『完全無――超越タナトフォビア』第四十九章
二〇二〇年代の今(※この作品のそもそもの着想は二〇一四年ではあるが)、宇宙は膨張しているという仮説が宇宙論的に地球エリアで優位を占めている。
しかし、宇宙の行く末を、無限の大きさをもつ超数学的な点に吸い込まれつつある過程であると仮定することも、理論物理学者ならば可能であるし、ビッグバン宇宙論とはまったく異なる仮説をわたくしが持ち出したとしても、誰も――科学的には――直接証明を成すことなどできない。
だが、はっきり硫黄、いや、言おう。
どのような宇宙発生論であれ、どのよう