バイドゥの自動運転プラットフォーム「アポロ」、新しいインテリジェント・ソリューションのリリースで事業化をさらに推進
このnote記事『戦略をアップデートする』は、競争戦略コンサルタントとして「GAFA×BATH」などの米中メガテック企業をはじめと国内外トップ企業の動向をフォローしている田中道昭が、日々行っているこれら企業へのリサーチの中からその内容をシェアするものです。
今日の『戦略をアップデートする』は、第15回と第46回に続いて、バイドゥの自動運転プラットフォーム「アポロ」についてです。
バイドゥは、2020年12月8日付けのPRNewswireを通して、「Baidu Highlights Autonomous Driving Commercialization Push at Apollo Ecosystem Conference(バイドゥは「アポロ・エコシステム・カンファレンス」で自動運転の事業化推進を強調)」とプレスリリースしました。
プレスリリースによれば、バイドゥは、「アポロ・エコシステム・カンファレンス」で、自動車メーカー向けの新しいインテリジェント・ビークル・ソリューションとハイエンド向けのインテリジェント・ドライビング関連製品をリリースするとともに、北京などでの「アポロ・ゴー・ロボタクシー」事業といった自動運転の事業化を強調したとしています。
第15回でも述べましたが、バイドゥの「アポロ」とは、AI、ビッグデータなどの自動運転に関するテクノロジーやソリューションを、バイドゥと「アポロ」に参画するパートナーでオープンに共有することによって、パートナーそれぞれが短期間で独自の自動運転システムを構築することを可能にするプラットフォームです。バイドゥは、より多くのパートナーをプラットフォームに巻き込むことによって、「アポロ」を自動運転の世界のプラットフォームやエコシステムにすることを目論み、既にタクシーなど関連サービスの社会実装を進めています。
新しくリリースされたインテリジェント・ビークル・ソリューションは、「インテリジェント・ドライビング」「インテリジェント・キャビン」「インテリジェント・マップ」「インテリジェント・クラウド」の4つで構成されると言います。特に、「インテリジェント・キャビン」ソリューションにはバイドゥの音声AIシステム「アポロ向けデュアOS(DuerOS for Apollo)」が搭載され、同ソリューションは70社以上の自動車メーカーの600種類もの車両で利用できるようになっています。
「アポロ」の戦略上の特徴は、アルファベット/グーグルのウェイモ(第47回参照)とは対照的に、数多くのパートナーを巻き込みエコシステムを構築していること、オープン・プラットフォームであることです(そして、中国の国策プラットフォームの側面もあります)。
バイドゥの「新たな成長エンジン」と位置付けられる自動運転プラットフォーム「アポロ」。引き続き、その事業化プロセスを注視していきます。
田中道昭
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