完全無――超越タナトフォビア』第九十五章
世界そのものには相関によって規約される何ものも存在しない。
なぜなら完全無とは完全無によっても規定されること無き完成された全き無なのだから。
さて、この章より以降の章においては、完全無-完全有という便宜上の表現を揚棄して、完全無、と単体であらわすこととする。
完全無と完全有とが全く同一であるということは、もはやくどくどと再考すべきではないからである。
いや、もしかすると、完全無と完全有とが同一ではない可能性にわたくしが導かれているかもしれない、ということも