『完全無――超越タナトフォビア』第百三章
愛、そう存在者と存在者とが愛し合う、というささやかなる領分を超えて、愛そのものとなって自愛すること、それこそがまさに世界そのものの爆破、得体の知れぬ損壊、「世界の世界性」としての完全無の不可思議なる亀裂である。
完全に無である、ということが「性質」になり得るのかい? という愚問は却下しよう。
なぜならば、完全に無であることを表現することそのものをすべて消去した状態で、チビたちや読者の方々に思想を開陳することは、わたくし詩狐(しぎつね)のポエジー溢れる御手をもってしても、そ