デザイナーの卵さえ怒らせる一言の話
何ヶ月ぶりの更新か分からないこのブログ。
日本での夏休みをダラダラと過ごし、そのツケが回ってきたかのように、ロンドンに戻ってから、BA2年目のどちゃくそ忙しい日々を送っておりました。毎年、セントマ(あ、私の学校の略称ね)の「オリエンは寝る暇ないよ」「ファンデーションは一番充実してて大変」「BAは1年目が一番忙しいよ」と言われてきておりますが、今のところ毎年毎年「去年よりは忙しい」を経験し、例年のごとく「BA2年目が一番忙しい」に到達しております。これは学部によって変わってくると思うので、私の話はあくまでセントラルセントマーチンズのグラフィックデザインの話ね。
そう!グラフィックデザイン!
グラフィックデザインの話をしよう!
まだ学生の私がグラフィックデザインを語るのはきっと、本職のグラフィックデザイナー様からは鈍器で殴られるようなおこがましい話ですが。します!
何故なら!怒っているからです!!
私は文章がわぁーーっと浮かんで来ないとブログを更新しないのですが、久しぶりに怒りと共に浮かんできたので、今、約うんヶ月ぶりに更新するに至っておるのです。
ここ数日、別のシチュエーションで、国籍も年齢も性別も違う二人のひとに言われた同じ一言が私を怒らせてます。その一言とは
「こんくらいのグラフィックデザイン、1時間以内にちゃちゃっと出来るっしょ」
この一言、決して自分の作品に対して言われたのではありません。映画のポスターと、テーブルの上にあった可愛らしいお菓子のパッケージに対してです。試しに、これをお読みの貴方、手元にある何でも良い。広告、パッケージ、本、何でもいいから手に取って、これを一時間で作れるか、ちょっと考えて頂きたい。
もしかしたら、この一言をいった人(仮にAさんとしよう)は「このデザインと全く同じものを作る(コピーしよう)としたら一時間で出来るっしょ」ていうニュアンスで言ったのかもしれない。デザインを真っ白な状態から、アイディアを出す作業があるって思考が欠けてらっしゃるのかもしれない。しかしAさん、考えてくれ。
人のデザイン、コピーしたら(疑惑を持たれただけでも)どうなるか、去年の夏ぐらいに日本国民みんなで学んだでしょ!!
この話を、デザインをしない人達にどうしたら分かりやすく伝わるか、イギリスのお母さん(家の大家さん)と話した結果、料理で例えるのはどうだろうかという結論に至りました。
「あなたは料理をする人です。
新しいメニューを開発しなくてはいけません。
冷蔵庫には何もありません。
買い物から含めて1時間で、
オリジナリティ溢れる新メニューを開発しなさい!」
そしてやっとの思いで、時間オーバーしてでも作って出したものに「こんなんに何時間もかけたの?1時間で出来るっしょ?」と嘲笑されるのです。悲しい。
わざわざ料理で例えましたが、これはどんなお仕事にも言えることだと思うんですね。頑張った仕事に対して(サボってたなら勿論ダメよ)「こんなん1時間でちゃっちゃと出来るっしょ?」て言われるのって、凄く悲しくないか。
これを作った生身の人間がいる、その仕事のスキルを手に入れる為にこの人が積み重ねてきた時間と労力がある っていうことを、もうちょっと考えた方がいいのではないだろうか。
ちなみにAさんは「写真を撮って、レタッチしたりとかは自分もするよ。ほら、レイヤーを重ねてさ。レイヤーを、こう。レイヤーを。」と、ちょっとはデザインのこと知ってるよ!みたいな感じで仰ってました。さもレイヤーを何か魔法のスキルのように説明されてましたが、10歳からフォトショで遊んでるオタクにはその魔法は効かない。「えー凄いですねぇー♡」とも言えなくて申し訳ないっす。そして、ここから感じるのは、下手にかじるのが一番やっかいだということです。自分もこんなんやれば出来ると少し思ってしまう程度の知識と技術。危ない。プロのお仕事は、そんな簡単じゃない。
学生の間にこういう経験をするってことは、働きだしたら、もうこれでもかっっっ!!!てくらい同じようなことを言われ、もっと酷いことも沢山沢山言われるんでしょう。
そんなこんなで、グラフィックデザインの話と言いましたが、何を言いたいかというと、ものとか人を、うすぅーく表面的に見るのはやめようねってお話でした。学校の課題に戻ります。ではー。
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