【犬月犬日】【ウィッシュボーン曜日】
きつねさんが軽い風邪をお引きになられたということで、皆でドラッグストアに参りました。葛根湯の液体のやつを買いに行きました。きつねさんは風邪をこじらせてしまうことが多いのに病院に行きたがりません。ですので、こじらせる前に治して差し上げなければならないと、我ら三匹が重くもない腰を上げて目的地に向かって歩き始めたというわけです。
その帰りの街角で【全国犬ランキング途中経過速報】が号外として配られていたのをチビさんが受け取りました。チビさんの白い毛並が穏やかな風に共鳴して少し揺れているんです。
チビ「今んとこ、チビは4位かー、がんばらねば。チビは一応、東京では2位、日本でも3位までいったことあるからねー」
ウィッシュ「ウィッシュボーンは日本ではトップテンにぎりぎり入るという感じではございますが、アメリカでは結構上位に入っておりますので、全体としては犬界では人気者と呼んでいいのかもしれません。只今、9位ということで大変恐縮です」
しろ「しろは、今年13位にあがったぁ、だからぁ、ごほうびにマックのポテト3つ食べたいなぁ」
きつねくん「みんな人気者だね。狐の世界にはランキングってのはないんだよ。なぜなら、みんなが一位なんだ」
チビ「きつねくん、なんかそれ歌詞みたいなー」
ウィッシュ「チビさん、おそらくきつねさんは狐の世界では神のような存在かもしれません。狐の世界で詩が書けるのはきつねさんだけですし! きつねさんの哲学は日本仏教の大哲学者、道元の『正法眼蔵』も超えてますし、若干!」
しろ「しろは、ポテトの神様、これがいい、とにかくできたてのを食べられるなら、何位でもいい。順位どうでもいい」
チビ「しろくんならポテトの国とかに辿り着けそうだよねー」
ウィッシュ「たどり着いたらいつも雨降り。あ、いえ、しろさんすいません。ともかく鏡の国の中にある鏡の国よりも不思議な国ですよ。ポテトの国は!!」
きつねくん「しろ、ぜひ頼むよ。そんで『ポテトの国旅行記』なんてものを書いて作家デビューしてほしいな。」
しろ「へへえ、それはしろがフライドポテトを食べに行って、逆にフライドポテトに食べられちゃうみたいな物語にしよう、うん」
チビ「チビはね、ところで、炭水化物とか、それ的なものはあんま好きじゃないこと知ってたー?」
ウィッシュ「ええ、チビさん。でもウィッシュボーンはしろさんにお供致しますよ。しろさんのポケットかなんかに忍び込ませていただきます。しろさんを守らなねばなりません!」
チビ「へー、ウィッシュくんすごい! 巨大化の反対系の魔法とか覚えたとか? ちっちゃくなれるとか尋常じゃない能力だなー、でもありがちじゃない? ちっちゃくなったり大きくなったりするだけじゃ、犬のこころはつかめないよー」
ウィッシュ「チビさん真面目なレスポンスありがとうございます。ともかくウィッシュボーン、しろさんのオーバーオールの左ポケットに忍び込むことに致します!」
きつねくん「おいらは右ポケットに!」
チビ「チビは真ん中のポケットに!」
しろ「しろはロケットになるぅ、ぐふふぅ」