12章

 生活していると、人智の及ばない、まあ狐智(こち)でも犬智(けんち)でもなんでもいいのですが、なんとも不可思議な状況に陥ることがあるものです。
 この前の章の、チビたち「永遠に花びらが散らない花」と出会うの巻、における結末をチビにたずねたところ、おやつを食べるのをやめにして、花びらの掃除をしよう、ということになったそうです。
 ウィッシュボーンはチビとしろにヨハネの黙示録のように告げたそうです。
花びらを集めましたら、ウィッシュボーンにお預けください。なにかオブジェをこしらえる材料に使わせていただきますよ、と。天国に行くための選抜メンバーに選ばれて狂喜するような顔で。
 しろは、たまには食べるのがまんしたら、しろちょっとやせるかなぁ、と独り言を言いながら終始はにかみ笑いだったそうです。はにかみをガムのように噛み続けいつしか笑いはへにゃへにゃになってしまったらしいです。
 チビは、大輪の花を沈む夕陽を受け止める水平線のようにうっとりと眺めながら、今度この花の絵を描いて、コンテストに応募しみようかなあ、と思ったんだそうです。 
 学ぶこと多し、とわたくしは思いました。不可解で不条理な状況を怖がったり、おののいたり、パニックにおちいることなく、流れのままに受け入れる。
まるで、器の形状によって、どんな姿にでもなってみせる、「水分子のかたまり」のような存在なのです。

 チビ「ちょっと、美化しすぎかなー、チビたちはそんな仙人みたいな感じじゃないよー、いい子っぷりはすごいけどねー、きつねくん知ってたっけ、犬世界には、『いい子っぷりポイント』ってのがあって、それが高いと人気度もあがるんだよー、チビたちががんばってるのは、いい子っぷりポイントに関してだよー」
 きつねくん「話が急に変わってびっくりしたよ、じゃあ、その……なんだっけ、『いい子っぷりポイント』をためるためにチビちゃんたちはどんなことをしてるんだい?」
 チビ「まあ、それはきつねくんがこの小説で描いてくれればいいんじゃないかなー、ふふー、チビ的にはちょっとこっぱずかしいからねー、でもきつねくんに協力するよー、いつでもチビたちのこと書いてねー」

 チビからアドバイスを受けました。やはり、わたくし一人では小説というものは完成させられないのです。チビたちの力が必要なのです。その力は絆と呼んで差し支えないでしょう。
 では、またお会いしましょう!

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