『完全無――超越タナトフォビア』第六十四章
宇宙とは世界そのものとされることが多いのだが、この作品では便宜的に、世界の属性の一面として宇宙をまず定義したい。
さて、弱かろうが強かろうが、観測できようができまいが、宇宙論における「人間原理」なる傲慢は人間たち自身にとっても、当てにはならない。
人間たちの創り出した記号と宇宙との蜜月、そのような浮き名を宇宙が期待しているわけではない。
なぜなら、宇宙とは「世界の世界性」同様に、つまり「世界の世界性」に対する有無のあわい的随伴現象である限りは、すでに完了した「抱き締め合