フィル/ストロークのタブに移動し、

フィル/ストローク内のストロークの塗りから単一色を選び、色を指定します。

これで色分けが完了しました。

配置
あまり近すぎるとカットできないそうなので、念のため余白分の幅を取って配置しました。
Kosame4のプレートを依頼するだけでは勿体ないなと思い、kosame4のプレート×3 , cannonballのプレートも作成しています。cannonballのデータがA5には収まらなかったので、A4を選んで以下のように配置しました。(※1)

グループ解除

InkscapeとIllustratorの互換性について注意書きがありました。今回はInkscape上でグループ化をせずに進めていますが、Inkscapeにファイルをインポートした際に勝手に処理されていないかちょっと不安に思ったので、グループ解除の手順を踏みました。
作成したデータのグループ解除を行うには、全体を範囲選択>上部メニューのオブジェクト>グループ解除を選択します。

Inkscape上でのPDF、aiファイルの扱いについては以下のページも参考になります。
データチェック
再度、以下の項目を確認します。
・外側、内側の塗り分け
・線幅の指定
・Inkscape上でのグループ解除
・オブジェクトの結合
・配置スペース
結合漏れがないかをチェックするついでにパスの名前を変更しました。これは入稿要件ではないので、チェックしやすい方法で進めて良いかと思います。


データ作成が完了したら上部メニューのファイル>名前をつけて保存からSVGファイルを保存します。
ファイル名はマルチバイト文字不可のため、日本語での命名はNGです。
私はテンプレートのファイル名の接頭に日付_氏名を付けました。ご参考まで。
・241124_MeriNakamura_Laser_A4_template_inkscape.svg
アクリルカットデータ納品
遊舎工房からレーザ加工サービスを購入します。テンプレートと同じA4サイズを選択し、厚みは3mmで注文します。色はアクリル不透明 乳半にしました。
決済後「【遊舎工房】加工データ送付のお願い」というメールが届くはずです。このメールに作成したアクリルカットデータ(svgファイル)を添付して入稿します。

あとは届くのを待つだけです。
※今回は11月28日に注文して、12月8日に到着しました!
組み立て
ビルドガイドがとても丁寧なので、材料さえ揃ってしまえばつまずくことなく進められました。写真が多くてありがたいです。
ダイオードの取り付け
スルーホールダイオードは以前買ったものを使いました。遊舎工房で100個入りのものが売っています。
向きを合わせて4箇所に取り付けます。

LEDの取り付け
秋月電子にて購入した、SK6812MINI-E ×4個を取り付け。
熱に弱い部品なので、はんだごての温度を250℃ほどにして融点の低いはんだを使っています。
なるべく熱を逃したいので、一個飛ばしで取り付けています。
基板上に切り欠きの合わせる箇所が表記されており、とてもわかり易い!迷うことなく進められるとミスも減るので嬉しいポイントです。

リセットスイッチの取り付け
秋月電子にて購入しました。せっかくなのでホワイトカラーを選んでもよかったかも。

ファームウェアの書き込み
アクリルプレートが届くまで時間があったので先にファームウェアを書き込んでおきます。 kosame4のGithubページからkosame4_default.hexをDLし、qmk_toolboxにて書き込みます。
↑のリンクを開き、hexファイルを選択します。

右上のメニューからダウンロードを選ぶと.hexファイルを保存できます。
CUIでlocalのqmk_firmwareにダウンロードするのが一般的なんでしょうか?
ここではGUI操作で進めます。

QMK Toolboxを開いて.hexファイルを指定します。リセットスイッチを押して認識させますが、まだ実装していないのでProMicroのRSTとGNDをピンセット等でショートさせることでリセットさせました。

キースイッチの取り付け
キースイッチをスイッチプレートに差し込んだら、M3のナットを挟み、M3の8mmねじでPCBと一緒に止めます。キースイッチははんだ付けします。
Durock Ice King Tactile(×2),Durock Ice King Linear,Kailh Clione Limacina Switch / Linear を取り付けました。透明でかわいいスイッチです。


ProMicroの取り付け
コンスルーを使用して取り付けます。2.5ミリのコンスルーを使いましたが、USBケーブルの差し込み口が外側を向くようになっているため高さは別のものでも大丈夫そうです。
ProMicroの角に六角スペーサーが角度によっては干渉するので、円柱状のスペーサーだとスムーズかもしれません。


仕上げ
ボトムプレートとスペーサー、キースイッチを取り付けて完成です。
アルチザンキーキャップが欲しくなりますね。
デスクの隅にちょこんと飾ると可愛い。

ちなみにこのキーキャップは天キーvol.7にてmonopleさんからいただいたものです。

kosame4はRemap等には対応していませんが、keymap.cを編集してhexファイルを自炊(?)すれば、マクロパッドとしても使えそうです。
.hexファイルの作り方はこの記事にちょっと載せましたが、keymap.cの編集はまだ記事がないのでいずれ書くかもしれません。
勉強になることばかりで、組立が楽しかったです。素敵な機会をありがとうございました◎
そして、なが〜い記事を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
※1 補足のような日記。
アクリルカット発注時、2×2のマクロパッド、1〜2キーもしくはアローキーだけのキーホルダー用にプレートを作るのも良いかなと考え、公開されているデータがないか少し探したりもしました。結局見つけられずで、kosame4のプレートを余分に二つ作っており、一つはネジ穴と別にキーホルダー用の穴を開けています。
このとき、イベントや旅行やら予定を詰めていて癒やしとして自作キーボードを作っていました。旅行から帰ってきて燃え尽きないように、発注しておいて帰国後に組立しています。おかげさまで、充実した12月でした。今振り返るとCADを始めるタイミングまで待って、自分で作ったアクリルデータも載せて発注できたら理想だったように思いますが……。CADは今後のお楽しみということで。自作キーボードは色々やることが尽きないのも魅力の一つだと思います。