演奏に”体軸”は必要か?

音楽の演奏の動きにおける
「体軸」に関する”誤解"について
お話申し上げます。

この「体軸」という概念は、
野球やサッカーといった
球技の世界では重要です。

例えば野球のバッターにおける
「体軸」を考えてみましょう。

900g前後のバットを振る時、
そこには遠心力が働きます。

バットをスイングしている間、
その遠心力に負けて
バットの先端の”軌跡”が
・上下に”ブレ"たり
・前後に”ブレ"たりすると、
バットの先端の回転速度が
落ちてしまいますし、
正確にボールに当てられません。

そのような”ブレ”を
起こさないようにしながら、
バッターは900gのバットを
【 振り抜き 】ます。

この【 振り抜き 】の動きは
回転運動で成り立っています。

コマを考えても解る通り
滑らかな回転には
安定した「軸」が必要ですよね。

これが「体軸」の重要性です。

さて、
プロ野球選手が
バットを振っている時間は
何秒くらいでしょうか?

答えは↓

0.2秒です。

わずか0.2秒の間の
正確な「体軸」を作ったバッターが
バットを正確にボールに当てる
優秀なバッターなのです。

この
「極短時間の正確な回転運動」
の動きを理解させるために
「体軸」という概念があるのです。

ところが、
音楽家の世界で
「体軸」を語る時、

・上半身をグラグラさせない!
→ 上半身に力を入れて頑張る事?

・天井に真っ直ぐ伸びる”軸"を感じて!
→ 首や背中に力を入れるのかな?

・丹田を感じて”軸"を通して!
→ お腹に力を入れて踏ん張ること?

といった
無駄な力みや誤解が
生じていませんか?

スポーツの世界から
「体軸」という言葉だけを直輸入して、
「”軸”って大切なんだ!」となり、

動きの”軸"ではなく
見た目の”軸”を作ろうと努力し、

筋肉を使って”固める”ことを
努力し始めてしまい、

上半身ガチガチの音楽家が
生まれていないでしょうか。

音楽家が理解すべき
「体軸」とは、

スポーツの世界の「体軸」とは
全く違う「体軸」の概念が、
音楽家の世界において
存在することを念頭に置いて
「体軸」を利用する事が大切です。

では全く違う「体軸」の概念とは
何でしょうか?

機会を改めて
お話をさせて頂きます。

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Merge Labo 山本 篤
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