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『完全無――超越タナトフォビア』第七十章

すべてのちいさきものよ、
はかなきものよ、
よわきものよ、
こわれやすいものよ、
世界をそのままに、
そのままにしておきましょう。

世界は変わらない。

世界を否定することはできない。

世界を肯定することもできない。

あらゆる神話、
宗教、
哲学、
科学は、
すでにして拒まれている。

No both hope and oath!

ちいさく、
はかなく、
よわく、
こわれやすく、
人間たちよ、
世界であれ。

わたくしの【理(り)】はわたくしの【理(り)】である。

タナトフォビアに恐怖するすべての人たちよ、わたくしのことを信じる必要は、ない。

しかし、死を恐怖するすべての人間たちよ、わたくしがタナトフォビアを克服した、ということだけは信じてほしい。

人間たちはちっぽけで、
宇宙は巨大で、
などと比較しないでほしい。

さまざまなウイルスがちっぽけで、
人間たちは巨大で、
などど比較しないでほしい。

何かが何かより大きい、
何かが何かより小さい、
などということは、
信じるに値しない。

生と死の価値を、
天秤に掛けないでほしい。

恐怖と安楽とに、
板挟みにされない世界のために、
ちいさきこと、
はかなきこと、
よわきこと、
こわれやすきこと、
そのままに人間たちよ世界であれ。

ことばはことばであることになんのためらいもない。

ことばはことばであることに自負などない。

自らを定義することなかれ。

あなたの自由をことばでいじめることなかれ。

自由とはなにものでもないこと。

そして、
世界はいつもいつでも、
自由より自由。

世界には、ひっくりかえすおもちゃ箱など無い。

くつがえす宝石など無い。

おもちゃも宝石も、
なにもかも、
そう、
なにもかも、
ひっくりかえされたまま……。

燦燦たる朝陽など無い。

靉靆(あいたい)たる夕霞(ゆうがすみ)が無いように。

No Wave!

存在に潮騒は無し!

存在者にメタモルフォシス無し!

春告鳥(はるつげどり)に故郷(ふるさと)は無し!

世界は散り際無きいのち!

いのちは名付けられること無し!

No Name!


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